皇帝陛下の愛娘は今日も無邪気に笑う

下菊みこと

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皇帝陛下の愛娘は皇太女になる

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三年の時が過ぎ、リリアージュの誕生日が来た。リリアージュは十八歳となり、今日は皇太女となる日となる。

「リリアージュ。準備は万端か?」

「うん、パパ!」

これから貴族達に守られながら立太子の儀を行うことになるリリアージュは、かなり緊張していたがそれを隠して完璧な微笑みを浮かべた。ナタナエルはそんなリリアージュを愛おしげに見つめ、頬にキスをする。

「大丈夫だ。お前は立派な皇太女になるよ」

「パパ、大好き!」

そしてナタナエルが先に会場に入る。リリアージュは緊張で震える手を抑え付けて、完璧な微笑みを浮かべて出番を待った。

そして、ナタナエルに呼ばれて会場に入るリリアージュ。

「おお!皇女殿下は益々見目麗しく成長なさいましたな」

「凛とした雰囲気ですわね」

「この方がこれから我らがプロスペール皇国を担っていかれるのか…」

「皇帝陛下と皇女殿下がいれば、我が国は安泰ですわね」

「三年前の震災の際も、皇帝陛下と第一皇女殿下のおかげで多くの者が救われましたからな」

「妖精王様の加護と祝福を授かっておられる故な」

「それもこれもリリアージュ皇女殿下のお人柄故ですわ」

「流行病の際もご活躍なさいましたものね」

「ランメルト王国の復活も支援されていましたわね」

「ウジェーヌ王国にも恵みをもたらされましたな」

「各国に恩を売られるとは、さすがは皇女殿下」

「しかも本人はその優しさのみで偉業を成し遂げたのですから、素晴らしい方です」

貴族達から口々に賞賛され、少しだけ平静を取り戻すリリアージュ。リリアージュのこれまでの功績を称えるのは当たり前のことであるが、リリアージュはみんな大袈裟だなぁと思ってかえって落ち着いた。

「リリアージュ・プロスペール」

ナタナエルが威厳に満ちた声でその名を呼ぶ。

「はい、皇帝陛下」

リリアージュは頭を下げて言葉を待つ。

「お前は今年で十八歳となった。この節目に、お前を皇太女として指名する」

「有り難き幸せ」

頭を下げるリリアージュに、冠が与えられる。

「顔を上げろ。リリアージュ、お前は立太子する前から数々の偉業を成し遂げてきた。これからもお前の活躍に期待する」

ナタナエルの言葉に、リリアージュは顔を上げて最高の笑顔を浮かべた。

「誠心誠意、励んでまいります」

貴族達から歓迎の拍手が送られる。リリアージュは優雅に微笑み手を振って応えた。ナタナエルもリリアージュの凛とした姿に大満足である。

「リリアージュ、そろそろ移動するぞ」

「うん、パパ」

この後は皇帝であるナタナエルと婚約者のニコラと共に、神輿に乗ってパレードに参加することになる。リリアージュはもう緊張はすっかり解けた様子で、ゆったりと優雅に移動する。その姿に貴族達も大満足である。

「ニコラ!」

「リリアージュ。立太子の儀、見事だったよ」

ニコラがリリアージュを褒め称える。リリアージュは嬉しそうに笑った。

「ニコラとパレードなんて、初めてだね!なんだかニコラを私の婚約者ですって自慢できるみたいで嬉しいな」

「僕も同じ気持ちだよ、リリアージュ」

笑みを浮かべて見つめ合う二人の甘い空気を、ナタナエルはばっさりと切り捨てる。

「リリアージュ。神輿に乗るぞ」

「うん、パパ」

「皇帝陛下、大人気ないです」

「うるさい。婚約を認めただけでも感謝しろ」

「わかっていますよ。大事な娘さんを下さってありがとうございます」

「結婚まではまだやらん」

「もう!パパ、ニコラもこれからパレードなんだから笑顔笑顔!」

リリアージュに言われてナタナエルとニコラは渋々言い合いをやめて神輿に乗る。リリアージュを乗せた神輿が出発した。リリアージュの姿を一目見ようと押し寄せた平民達が神輿を囲うように整列している。もちろん騎士達が護衛しているので、近付きすぎることはない。

「ナタナエル皇帝陛下万歳ー!」

「リリアージュ皇太女殿下万歳ー!」

リリアージュはその歓迎の声に応えて手を振った。歓声が大きくなる。リリアージュがそれに微笑むとさらに歓声が上がった。

「リリアージュは相変わらず人気ですね」

「心優しき美貌の姫、だそうだ」

「リリアージュにぴったりの褒め言葉ですね」

「リリアージュは愛されるために生まれてきたからな」

「皇帝陛下はまだまだ子離れ出来そうにありませんね」

「お前こそ婚約者を優先し過ぎて皇配教育が遅れそうなんじゃないか?」

「僕はそんなヘマはしません」

「俺は誰がなんと言おうがリリアージュの父親として娘を守るだけだ」

「そういうところだと思いますよ、皇帝陛下」

「そっくりそのままお前に返す」

「はい?」

「文句があるなら言ってみろ」

この三年の間に、ナタナエルとニコラはすっかり仲良くなった様子である。リリアージュはそんな二人に笑う。

「もう。私にとっておめでたい日なのにまだ二人とも喧嘩するの?」

「ふん」

「ごめんね、リリアージュ。改めて、おめでとう」

「うん、ありがとう!」

こうしてリリアージュの立太子の儀とパレードは大成功を収めることとなった。
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