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第7章 思惑
第116話 大司教ヨハネスの苦悩
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シャルエル教、大司教ヨハネスは16歳で洗礼を受け教徒となった。
そして司祭を経て55歳で大司教となった。
ただ大司教になった時にはすでに教会の権威が落ち始め、寄付金も減り修繕費も賄えない状況に陥っていた。
教会には孤児達もおり、シスターや見習いを含めると毎日の食事にさえ事欠くこともあった。
そんな時、40代のアンというシスターが私の元へやっきた。
先ほど参拝に来た少年が寄付として5万円と、この『腕時計』というものを置いていったと。
腕時計とは正確に時刻が分かる道具だと、必要なければ売っても構わないとも言っていたと。
そんなことがあるのか?
こんなもので時間が分かるのか?
教会では二時間おきに大聖堂で鐘を鳴らし時間を知らせている。
昼は日時計、夜は北極星と他の恒星の角度を見て時刻を定めている。
それも曖昧時間だ。
天気が悪い日や星が出ない時は『水時計』で代用している。
『腕時計』を見ると針が三本あり、1~12までの文字が書いてある。
『カチカチ』と早く回る長い針が進むと、もう一つの長い針が1つ進む。
そして一回りするに連れて短い針も動いていく。
そうか!
24時間を12時間で表しているのか?
日時計と比べ時間のズレはあるが、正確に針が動き時刻を刻んでいる。
正確な時間が分かるということだ。
日時計だと時間が曖昧で1時間前後くらいは誤差があるだろう。
こんな高価な魔道具を寄付していく、御仁がいるなんて。
このままいくと教会の生活は困窮してしまう。
そういえば王都でオークションが開催されると聞いた。
そうだ、オークションに出してみよう。
値段の付けられないものが出品され、競り落とされる。
いくらになるか分からないが、価値を見出してもらえばいいだけだ。
そしてその腕時計は1億円で国に落札された。
そのお金で建物を修繕し、シスターや孤児たちの生活も改善に向かった。
更に国は腕時計を国宝に指定し教会に貸出してくれた。
腕時計の正確な時刻を基準とし大聖堂の鐘が鳴る様になった。
これは神の慈悲なのか?
そしてその夜、300年ぶりに女神ゼクシー様の神託が降りた。
徳の高いシャルエル教の信徒はその神託を夢枕で聞き、口を揃えて
『エリアスと言う女神ゼクシー様の『愛し子』が現れると。そして教会は全てを捧げ力になるように』だった。
エリアス様と言う『愛し子』様の顔も浮かび、目に焼き付いている。
そして翌日、朝から神託を聞いた信徒は教会に集まり騒然となった。
『愛し子』様が現れるのを今か今かと皆で待っていると、神託で見た14~15歳くらいの黒髪の少年が現れた。
「『愛し子』様のお越しです。みなさま道を開けてください!」
私は思わずそう言い、道を開けさせた。
そして話を伺うにつれ、腕時計を授けて頂いたのも『愛し子』様だったとか。
あぁ、なんて崇高な御方なのでしょうか!
私は両手を胸の前で組み更に祈るしかなかった。
教会の権威が落ちつつある今、『愛し子』様を取り込んで復興させねば。
そんなことを思った矢先、神託がまた降りてしまった。
〈〈〈〈〈 神託を授ける!エリアス・ドラード・セルベルトは我が可愛い息子である。何人と言えども干渉、束縛することかなわず。勝手御免とする!これを破りしものには神罰が下るであろう! 〉〉〉〉〉と。
な、なんと!
これでは今後、『愛し子』様に手出しができん!
すると『愛し子』様は孤児院の子供達を、ご自身の商会で雇いたいと言ってくださった。
勤勉に働けば成人した15歳には直接雇って頂けると。
教会の子供達だから、やってもらいたい、とそうおっしゃった。
アレン領のシャルエル教徒を、そこまで必要に思って頂けるとは…。
今後は孤児の子供達は、信徒や教徒の憧れの的になるだろう。
これからは愛し子様に必要として頂ける、と言う自負を認識させねばならん。
女神ゼクシー様の『愛し子』と働けるなんて。
私もできれば全てを投げ捨て、そうしたいものだ。
あァ、『愛し子』様。
美形で黒髪、黒い瞳の愛しき青年。
人の心をひきつけ夢中にさせる方。
あぁ、もう私はあなたから離れません。
はぁ、はぁ、はぁ。
シャルエル教、大司教ヨハネスはBLだった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読んで頂いてありがとうございます。
物語はまったり、のんびりと進みます。
そして司祭を経て55歳で大司教となった。
ただ大司教になった時にはすでに教会の権威が落ち始め、寄付金も減り修繕費も賄えない状況に陥っていた。
教会には孤児達もおり、シスターや見習いを含めると毎日の食事にさえ事欠くこともあった。
そんな時、40代のアンというシスターが私の元へやっきた。
先ほど参拝に来た少年が寄付として5万円と、この『腕時計』というものを置いていったと。
腕時計とは正確に時刻が分かる道具だと、必要なければ売っても構わないとも言っていたと。
そんなことがあるのか?
