55 / 87
超級ダンジョンの探索を任せる
しおりを挟む
蓮太郎とニノン達が談笑していると、応接間のドアがノックされた。
「ニノン、入るぞ」
現れたのはファルマン。
「パパ?どうしたの?」
「色々あってな。せっかく楽しそうなところに悪いんだが、少し冒険者殿と話をさせてくれ」
「うん」
ファルマンは蓮太郎に向き直る。
「お初にお目にかかる。ファルマン・ゴーチエ・ウジェーヌだ。この辺りの領主であり、ニノンの父だ。公爵位を賜っている」
「これはご丁寧に。東国 蓮太郎だ。この度は薬湯温泉の件で、ニノン殿に大変お世話になった」
「我が娘は良い子だろう?」
「ははは。とても良い方だと思う。しかし、公爵殿も娘には形無しか」
「まあな」
ファルマンと蓮太郎は固く握手をした。
「して、俺に何用だろうか。恩人であるニノン殿の父君の頼みであれば、出来る限りは叶えるが」
「そう言ってもらえるとありがたい。…今し方、部下から緊急の連絡が入った。難民の村は知っているだろうか」
「もちろん。薬湯温泉のある村だろう」
「そうだ。その村は、森の中にあるだろう?村の付近、森の奥にダンジョンが出現した」
「なんと」
蓮太郎は真剣な表情になる。
「付近の住民にはダンジョン内に入らないよう命令してある。自らダンジョンに入る者はそもそもいないだろうが、一応な」
「それが良いだろうな。初級のダンジョンでさえ、一般人には致命的だ」
「…それなんだがな」
ファルマンは一呼吸おいて、言った。
「どうも、超級ダンジョンらしい。命からがら戻ってきた冒険者複数人の証言だ、間違いない」
「…これは驚いた」
「おやまあ」
蓮太郎とガエルが驚きの声を上げる。ニノンがおずおずと手を挙げて質問する。
「パパ、超級ダンジョンって死者が続出する攻略が難しいダンジョンだよね?」
「そうだ。しかし、その中の秘宝は価値がものすごく高い。正直俺も手に入れて家宝にしたい。ただ、並みの冒険者では歯が立たないだろう。そこでだ」
「俺の出番、というわけだ」
蓮太郎が言えば、ファルマンが頷いた。
「ああ、SSSランクの冒険者である貴殿にダンジョンを攻略して欲しい」
「隠居生活を送っていたからブランクはあるが」
「貴殿ならば大丈夫だろうと信じている。引き受けては貰えないだろうか」
「…ふむ。喜んで引き受けよう」
蓮太郎の言葉に、ファルマンの表情が和らいだ。
「ありがとう、助かる。…超級ダンジョンを攻略しに行く無謀な奴らの死体が積み上がるのも、回避したいからな」
「本音はそちらか。秘宝より人命重視とは、貴族の中では珍しい」
「秘宝が欲しいのも本当だがな。秘宝を一つ所有するだけで、貴族の価値はぐんと上がる。ニノンの将来のためにも、今のうちに手に入れておきたい」
ファルマンの言葉にニノンは瞳を輝かせる。
「パパ…!ありがとう、大好き!」
「愛してるぞ、ニノン」
「うむうむ。仲が良くてなにより」
ファルマンとニノンの仲の良さに、蓮太郎はご機嫌になった。
「ニノン、入るぞ」
現れたのはファルマン。
「パパ?どうしたの?」
「色々あってな。せっかく楽しそうなところに悪いんだが、少し冒険者殿と話をさせてくれ」
「うん」
ファルマンは蓮太郎に向き直る。
「お初にお目にかかる。ファルマン・ゴーチエ・ウジェーヌだ。この辺りの領主であり、ニノンの父だ。公爵位を賜っている」
「これはご丁寧に。東国 蓮太郎だ。この度は薬湯温泉の件で、ニノン殿に大変お世話になった」
「我が娘は良い子だろう?」
「ははは。とても良い方だと思う。しかし、公爵殿も娘には形無しか」
「まあな」
ファルマンと蓮太郎は固く握手をした。
「して、俺に何用だろうか。恩人であるニノン殿の父君の頼みであれば、出来る限りは叶えるが」
「そう言ってもらえるとありがたい。…今し方、部下から緊急の連絡が入った。難民の村は知っているだろうか」
「もちろん。薬湯温泉のある村だろう」
「そうだ。その村は、森の中にあるだろう?村の付近、森の奥にダンジョンが出現した」
「なんと」
蓮太郎は真剣な表情になる。
「付近の住民にはダンジョン内に入らないよう命令してある。自らダンジョンに入る者はそもそもいないだろうが、一応な」
「それが良いだろうな。初級のダンジョンでさえ、一般人には致命的だ」
「…それなんだがな」
ファルマンは一呼吸おいて、言った。
「どうも、超級ダンジョンらしい。命からがら戻ってきた冒険者複数人の証言だ、間違いない」
「…これは驚いた」
「おやまあ」
