完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ

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第12章 セトラー開国

第168話 甘い蜜に蟻

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 私はジリヤ国王都にある王家御用達の店『ゴージャス』の店主グレアムだ。
 ジリヤ国の東端にあるアレン領に来ている。

 私の商会は何代も前より王家御用達を預かり、王家商品の納入を行っていた。
 そして我が商会がこの国随一ずいいちだと自負していた。
 しかしそれが一変したのだ。


 私の住んでいるジリヤ国は中心の王都を守るように王都の東西に2つの公爵家を配置し、更に東西南北に6つの領で囲み外敵に備えている。
 1年前までアレン領と言えばジリヤ国の東端にある小さな領だった。

 隣接している他国はなく、あるのはアスケル山脈に阻まれた森だけだった。
 山脈には貴重な資源が眠っている半面、森の奥に行けば行くほどレベルの高い凶暴な大型魔獣もたくさんいるそうだ。
 街に出て来なければ被害がなく、あえて刺激はしないようにしてる。
 街から追われた異種族も隠れ住んでいると聞く。
 その魔物の防波堤としての役割を主に任されている以外は何もなかった領だ。

 それが1年前、気が付くと王都と東アレン領の道が突然、整備されていた。
 その後アスケルの森が開拓され、開拓したのが黒髪、黒い瞳の少年だという。
 にわかには信じられなかった。
 しかし事実の様だ。
 なぜならその件について上位の貴族は箝口令かんこうれいが敷かれ、口外することを禁じられているようだったからだ。

 だが今はどうだ?
 この活気と言ったら。
 人々の顔には笑顔があふれ、喜びに満ちている。

 以前はアレン領のアバンス商会と言う名の店から仕入れていた。
 しかしこれだけ道が整備され多くの人が行きかう街道なら安全と、こちらから仕入れに来ている。
 今まで王都で踏ん反り返って商売をしていたが立場が逆転した。


 そして不思議なのがこの領のシャルエル教だ。
 シャルエル教の敷地内にある工業団地と呼ばれる場所だ。
 そこには木工所や製鉄所、アバンス商会、エリアス商会があると言うから驚きだ。
 工場や倉庫を密集させ製品を製造し、出荷しやすいように効率を図っていると言う。
 そこで作られるのが木製自転車、人力車、調味料だ。
 これは木工所や製鉄所、人々が協力し合って製造していると聞く。

 エリアス商会で発案した物をシャルエル製作所で作り、アバンス商会で販売する。
 なんと効率的なのだろうか。
 私もそれに加われないかと思う程だ。

 アレン領のシャルエル教は偶像を拝むだけではなく、実質的な恵みを人々に与えてくれると評判になっている。
 特に最近では大司教ヨハネス様の人気が凄い。
 王都にまでその噂は聞こえてくるくらいだ。

 薬というどこから知ったのか薬草を煎じ病気や痛み、切り傷などの治療に役立つものを低価格で販売している。
 そして最近では薬の処方を書いた教本を、これも低価格で売り出したと言う。
 まったく商人の私から見れば、考えられないことだ。

 大司教ヨハネス様は私利私欲に走ることを禁じていると聞いた。
 金の生る木を持っていのに。
 言い寄る女性にも目もくれず、ただ職務に励む聖職者の鏡の様だと。
 今ではアレン領のシャルエル教徒はとみの山からやってくる、富山の薬売りと呼ばれている。

 それから密かに人気があるのは『夜のマムシクッキー』と呼ばれる秘薬だ。
 その名の通りリアルな薬だ。
 これは病気や怪我の薬ではないので、とても高額で取引されていると聞く。
 しかしこれを飲みミミズがマムシになるなら、富裕層の人々は金に糸目は付けないだろう。


 そしてエリアス商会の『味元あじげん』、『マヨネーズ』、『ソース』、『醤油』、『醤油タレ』と言う調味料が料理を変えた。
 食文化と言っていいだろう。
 味の無い生活から味のある生活に慣れた人々は、もう手放すことができない。

 値段は上がるが油で揚げた唐揚げやカツもある。
 カツとキャベツ千切りに、タップリ『ソース』をかけて食べる。
 この組合せも良いが、私はそこに『マヨネーズ』を足したい。
 酸味の味を堪能したいのだ。


 このままいけば首都は王都ではなく、このアレン領になりそうな勢いだ。
 他の領や隣国からもたくさんの人が、街道を通りアレン領を行き来する。
 まるで今しかない甘い蜜に蟻が群がるように…。
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