神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました

下菊みこと

文字の大きさ
103 / 108

番外編 聖神教の教皇

しおりを挟む
「…聖女よ、まさか奴らに肩入れするつもりか?」

「もし聖神教がパラディース教に嫌がらせをしたり対立したりするならば、私は聖女としての力を使うことを一切やめます」

そんな聖女とのやり取りの後、教皇たる私は我ら聖神教の者はパラディース教を害することを禁じるとのお触れを出した。

だが、納得がいかない。

あんな新興宗教のなにが良いというのだ。

「なんとか…なんとか秘密裏にパラディース教を追い詰められないだろうか」

一人部屋でポツリと呟く。

すると、目の錯覚なのか何か黄色いふわふわが視界の端に映った。

「…見間違いか?」

『ふふふ、そんなにあの子に文句があるのなら…話を聞いてあげるから僕の世界においで』

「え」

ふと、視界が閉じた。

そして次の瞬間には、和風な建築の知らない場所にいた。

「な、なんだここは…」

混乱する思考の中歩き回っていると、ふと厳かな雰囲気の場所に出た。

九尾の狐と、どこかで見たことのある娘に出会う。

あの娘は確か、パラディース教の天主であるクソガキに入れ込んで破滅した家の行方知れずの娘ではないか?

「やあ、いらっしゃい」

「き、狐が喋った…!?」

「狐とはいえ、一応神だからね」

「なっ…妖の分際で神を名乗るなどっ…!?」

キュッと首が締まる。

「ああ、いけないよ。ここは僕の領域なのだから、僕に敵意を向ければそれ相応の罰が下る」

…まさか。

まさか本当に、神の一柱だというのか!?

「僕はこれでも、パラディース教の神だからね。もしあの子…パラディース教の天主に文句があるなら、代わりに僕が聞こう」

「くっ…あっ…」

聖神教は確かに他の宗教、他の神の存在も認めている。

しかし、しかし!

パラディース教に、新興宗教であるあの宗教に!!!

神がいるなどとぉおおおおおおお!!!

「そんなこと、認められるかぁ!!!!!」

力を振り絞り、狐神に向けて走り出す。

しかし狐神に殴りかかる前に、狐神のそばに控えていたあの娘に止められた。

それほどに今の私は、虫の息であった。

「く、くるしぃ、息が…くる、しぃ…」

「落ち着いて、ほら、深呼吸してごらん」

「ぅ…ぅうう…ら、楽になった?」

「特別に、神の許しを与えたんだよ。さあ、これでもまだ僕の可愛いあの子を害する気になるのかな?」

「それは…」

おそらくこの狐神は、私をいつでも殺せる。

もう私に、抵抗の意志は…持てない。

私はあの天主を名乗る小僧と戦うことすらなく、完璧に叩きのめされたのだ…。

「もうなにもしないと誓うなら、逃がしてあげるよ」

「も、もう…パラディース教に敵意は持ちません…」

「よろしい。あ、ついでに言っておくけれど教皇なんだからさぁ…教会にある莫大な資金も少しは民草のために使いなよ」

「は、はい…」

そして私は、元いた部屋に戻された。

その後は極力パラディース教に関わらないようにして、教会の資金を貧民への支援に費やすようになった。

その後は狐神に神隠しされることもなく、穏やかな日々を過ごしている。

もう、パラディース教には近付きたくはないものだ。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!

楠ノ木雫
恋愛
 貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?  貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。  けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?  ※他サイトにも投稿しています。

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。 人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。 それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。 嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。 二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。 するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー

婚約破棄された地味姫令嬢は獣人騎士団のブラッシング係に任命される

ゴルゴンゾーラ三国
恋愛
 社交界で『地味姫』と嘲笑されている主人公、オルテシア・ケルンベルマは、ある日婚約破棄をされたことによって前世の記憶を取り戻す。  婚約破棄をされた直後、王城内で一匹の虎に出会う。婚約破棄と前世の記憶と取り戻すという二つのショックで呆然としていたオルテシアは、虎の求めるままブラッシングをしていた。しかしその虎は、実は獣人が獣の姿になった状態だったのだ。  虎の獣人であるアルディ・ザルミールに気に入られて、オルテシアは獣人が多く所属する第二騎士団のブラッシング係として働くことになり――!? 【この作品は、別名義で投稿していたものを加筆修正したものになります。ご了承ください】 【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』にも掲載しています】

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

処理中です...