【完結】運命の番に逃げられたアルファと、身代わりベータの結婚

貴宮 あすか

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第33話 お互いの全て

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 準備は自分でやらせてください。
 結婚当初から何度も訴えている言葉は、今夜も「駄目だ」の一言で却下された。いつもだったらシャワーで洗うだけなのに、今夜は少量のグリセリン液を手ずから注入され、その後の排泄までじっと監視される。
 嫌だ、こんな姿見ないで!
 泣き声で訴えても、「配偶者のあいだでは何も隠し事をしてはいけないんだよ」と諭されて凝視される。その後のシャワーによる洗浄も直樹の役目だ。自分ではさせてもらえない。
「これは夫の務めだから」
 凛々しい顔で真面目に言われたら、そうなんだろうかと思う。直樹としか結婚したことないから、他の同性カップルがどんな結婚生活を送っているのかわからない。アルファ男性とオメガ男性で結婚している人たちも、毎回こんな恥ずかしいことをしているんだろうか。
 いつもより長い時間をかけて丁寧に洗われたあと、新を待ち受けていたのは、明かりを煌々とつけたまま指を挿れられてほぐされるはずかしめだった。
「明かりを消してください」
「駄目だ。ベータの新の中に、俺のを亀頭球まで挿れるためには、きちんとほぐさないといけないだろう? 新に怪我をさせたくない。一緒に気持ち良くなってほしいんだ」
「うん。俺も直樹を全部欲しい」
 愛する夫を根元まで受け入れたい一心で、新は夫の指を何本も挿れられて広げられる羞恥に耐えた。充分広げられたあと、さらに前立腺を刺激される。新は快楽の声を唇を噛んで殺した。ペニスが揺れて、切なくカウパーを垂れ流すのが恥ずかしい。あまりにも気持ちよくて、指を引き抜かれるときには、引き止めるように締めつけてしまった。直樹が低く笑う。新はおずおずと夫に尋ねた。
「やっぱり、俺のこと淫乱だと思ってますか」
 直樹がン?と眉を寄せる。新は俯いた。
「初めてのとき、俺が乳首をいじられて感じてしまったら、『ド淫乱だな』って笑ったでしょう? 俺、十四歳のときにあなたと出会ってから、あなたのことを考えながら慰めていたから、あなた自身にさわってもらえて我慢できなくて……ごめんなさい」
 目を見開いた直樹が何度も口を開いたり閉じたりした。その表情に呆れられたんだと思って、新は泣きたくなった。
「一回会っただけの子どもにそんな対象として見られてたなんて、気持ち悪いですよね。いつもみたいに暗くして、後ろからしてください。後ろからなら少しは女だと思えるでしょう」
「……それでいつも後背位なのか?」
 かすれた声で尋ねられて、新は頷いた。
「初めてのときぐらいは、あなたの顔を見ながら抱かれたかったんです。異性愛者なのは知っていたけれど、兄さんの身代わりだし、大丈夫かなと思って。男とするのは気持ち悪いと思ってたなんて知らなかった」
「なるほどな」
 地の底を這うような声に、失敗したと悟った。大切な人を不快にさせてしまった。
「新は俺で抜いてたのか」
「ごめんなさい」
 涙目で謝罪すると、ベッドに押し倒された。
「許さない」
 逆光で表情が見えない。あんなこと言わなければよかった。そう後悔したとき、直樹は目をギラギラさせて食いついてきた。
「いつもどんなふうに自分を慰めているのか見せてくれ。ああそうだ、十年前と同じスーツを用意しよう。三つ揃いを着て、庭にあるあずまやでオナニーしているところを見せてほしい」
 そんな! 寝室でも恥ずかしいのに、外でなんて耐えられない。ふるふると首を振って拒否すると、アルファの夫は「結婚相手には隠し事をしてはいけないんだよ」と噛んで含めるように諭した。
「隠し事なんてしてません!」
「それなら。新の全てを見せてほしい」
 餓えたアルファに迫られて、新は大きく目を見張った。

 これが騎乗位。凄い。
 新は直腸に夫を受け入れて、幸せな気持ちでゆっくりと腰をグラインドさせた。引き締まった太腿で夫を挟み、ぐぽ、ぐぽ、と肉襞で直樹をしごくように自分で動く。ごつごつと血管の浮いた剛直が、ぬちぬちと肛門を出入りするのが気持ちよかった。ゆらゆらと腰を揺すっていると、不意に突き上げられて、新の喉は勝手に嬌声を漏らした。
「新、もっとよく見せてごらん。手を後ろにつくんだ」
 優しいアルファの声に、はいと返事して、新は後ろに手をついた。恥ずかしい。けれど、直樹を頑張って受け入れているところを見てもらって、褒めてもらいたい。
 たくましいアルファの、その太い肉竿に貫かれているいやらしい場所。雄を咥えこんで離さない後孔を、直樹の視線にさらす。
 時間をかけて準備してもらった肛門は、大きく広がって夫を飲み込んでいた。
「とっても上手に飲み込んでるよ。新はお馬に乗るのが上手だ」
 嬉しい。どうしよう。顔を赤くして照れ笑いすると、不意に左右の乳首をひねられた。
「あ、あああっ、出るっ!」
 すでにいっぱいいっぱいになっていた新は、乳首への刺激で達した。夫の腹にびゅるっびゅるっと濃い精液をいっぱい出してしまう。新は射精しながら直樹を締めつけた。腸壁がもっと直樹を欲しがって、奥へ誘い込むようにうごめく。

「新!」

 ベータの細腰を掴んで、直樹は突き上げた。身体の重みもあって、直樹の陰茎を亀頭球までぐっぽりと頬張る。すごくきついのに、夫のすべてを受け入れられたという達成感と歓喜で、新はさらに激しく腰を振った。
 結腸の入口をペニスの先端で突かれるたび、体の奥までキスされているようで、嬉しくて、幸せで、恥ずかしい声を垂れ流した。

「なお、なお、も、あああっ!」

 再び薄い精液を噴きながら体を大きく震わせて達する。アルファの亀頭球が体の中で膨れ上がり、新を固定して射精した。熱く充血した夫のものが、あとからあとから精液を放っている。
「あらた、あらた、あらた」
 執念に満ちた声で繰り返し名前を呼びながら、直樹は新の中に子種を注ぎ続けた。
 嬉しい。嬉しい。子どもは産めないけれど、直樹に種付けされてる幸福で頭がいっぱいになる。新は肉筒で夫の剛直を締め上げながら、絶頂を極めた。


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