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34 猫
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元暗殺者で今はエクリーヌ様の護衛のヒューリは、どうして王を止めなかったのか、止められたはず。非難めいた視線で睨みつけると、ヒューリはひょいっと肩をすくめた。
「悪いな、俺が守るのはエクリーヌだけなんだ」
「王は、エクリーヌ様の子供だよ?」
「あぁ、でもエクリーヌが優先」
「母親は子供を失ったら……生きていられないかもだよ」
「生きていくさ、あいつは強い女だし」
「どうして止めなかったの?」
「二人同時に狙われた時は優先順位があるっていってんだろ、すぐお前らが来たし俺は悪いがエクリーヌのそばにいく」
「エクリーヌ様も狙われた?」
「あいつはこの国で一番命を狙われる立場だからな、敵が多くて嫌になる」
ヒューリは、王は拐われたと知ってる。そして、命を狙われていることも。そして、この人の守るのはエクリーヌ様だけなんだ。
「エクリーヌ様に嫌われるよ?」
「最初から嫌われてるから平気」
「あっそ、僕は行く」
穴をくぐろうとした時、カシャと背中に何かをぶつけられた。振り向くともうヒューリはいなくて、僕の足元には鞘に入った短剣が転がってた。
「ふーん」
僕は、短剣を拾って、穴をくぐって城外へでて、エクシル王の匂いを追った。
城の外は木が生い茂り、城下町にでるまでは、この木に紛れていけば誰にも見られない。
真っ白な服が汚れていくが、走るのをやめない。
きっとラクロア様はすぐに城門を閉じるし、関所に検問を置くし、蟻のこ1匹逃さないだろう。だけれど、それは生きてる場合だけだ。取引の後、町から出ずに殺される。町の何処かに拠点があるはずだ。
走って走って、町中に入ると匂いは入り乱れた。
「う、匂いを追えない」
足を止め気配を探るが、食べ物の匂いが流れてエクシル王の匂いをかき消していく。前に来たことがある食品街にまぎれこんだ犯人はかなり賢い。
「どうしよう」
町中は、近衛兵達が既に走り回ってる。もうきっと何処かの屋敷の中に連れ込まれたはずなのに。
僕はふと、塀の上にいる虎猫をみた。視線があう。
「お困りかい?坊や」
虎猫が話しかけてきた。この猫知ってる、ここらのボスだった猫だ。もうすっかり年寄りになってしまった様子。
「あの……お願いがあるんだ」
「なに?」
「子供を探してる」
「ふーん」
「突撃魚たくさんあげるから、探すの手伝ってくれない?」
「たくさん?本当かい?」
「まってて」
僕は、突撃魚の串焼きを売ってたおじさんの所へはしった。
「おじさん」
「やぁ、坊っちゃん串焼きはいかがかな?あ、お前は……いや、あなた様は」
おじさんは真っ青な顔をして、そのばに這いつくばった。
「先日は申し訳ねぇ、許してください、知らなかったんだ、あなた様がラクロア様のお連れ様だなんて」
ぶるぶる震えて土下座してるおじさんに、申し訳ないと思いつつ。
「僕は怒ってるよ、許して欲しかったら突撃魚の串焼きを十本ちょうだい」
「わ、わかりやした、すぐに」
おじさんは、すぐさま、突撃魚の串焼きを十本手渡してくれた。
「ありがとう、僕、お金ないから、これ」
「え?いや、そんな、こんな高価なもの受け取れません」
おじさんが叫んでたけど、僕はおじさんに投げるように胸のブローチを渡して、突撃魚の串焼きをもってさっきの猫の所へ戻った。
「買ってきた、何匹集められる?」
「30匹ならすぐ」
「ならひとまず、1匹づつ魚あげるから、集めて」
「わかった」
虎猫が塀から降りて路地を走っていく、その後をついていった。
「悪いな、俺が守るのはエクリーヌだけなんだ」
「王は、エクリーヌ様の子供だよ?」
「あぁ、でもエクリーヌが優先」
「母親は子供を失ったら……生きていられないかもだよ」
「生きていくさ、あいつは強い女だし」
「どうして止めなかったの?」
「二人同時に狙われた時は優先順位があるっていってんだろ、すぐお前らが来たし俺は悪いがエクリーヌのそばにいく」
「エクリーヌ様も狙われた?」
「あいつはこの国で一番命を狙われる立場だからな、敵が多くて嫌になる」
ヒューリは、王は拐われたと知ってる。そして、命を狙われていることも。そして、この人の守るのはエクリーヌ様だけなんだ。
「エクリーヌ様に嫌われるよ?」
「最初から嫌われてるから平気」
「あっそ、僕は行く」
穴をくぐろうとした時、カシャと背中に何かをぶつけられた。振り向くともうヒューリはいなくて、僕の足元には鞘に入った短剣が転がってた。
「ふーん」
僕は、短剣を拾って、穴をくぐって城外へでて、エクシル王の匂いを追った。
城の外は木が生い茂り、城下町にでるまでは、この木に紛れていけば誰にも見られない。
真っ白な服が汚れていくが、走るのをやめない。
きっとラクロア様はすぐに城門を閉じるし、関所に検問を置くし、蟻のこ1匹逃さないだろう。だけれど、それは生きてる場合だけだ。取引の後、町から出ずに殺される。町の何処かに拠点があるはずだ。
走って走って、町中に入ると匂いは入り乱れた。
「う、匂いを追えない」
足を止め気配を探るが、食べ物の匂いが流れてエクシル王の匂いをかき消していく。前に来たことがある食品街にまぎれこんだ犯人はかなり賢い。
「どうしよう」
町中は、近衛兵達が既に走り回ってる。もうきっと何処かの屋敷の中に連れ込まれたはずなのに。
僕はふと、塀の上にいる虎猫をみた。視線があう。
「お困りかい?坊や」
虎猫が話しかけてきた。この猫知ってる、ここらのボスだった猫だ。もうすっかり年寄りになってしまった様子。
「あの……お願いがあるんだ」
「なに?」
「子供を探してる」
「ふーん」
「突撃魚たくさんあげるから、探すの手伝ってくれない?」
「たくさん?本当かい?」
「まってて」
僕は、突撃魚の串焼きを売ってたおじさんの所へはしった。
「おじさん」
「やぁ、坊っちゃん串焼きはいかがかな?あ、お前は……いや、あなた様は」
おじさんは真っ青な顔をして、そのばに這いつくばった。
「先日は申し訳ねぇ、許してください、知らなかったんだ、あなた様がラクロア様のお連れ様だなんて」
ぶるぶる震えて土下座してるおじさんに、申し訳ないと思いつつ。
「僕は怒ってるよ、許して欲しかったら突撃魚の串焼きを十本ちょうだい」
「わ、わかりやした、すぐに」
おじさんは、すぐさま、突撃魚の串焼きを十本手渡してくれた。
「ありがとう、僕、お金ないから、これ」
「え?いや、そんな、こんな高価なもの受け取れません」
おじさんが叫んでたけど、僕はおじさんに投げるように胸のブローチを渡して、突撃魚の串焼きをもってさっきの猫の所へ戻った。
「買ってきた、何匹集められる?」
「30匹ならすぐ」
「ならひとまず、1匹づつ魚あげるから、集めて」
「わかった」
虎猫が塀から降りて路地を走っていく、その後をついていった。
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