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23 本気
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ニャリスが、王様とエクリーヌ、の『もしも犯罪者に会ってしまったら講座』を受けている間、ラクロアは、執務室でひたすら持ち込まれる問題事と格闘していた。あっちで紛争、こっちで国境問題、そっちで内紛。王都から離れた小さな領地は他国から侵略の危機にいつも晒されている、常に騎士を派遣しては領土を守っているが、年々統合が増えて綻びが出始めている。地方の自治に任せるしかないが、これがまた、目が届かないのを良いことにやりたい放題やる領主がいて……あぁ、頭が八つ欲しい。八つの頭を持つ竜がこの世には居るというが、羨ましいことだ。
「ラクロア様、宰相のローラン伯爵が参られました」
「あぁ、通してくれ」
妹の筆頭後見人、ローラン伯爵は、この国の宰相だ。父の代からその博識と権力をもって、忠義に厚く長く王家に支えてくれている。ラクロアにとっては、数少ない、信頼できる人物である。
白髪まじりの威風堂々とした男で、その様子は、長年王家に使えてきた威厳と自信にみちあふれている。
「ラクロア様、御呼びとのことで」
「あぁ、忙しいのにすまんな」
「とんでもない、御用とはなんでしたかな」
よっこらしょと、応接用のソファーに腰を下ろして、にこやかにラクロアに微笑みかける。
「実は、ある人物を貴方の養子に迎えてほしい」
「なんと、私の養子ですか、もしや、妻を娶る気になりましたかな?わたしは、ラクロア様とて幸せを掴む権利が有ると思っております、お子が産まれればとやかく言うやからもおりましょうが、、、なに、心配なされるな」
「いや、そうではなくて、伴侶は男なんだ」
「……なんと、そうでございましたか、僭越ながら我が息子では食指は伸びませんでしたかな、はは、冗談ですよ、ワシに似て、芋鼻の美人には程遠い息子ですからな」
「ご子息のカシルは非常に優秀な男ですが、俺が伴侶にしたいのは……13の子供なんだ」
「13の子供、、、なるほど、なるほど、なるほど、、そういう事もありましょう、いや、大丈夫です、心得ております、なるほど、13の男子……ラクロア様、なんという拗らせたご趣味を、いやはや、いやーーははっ」
少し涙目になったローラン伯爵は、せわしなく自分の膝でごしごしと手汗を拭いている。国の重鎮は動揺を隠せていない。
「どうしてもその子を伴侶に迎えたい、本気なんだ」
「も、もちろん、ラクロア様のお心を疑ってなどおりません、申し訳ございません私としたことが、ちょっと、予想外だったものでして、ですが、大丈夫です、我が子としてその子を迎えたいと思います」
ローラン伯爵は、しっかりとラクロアの瞳をみて、頷いた。ラクロアは、ホッと、胸を撫で下ろした。とりあえずここをクリアしておかないと話が進まない。
「ラクロア様、宰相のローラン伯爵が参られました」
「あぁ、通してくれ」
妹の筆頭後見人、ローラン伯爵は、この国の宰相だ。父の代からその博識と権力をもって、忠義に厚く長く王家に支えてくれている。ラクロアにとっては、数少ない、信頼できる人物である。
白髪まじりの威風堂々とした男で、その様子は、長年王家に使えてきた威厳と自信にみちあふれている。
「ラクロア様、御呼びとのことで」
「あぁ、忙しいのにすまんな」
「とんでもない、御用とはなんでしたかな」
よっこらしょと、応接用のソファーに腰を下ろして、にこやかにラクロアに微笑みかける。
「実は、ある人物を貴方の養子に迎えてほしい」
「なんと、私の養子ですか、もしや、妻を娶る気になりましたかな?わたしは、ラクロア様とて幸せを掴む権利が有ると思っております、お子が産まれればとやかく言うやからもおりましょうが、、、なに、心配なされるな」
「いや、そうではなくて、伴侶は男なんだ」
「……なんと、そうでございましたか、僭越ながら我が息子では食指は伸びませんでしたかな、はは、冗談ですよ、ワシに似て、芋鼻の美人には程遠い息子ですからな」
「ご子息のカシルは非常に優秀な男ですが、俺が伴侶にしたいのは……13の子供なんだ」
「13の子供、、、なるほど、なるほど、なるほど、、そういう事もありましょう、いや、大丈夫です、心得ております、なるほど、13の男子……ラクロア様、なんという拗らせたご趣味を、いやはや、いやーーははっ」
少し涙目になったローラン伯爵は、せわしなく自分の膝でごしごしと手汗を拭いている。国の重鎮は動揺を隠せていない。
「どうしてもその子を伴侶に迎えたい、本気なんだ」
「も、もちろん、ラクロア様のお心を疑ってなどおりません、申し訳ございません私としたことが、ちょっと、予想外だったものでして、ですが、大丈夫です、我が子としてその子を迎えたいと思います」
ローラン伯爵は、しっかりとラクロアの瞳をみて、頷いた。ラクロアは、ホッと、胸を撫で下ろした。とりあえずここをクリアしておかないと話が進まない。
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