こんなもので時間が分かるのか?
教会では二時間おきに大聖堂で鐘を鳴らし時間を知らせている。
昼は日時計、夜は北極星と他の恒星の角度を見て時刻を定めている。
それも曖昧時間だ。
天気が悪い日や星が出ない時は『水時計』で代用している。
『腕時計』を見ると針が三本あり、1~12までの文字が書いてある。
『カチカチ』と早く回る長い針が進むと、もう一つの長い針が1つ進む。
そして一回りするに連れて短い針も動いていく。
そうか!
24時間を12時間で表しているのか?
日時計と比べ時間のズレはあるが、正確に針が動き時刻を刻んでいる。
正確な時間が分かるということだ。
日時計だと時間が曖昧で1時間前後くらいは誤差があるだろう。
こんな高価な魔道具を寄付していく、御仁がいるなんて。
このままいくと教会の生活は困窮してしまう。
そういえば王都でオークションが開催されると聞いた。
そうだ、オークションに出してみよう。
値段の付けられないものが出品され、競り落とされる。
いくらになるか分からないが、価値を見出してもらえばいいだけだ。
そしてその腕時計は1億円で国に落札された。
そのお金で建物を修繕し、シスターや孤児たちの生活も改善に向かった。
更に国は腕時計を国宝に指定し教会に貸出してくれた。
腕時計の正確な時刻を基準とし大聖堂の鐘が鳴る様になった。
これは神の慈悲なのか?
そしてその夜、300年ぶりに女神ゼクシー様の神託が降りた。
徳の高いシャルエル教の信徒はその神託を夢枕で聞き、口を揃えて
『エリアスと言う女神ゼクシー様の『愛し子』が現れると。そして教会は全てを捧げ力になるように』だった。
エリアス様と言う『愛し子』様の顔も浮かび、目に焼き付いている。
そして翌日、朝から神託を聞いた信徒は教会に集まり騒然となった。
『愛し子』様が現れるのを今か今かと皆で待っていると、神託で見た14~15歳くらいの黒髪の少年が現れた。
「『愛し子』様のお越しです。みなさま道を開けてください!」
私は思わずそう言い、道を開けさせた。
そして話を伺うにつれ、腕時計を授けて頂いたのも『愛し子』様だったとか。
あぁ、なんて崇高な御方なのでしょうか!
私は両手を胸の前で組み更に祈るしかなかった。
教会の権威が落ちつつある今、『愛し子』様を取り込んで復興させねば。
そんなことを思った矢先、神託がまた降りてしまった。
〈〈〈〈〈 神託を授ける!エリアス・ドラード・セルベルトは我が可愛い息子である。何人と言えども干渉、束縛することかなわず。勝手御免とする!これを破りしものには神罰が下るであろう! 〉〉〉〉〉と。
な、なんと!
これでは今後、『愛し子』様に手出しができん!
すると『愛し子』様は孤児院の子供達を、ご自身の商会で雇いたいと言ってくださった。
勤勉に働けば成人した15歳には直接雇って頂けると。
教会の子供達だから、やってもらいたい、とそうおっしゃった。
アレン領のシャルエル教徒を、そこまで必要に思って頂けるとは…。
今後は孤児の子供達は、信徒や教徒の憧れの的になるだろう。
これからは愛し子様に必要として頂ける、と言う自負を認識させねばならん。
女神ゼクシー様の『愛し子』と働けるなんて。
私もできれば全てを投げ捨て、そうしたいものだ。
あァ、『愛し子』様。
美形で黒髪、黒い瞳の愛しき青年。
人の心をひきつけ夢中にさせる方。
あぁ、もう私はあなたから離れません。
はぁ、はぁ、はぁ。
シャルエル教、大司教ヨハネスはBLだった。
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読んで頂いてありがとうございます。
物語はまったり、のんびりと進みます。
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