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一番割りを食ったのは幼馴染ちゃん
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「私は貴女を愛することはありません」
「はい、知ってます」
「え」
「男爵家の跡継ぎである貴方様は、幼馴染の平民の女性を心から愛している。うん、美しいお話です」
私は多分、今すごく間抜けな顔をしている。今日妻になったばかりの人は、聞いてはいたが少々変わった人らしい。
「その貴方様のお美しい恋愛事情の一方で、その妻となったわたくし。貴族の子女の通う学園にて聖女様が逆ハーレムを作り上げたのを見て、これはダメだろうと思いあろうことか聖女様をぶん殴った悪人でございます」
「あ、はい…知っていますよ。でも、貴女がしたことは間違っていますが、主張は正しいと判断されたと聞いています」
「ええ。そうです。で、罰どうする?となってお互い望まないだろう結婚を押し付けられたと」
「…そうですね。私は幼馴染と結婚できない、貴女は公爵家の姫君なのに男爵家に嫁入り。これ以上ない嫌がらせです。教会の考えそうなことだ」
私はため息をつく。…実際、妻となったこの人は、やり方はともかく主張は正しかった。それは同意する。というかむしろ、やり方もこの上なく正しかったと私は思うのだ。
彼女が聖女様をぶん殴ったおかげで、聖女様の魅了にやられていた王太子殿下やその側近たちも正気に戻ったし。そのおかげで教会の腐った連中を芋づる式に排除できたらしいし。性悪聖女は結界の修復と国民達への加護を与えることさえしていればいいと幽閉されたし。
彼女には悪感情はない。むしろその正義感には憧れさえ抱く。ただ、私は愛する人がいる。どうしても諦められない。
「ということでですね、別邸に幼馴染さんを囲いましょう」
「はい?」
「貴方は別邸で甘い日々を過ごしてくださればいい。生まれてくる子供だけ、正妻である私の子ということにしてくださればそれで」
「…貴女って人は」
普通、こんなこと言われたらぶち切れるところだろう。幼馴染をなんだと思っていると。
しかし、幼馴染を諦められない私にとってはこの上なく素晴らしい提案だった。私は、幼馴染を手放せない。幼馴染も、まだ私を思ってくれている。
それを全部理解しての提案だ。妻となった人は、むしろすごく優しい人だと思った。
「…本当に貴女はそれでいいんですね?」
「もちろん」
「貴女の方は、愛人は?」
「んー…今のところ要りません。必要になったら言いますね」
「わかりました」
ということで、私達は仮初めの夫婦となった。
「いやぁ、我が子は可愛らしいですねぇ」
「…ええ、そうですね」
「あら?ご不満でも?」
「まさか。そういう約束ですから」
「それは良かった。心配しなくても大丈夫ですよ、大切にしますから」
あれから。幼馴染を別邸に囲い、幼馴染と夫婦のように甘い時間を過ごした。本物の妻はなんの文句も言わず、むしろ私達のことを応援してくれていた。そして、幼馴染はやがて私の子供を産んだ。
幼馴染から我が子を取り上げた。それは元からわかっていたこと。幼馴染は泣いたが、仕方がないことだった。
妻は幼馴染が生んだ私の息子を、我が子という。本当の母のように振る舞う。乳は、乳母に任せている。でもそれ以外は、甲斐甲斐しく自分で世話を焼いている。
「必ず、将来の男爵として立派に。人として素晴らしい男の子に。お約束します」
「貴女がそう言うなら、そう育つでしょうね。なんとなくそんな気がします」
「ええ。これからも、女の子でも男の子でもどんと来いですよ」
そう。幼馴染が生んだ子は、これから全て妻の子ということになる。そういう約束なのだから。…私が、選んだことだ。そして、幼馴染が了承したことでもある。
「でも…我が子を抱きたいとは思わないのですか?」
「今抱いてますよ」
「いえ、そうではなく」
妻は、私の言いたいことを理解するとぽそっと言った。
「わたくし、子供を産めない身体なんです」
「…え?」
「わたくしね、わたくし…幼い頃に、病気で…」
「すみません、無理に話す必要はありませんよ。ほら、息を吸って…吐いて…そう、上手です」