蓮太郎とガエルが驚きの声を上げる。ニノンがおずおずと手を挙げて質問する。
「パパ、超級ダンジョンって死者が続出する攻略が難しいダンジョンだよね?」
「そうだ。しかし、その中の秘宝は価値がものすごく高い。正直俺も手に入れて家宝にしたい。ただ、並みの冒険者では歯が立たないだろう。そこでだ」
「俺の出番、というわけだ」
蓮太郎が言えば、ファルマンが頷いた。
「ああ、SSSランクの冒険者である貴殿にダンジョンを攻略して欲しい」
「隠居生活を送っていたからブランクはあるが」
「貴殿ならば大丈夫だろうと信じている。引き受けては貰えないだろうか」
「…ふむ。喜んで引き受けよう」
蓮太郎の言葉に、ファルマンの表情が和らいだ。
「ありがとう、助かる。…超級ダンジョンを攻略しに行く無謀な奴らの死体が積み上がるのも、回避したいからな」
「本音はそちらか。秘宝より人命重視とは、貴族の中では珍しい」
「秘宝が欲しいのも本当だがな。秘宝を一つ所有するだけで、貴族の価値はぐんと上がる。ニノンの将来のためにも、今のうちに手に入れておきたい」
ファルマンの言葉にニノンは瞳を輝かせる。
「パパ…!ありがとう、大好き!」
「愛してるぞ、ニノン」
「うむうむ。仲が良くてなにより」
ファルマンとニノンの仲の良さに、蓮太郎はご機嫌になった。
10
あなたにおすすめの小説
彼女が微笑むそのときには
橋本彩里(Ayari)
ファンタジー
ミラは物語のヒロインの聖女となるはずだったのだが、なぜか魔の森に捨てられ隣国では物語通り聖女が誕生していた。
十五歳の時にそのことを思い出したが、転生前はベッドの上の住人であったこともあり、無事生き延びているからいいじゃないと、健康体と自由であることを何よりも喜んだ。
それから一年後の十六歳になった満月の夜。
魔力のために冬の湖に一人で浸かっていたところ、死ぬなとルーカスに勘違いされ叱られる。
だが、ルーカスの目的はがめつい魔女と噂のあるミラを魔の森からギルドに連れ出すことだった。
謂れのない誤解を解き、ルーカス自身の傷や、彼の衰弱していた同伴者を自慢のポーションで治癒するのだが……
四大元素の魔法と本来あるはずだった聖魔法を使えない、のちに最弱で最強と言われるミラの物語がここから始まる。
長編候補作品
【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
お言葉ですが今さらです
MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。
次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。
しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。
アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。
失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。
そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。
お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。
内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。
他社サイト様投稿済み。
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
【完結】平民聖女の愛と夢
ここ
ファンタジー
ソフィは小さな村で暮らしていた。特技は治癒魔法。ところが、村人のマークの命を救えなかったことにより、村全体から、無視されるようになった。食料もない、お金もない、ソフィは仕方なく旅立った。冒険の旅に。
【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。
鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。
さらに、偽聖女と決めつけられる始末。
しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!?
他サイトにも重複掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる