神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました

下菊みこと

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兄様は泣いていた

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身体中が痛くて、目を覚ます。

特に頭が痛くてずっしりと重い。

「…キュー?キュー!」

まず始めに目に映ったのは、幼い頃のように大粒の涙を流す兄様。

「兄様…?」

「ごめん、ごめんね…全部オレのせいだ…!」

あー、そういえばクリンゲと一悶着あったんだっけ。

「兄様のせいじゃない。キューは大丈夫」

「でもお前、頭を強く打ったんだよ。どうしよう、もしお前に何かあったら…傷が残ったら、何か障害が残ったら…」

「大丈夫。このお寺にはそういう人も多い」

「それはそうだけど!」

「兄様が守るこのお寺の中なら、どんなことがあっても私は生きていけるはず。このお寺は兄様に似て優しいから。まあ、この心臓が動いていればだけど」

それとも、と兄様に狡い質問をする。

「兄様は、そんなキューは要らない?」

「要る!すごく要る!」

「兄様がキューを必要としてくれれば、大丈夫」

「キュー…」

それでも涙が溢れ続ける兄様にちょっと困る。

ふと、視界の端に黄色い尻尾が見えた。

と思ったら、黄色い尻尾が私の頭を撫でる。

瞬間身体から痛みが引いて、ずっしり重かった頭が軽くなった。

「クソギツネ…?」

涙も止まってきょとんとした兄様にも、お狐様の尻尾が見えているのかな。

「…ありがとう。お前に生まれて初めて心から感謝するよ」

もう痛みも何もないので身体を起こす。

うん、不調一切なし。

「兄様、治った。お狐様、ありがとう」

ご機嫌そうに尻尾が揺れた後消えた。

兄様は複雑そうに見送った。

「兄様、お腹すいた」

「そうだろうね。キューったら三日も意識失ってたもの。水分と栄養を点滴で入れてなんとか保たせてたんだよ」

「え」

それはやばい。

「クソギツネは癒してくれたから胃腸もおそらく回復してるだろうけど、一応パンがゆから慣らしていこう」

「うん」

「持ってくるから待っててね」

その後兄様が手ずからパンがゆを食べさせてくれつつ言った。

「クソギツネ、キューが意識を戻してから癒すってどういうつもりだったんだろう」

「どうなんだろう。私が加護断固拒否してたから勝手なことしたら嫌われると思ったのかな」

「ありそう。そういう時こそ余計なお世話焼けよ」

「兄様口調」

「おっとすまない」

優しい兄様しか知らない人が今日の兄様を見たら目玉ひん剥くだろうなぁ。

「あれ、そう言えばあの二人は?」

「…キューに付けたボディーガードはキューを庇って、背中に大怪我をしてね。おかげでキューは頭のダメージ以外は無事だった。頭のダメージこそが致命的だったけど、キューは起きてくれたしクソギツネが助けてくれたからいいや」

「それで、どうなったの」

兄様はちょっと視線を逸らして言った。

「生きてるよ。背中がちょっと大分グロいけど生きてる。ただ長期療養が必要。背中以外は無事なはず。…ごめんね」

「…うん、兄様が謝ることじゃないけど大丈夫」

「オレの側仕えの彼は、キューを守ってくれた彼の看病に当ててる。しばらくなら別に側仕え居なくても平気だし」

「そっか」

「キューのボディーガードはしばらくオレがするから」

決定事項として告げる兄様に、これはもう諦めて言うこと聞くしかないなぁとぼんやり思った。
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