過呼吸気味になりかけた妻を、介抱する。しばらくすると、呼吸が落ち着いてきた。
「すみません、何も知らないでズカズカと踏み込みました」
「いえ、いいんです。…ありがとうございます、もう大丈夫です。落ち着きました」
「ええ…」
「…」
「…」
気まずい沈黙。だが、妻が口を開いた。
「そんなわけで、誰かと婚約するでもなく。将来的には、お金持ちのお爺さんの後妻とか目指してました。子供が出来なくても、怒られない相手を選ぼうと。だから、愛する相手がいるという貴方との結婚はありがたかったんです」
「そうですか」
「こうして、我が子も抱けますし。感謝しています」
「…私こそ、幼馴染との甘い日々は貴女のおかげです。感謝してもし足りない」
「改めて、これからも末永くよろしくお願いします」
そうして微笑んだ彼女は、どこか悲しそうに見えたのは私の勘違いだろうか。
結局。幼馴染は私の子を六人産んだ。全員妻の子になった。
幼馴染は、それでも私を愛してくれる。私も幼馴染を愛している。二人での別邸暮らしは、幸せだ。
妻は、六人の子宝に恵まれたと嬉しそうにしている。甲斐甲斐しく世話を焼いて、子供達も本当の母など知らずに妻に懐いている。
「お母様!今日も私、お母様とお菓子作りしたい!」
「もちろんいいですよ。では、手を洗って早速始めましょうか。みんなも手伝ってね」
「はい、母上」
「母上のお菓子楽しみだなぁ!」
「私、お母様のお菓子大好き!」
子供達は、本邸で幸せそうに暮らしている。今更私や幼馴染がでしゃばってもろくなことにならない。この状況は父と母も仕方なくだが認めてくれているので、私は幼馴染だけを愛する日々を送る。
我が子達はそれでも、私にたまに会うとお父様と懐いてくれる。その愛らしさときたら。…私は、幼馴染にとんでもないことをしてしまったと今更悔いる。その分、幼馴染に愛を捧ぐ。それしか出来ることはない。
子供たちだけは、なんの葛藤もなく幸せでいられるのはせめてもの救いだろうか。
「お母様、大好き!」
「わたくしもみんなを愛しています!わたくしがみんなを、絶対に世界一幸せにしますからね!」
「母上大好きー!」
「はい、知ってます」
「え」
「男爵家の跡継ぎである貴方様は、幼馴染の平民の女性を心から愛している。うん、美しいお話です」
私は多分、今すごく間抜けな顔をしている。今日妻になったばかりの人は、聞いてはいたが少々変わった人らしい。
「その貴方様のお美しい恋愛事情の一方で、その妻となったわたくし。貴族の子女の通う学園にて聖女様が逆ハーレムを作り上げたのを見て、これはダメだろうと思いあろうことか聖女様をぶん殴った悪人でございます」
「あ、はい…知っていますよ。でも、貴女がしたことは間違っていますが、主張は正しいと判断されたと聞いています」
「ええ。そうです。で、罰どうする?となってお互い望まないだろう結婚を押し付けられたと」
「…そうですね。私は幼馴染と結婚できない、貴女は公爵家の姫君なのに男爵家に嫁入り。これ以上ない嫌がらせです。教会の考えそうなことだ」
私はため息をつく。…実際、妻となったこの人は、やり方はともかく主張は正しかった。それは同意する。というかむしろ、やり方もこの上なく正しかったと私は思うのだ。
彼女が聖女様をぶん殴ったおかげで、聖女様の魅了にやられていた王太子殿下やその側近たちも正気に戻ったし。そのおかげで教会の腐った連中を芋づる式に排除できたらしいし。性悪聖女は結界の修復と国民達への加護を与えることさえしていればいいと幽閉されたし。
彼女には悪感情はない。むしろその正義感には憧れさえ抱く。ただ、私は愛する人がいる。どうしても諦められない。
「ということでですね、別邸に幼馴染さんを囲いましょう」
「はい?」
「貴方は別邸で甘い日々を過ごしてくださればいい。生まれてくる子供だけ、正妻である私の子ということにしてくださればそれで」
「…貴女って人は」
普通、こんなこと言われたらぶち切れるところだろう。幼馴染をなんだと思っていると。
しかし、幼馴染を諦められない私にとってはこの上なく素晴らしい提案だった。私は、幼馴染を手放せない。幼馴染も、まだ私を思ってくれている。
