完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ

文字の大きさ
31 / 254
第2章 生活の基盤

第31話 不干渉条例

しおりを挟む
「ここはね、エリアス君が魔法で作った建物なの。信じられる?」

 え?
 私はオルガさんに言われたことが分からなかった。

「どう言うこと?」
「エリアス君の能力よ。彼は創生魔法と言って、自分の望んだものが創れるの」

「そ、そんな馬鹿な魔法は聞いたことが無いわ」
「あぁ、でも材料が無いと駄目みたいね?」
「材料があっても、そんなことは出来ないわ」
「そうね、でも現実はどう?あなたの目の前にあるものはなに?」

「一流の建築家が何年かかかっても、ここまで完成度の高い建物は作れないわ」
「でしょうね」
「あなた達はこれから一緒に、ここに住むの?」
「気になるところはそこなの、エージェントさん」
「?!何を言っているのかしら」

「しらばっくれないで。国に情報機関があって諜報活動をしていることは有名よ。そして外部からの人の出入りが多い、ギルドにエージェントが多いと聞くわ」
「でも、どうして私がそうだと思うのよ?」

「エルフだからよ」
「エルフが珍しいの?」

「珍しいわ。森の種族と言われているエルフが、堂々と人族の中に紛れて生活をして居るなんて」
「そんなの、人それぞれでしょう」
「いいえ違うわ。長生きな種族や、美形の種族は人族の中では暮らしづらいはずよ。特にエルフは美形だから、貴族の玩具になりやすい」

「そんな事はないわよ。今まで私は一度もなかったわ」
「それは国に守られているからよ。エルフとして街に住み、身の保証してもらう代わりにエージェントになる。違うのかしら?」

「もし、わたしがそのエージェントだったらどうするの?」
「エリアス君を守ってほしいの」

「守る?」
「そう、彼は世間知らずだから常識が少しずれているの。だからいずれはマジック・バッグに目を付ける人が出てくるわ。そしてこの家よ。廃墟寸前の家があったところに、一晩で見たことも無いような宮殿が建っている。商業ギルドのこの場所を売った人が見たら、驚くどころではないはずよ」

「それは、きっとそうね」
「そして人とは違う事をこれから、やり始める可能性があるわ。だからよ」

「そうね、私がエージェントなら、きっと目を付けるわね。容量が多いマジック・バッグ。自分の望んだものが創れる創生魔法が、もし本当なら大変な能力よ」
「ほんと、そうね」

「彼一人で軍事的な戦略も考えられるわ。物資輸送が楽になり、自分の望んだものが創れるら。材料があれば武器が作れると言うことだもの」
「そういう事になるわね。それにエリアス君は5属性魔法が使えるのよ」
「ご、5属性?!」

「そうよ。普通3属性でも凄いのに。でも彼は誰にも指導を受けていないから、やり方が分からないのよ」
「それは勿体ない。使える属性はわかる?」
「ええ、聞いてるわ。火、水、氷、風、光よ」
「ひ、光魔法ですって?!光魔法を使える人なんて、100年に1人くらいしか現れないのよ。貴族が聞いたら彼の光魔法を取り込むために、娘の婿にならないか!てたくさんの誘いが来るわ」


 この世界は剣と魔法の世界だ。
 それも魔法が失われない様に、貴族は魔法を使えるもの同士の婚姻が多いと聞く。

 そして魔法を使えない子供が生まれるとよほどの才能が無い限り、長男でも当主になることはできない。

 庶民でも魔法が使えれば、王宮に雇って貰えることがあるくらい貴重なことだ。

 生活魔法が使えてそれを鍛えることにより、攻撃魔法や回復系魔法が使えるようになるからだ。

 エリアスは転移前に『剣と魔法の世界』と聞き、誰でも生活魔法程度は使えると思っていた。
 だからオルガにも、簡単に話してしまったのだった。


「面白そうね、わかったわ。出来る限り彼を守ってあげるわ」
 やっぱりエージェントだったのね。
「あっ、言っておくけど私はエージェントではないわ。知り合いの親戚の、その友達の同僚の、家族の友達がエージェントらしいから頼んでおくのよ」
 誰よ、それ!
 バレバレでしょ。

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 俺はオルガさんと別れ、商業ギルドに向かっている。
 『味元あじげん』の納品に行かないと。

 商業ギルドの中に入ると、受付にノエルさんがいた。
 
「こんにちは、ノエルさん」
「ようこそいらっしゃいました、エリアス様。本日はどの様なご用件でしょうか?」
「はい、調味料『味元』の納品にきました」
「伺っております。こちらの倉庫へお願いします」

 そう言って俺は奥のドアを通り、倉庫に案内された。
 
「では、ここにお願いします」
「はい」
 俺は言われたテーブルに、ストレージから『味元』の入った入物を200個出した。
「まあ?!」
 あれ?マジック・バッグて、珍しくないはずだよね??

「確認してください」
「あっ、はい、はい」
 返事は1回ですよ。入社の時に習いませんでしたか?
 しばらくしてから、確認が終わった。

「それでは『味元あじげん』は1個2,000円で200個ですから400,000円。そこからギルドの税金10%を引きますので、360,000円のお支払いになります」
「ありがとうございます」
 俺はそう言ってストレージにお金を仕舞った。

「エリアス様はマジック・バッグに、みんな入れておくのでしょうか?」
「ええ、そうです。かさばりませんから」
「余計な事とは思いますが、盗難などの事を考えるとお金は分けておかれた方が…」
「あ、それは大丈夫です。盗まれることはありませんから」
「それはどう言う?」
「俺以外は(時空間魔法なので)使えませんから」

「そ、そうなのですね。凄い機能が付いているのですね」
 使用者認定機能が付いているのかしら?

「えぇ、便利ですよ。それから明日から6日後にギルドの依頼で、2週間くらいこの街を離れますから。戻ってきたら『味元』の反響を聞きに、顔を出しますから」
「わかりました。その後でしょうか、購入されたお屋敷の改築は?」
「それなら、もう済みました」
「え?!済んだ?!」
「俺、やることが早いんで。依頼から戻ってきたら、新居に住もうと思ってます」
 そういう問題では…。

「わ、わかりました。楽しみですね」
「ええ、そうなんです。ではまた!」
「はい、ありがとうございました」




 私はノエル。
 仕事帰りに少し遠回りをして帰った。
 エリアス様の購入された物件が気になったのだ。
 そんな短時間で出来るわけがない。
 それほど、老朽化が進んでいたのだ。

 私は目を疑った。
 何度も何度も目をこすったが、変らなかった。

 そこには高くて立派な塀に囲まれた屋敷があった。
 遠目からも分かる宮殿の様な大きさ、見たことも無い作りの建物のデザイン。

 そしてどれだけの財を投資すれば出来るのだろう。
 3階建ての各部屋は窓ガラスになっていた。

 
 『もう済みました』

 これは改築ではなく、建て替えだ。
 しかもまだ2日しか経っていない。
 いったいどうやれば…。



 翌朝、私は一番にギルドマスターに向かった。

「ギルマス、お話が…」
「おぉ、ノエルか。いったいどうしたんだ、こんなに早く」
「実はエリアス様の事ですが、彼は…」
 私が話そうとするのを、ギルマスは手を伸ばし止めさせた。
「彼の事なら、もう干渉は出来ない」
「どうしたのですか?」

「国から不干渉ふかんしょう条例が発令されたんだ」

「えっ?!」

 私はエリアス様のことを話そうとした。
 するとギルドマスターのアレックさんからそう言われた。

 不干渉条例
 それは国が総力を挙げて守る、対象となる人のことを言う。
 国宝級の才能や能力を持つ人を庇護するためにある条例だ。
 この対象に選ばれた人は24時間、影から専用の組織が身の回りを守ると聞く。
 国の重鎮に選ばれたと言っても、過言ではないだろう。

 そうね、あれだけのお屋敷を簡単に、建て替えできるなんて。
 おかしいと思ったのよ。



 私は商業ギルド、ギルドマスターのアレックだ。
 朝早く国から早馬が来た時は、驚いたものだ。

 しかし『味元あじげん』が、食の革命をもたらす可能性があることを国も認めたのか?
 どこから嗅ぎつけて来たのか?
 この世界の国々は女神ゼクシーを仰ぐ、シャルエル教が唯一の信仰だ。
 そのため一国より力を持つ教団から、侵略や戦争は認められていない。

 他国とのやり取りは外交がどれだけ優位に働くかしかない。
 
 それほどのことなのか、エリアスという男が作る『味元あじげん』は。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。

桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

処理中です...