それを全部理解しての提案だ。妻となった人は、むしろすごく優しい人だと思った。
「…本当に貴女はそれでいいんですね?」
「もちろん」
「貴女の方は、愛人は?」
「んー…今のところ要りません。必要になったら言いますね」
「わかりました」
ということで、私達は仮初めの夫婦となった。
「いやぁ、我が子は可愛らしいですねぇ」
「…ええ、そうですね」
「あら?ご不満でも?」
「まさか。そういう約束ですから」
「それは良かった。心配しなくても大丈夫ですよ、大切にしますから」
あれから。幼馴染を別邸に囲い、幼馴染と夫婦のように甘い時間を過ごした。本物の妻はなんの文句も言わず、むしろ私達のことを応援してくれていた。そして、幼馴染はやがて私の子供を産んだ。
幼馴染から我が子を取り上げた。それは元からわかっていたこと。幼馴染は泣いたが、仕方がないことだった。
妻は幼馴染が生んだ私の息子を、我が子という。本当の母のように振る舞う。乳は、乳母に任せている。でもそれ以外は、甲斐甲斐しく自分で世話を焼いている。
「必ず、将来の男爵として立派に。人として素晴らしい男の子に。お約束します」
「貴女がそう言うなら、そう育つでしょうね。なんとなくそんな気がします」
「ええ。これからも、女の子でも男の子でもどんと来いですよ」
そう。幼馴染が生んだ子は、これから全て妻の子ということになる。そういう約束なのだから。…私が、選んだことだ。そして、幼馴染が了承したことでもある。
「でも…我が子を抱きたいとは思わないのですか?」
「今抱いてますよ」
「いえ、そうではなく」
妻は、私の言いたいことを理解するとぽそっと言った。
「わたくし、子供を産めない身体なんです」
「…え?」
「わたくしね、わたくし…幼い頃に、病気で…」
「すみません、無理に話す必要はありませんよ。ほら、息を吸って…吐いて…そう、上手です」
過呼吸気味になりかけた妻を、介抱する。しばらくすると、呼吸が落ち着いてきた。
「すみません、何も知らないでズカズカと踏み込みました」
「いえ、いいんです。…ありがとうございます、もう大丈夫です。落ち着きました」
「ええ…」
「…」
「…」
気まずい沈黙。だが、妻が口を開いた。
「そんなわけで、誰かと婚約するでもなく。将来的には、お金持ちのお爺さんの後妻とか目指してました。子供が出来なくても、怒られない相手を選ぼうと。だから、愛する相手がいるという貴方との結婚はありがたかったんです」
「そうですか」
「こうして、我が子も抱けますし。感謝しています」
「…私こそ、幼馴染との甘い日々は貴女のおかげです。感謝してもし足りない」
「改めて、これからも末永くよろしくお願いします」
そうして微笑んだ彼女は、どこか悲しそうに見えたのは私の勘違いだろうか。
結局。幼馴染は私の子を六人産んだ。全員妻の子になった。
幼馴染は、それでも私を愛してくれる。私も幼馴染を愛している。二人での別邸暮らしは、幸せだ。
妻は、六人の子宝に恵まれたと嬉しそうにしている。甲斐甲斐しく世話を焼いて、子供達も本当の母など知らずに妻に懐いている。
「お母様!今日も私、お母様とお菓子作りしたい!」
「もちろんいいですよ。では、手を洗って早速始めましょうか。みんなも手伝ってね」
「はい、母上」
「母上のお菓子楽しみだなぁ!」
「私、お母様のお菓子大好き!」
子供達は、本邸で幸せそうに暮らしている。今更私や幼馴染がでしゃばってもろくなことにならない。この状況は父と母も仕方なくだが認めてくれているので、私は幼馴染だけを愛する日々を送る。
我が子達はそれでも、私にたまに会うとお父様と懐いてくれる。その愛らしさときたら。…私は、幼馴染にとんでもないことをしてしまったと今更悔いる。その分、幼馴染に愛を捧ぐ。それしか出来ることはない。
子供たちだけは、なんの葛藤もなく幸せでいられるのはせめてもの救いだろうか。
「お母様、大好き!」
「わたくしもみんなを愛しています!わたくしがみんなを、絶対に世界一幸せにしますからね!」
「母上大好きー!」
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