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浮気なんてさせませんわよ
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「なあなあ。リリベールは婚約者が浮気性だったらどうする?」
「はい?奪い返しますわよ?」
「でもそういう男だったら別れた方が良くね?」
「まあ普通は。でも、私の婚約者は貴方ですもの。絶対貴方以外なんて考えられませんわ」
「…~っ!リリベール、愛してるぜ!」
ガバッと私を抱きしめる私の婚約者。ああ、やっぱり私には貴方しか居ませんわ。
改めましてご機嫌よう。私はアデライド侯爵家の長女、リリベールと申します。こちらは私の婚約者でベルトラン公爵家の長男、セルエル様。ちょっとおバカさんなところはありますが、基本的に文武両道で見た目も爵位も性格もピカイチ。そのため、とてもモテます。しかし、私という婚約者がいるので普通は遠巻きに眺めて憧れるだけ。実害は今まではなかったのです。今までは。
「ですが、なぜそんな話を?」
「あー、実はマリアンヌちゃんから婚約者が浮気性で困ってるって相談されてさ」
そう。そのマリアンヌ様という方が問題なのです。イノセンス男爵家の一人娘であるマリアンヌ様は、どうも私を排除してセルエル様を奪いたいご様子。逐一有る事無い事セルエル様にご相談を持ちかけて「私が頼れるのはセルエル様だけです」と甘えてくるらしく。しかしおバカさんなセルエル様はそんな策略には全く気付かず、真剣に相談に乗ってあげています。優し過ぎるのもセルエル様の素敵なところではあるのですが、ね。
ということで、マリアンヌ様がセルエル様にアプローチをかけるのなら、私は私でセルエル様にアプローチをかけます。とりあえず、恋愛指南書には過度な束縛は厳禁。相手を信頼するコミュニケーションが大切と書いてありましたから…。
「セルエル様はやはり素敵な方ですわ。マリアンヌ様が頼りになさるのもわかるというもの。私、そんなかっこいいセルエル様をとても尊敬致しますわ」
「…リリベール」
「はい」
「愛してる!」
「私もですわ」
とりあえず、まずは恋愛指南書に書いてあったこれだけは押さえておけの項目を暗記するところから始めましょうか。
ー…
ということで早速セルエル様へのアプローチ開始ですわ。まず作戦一、適度に頼れ、からですわ。
「セルエル様、ちょっとよろしいかしら」
「んー、どしたー?」
「あの、私…図書館で読みたい本があるのですけれど、高い位置にあってどうしても手が届かなくて。司書の方に頼るべきなのでしょうけれど、皆様お忙しいご様子なので頼み辛くて…セルエル様は背が高くていらっしゃるから、届くかなと思いまして。お願いしてもいいかしら?」
「おー、そのくらいお安い御用だぜ?行くか」
「はい、お願い致しますわ」
セルエル様は軽々と本を取ってくださいました。
「リリベール、ほい」
「ありがとうございます、セルエル様に頼ってよかったですわ。さすがはセルエル様ですわ。私もそのくらい背が高ければ良かったのですけれど…甘えてしまってごめんなさい。ありがとうございました」
「いいっていいって。このくらいのことなんてことないし、むしろもっと頼れよ。俺はリリベールを愛してるんだから」
「セルエル様…」
「リリベール…」
そっと、触れるだけのキス。その後顔を真っ赤にしたセルエル様は逃げるように図書館を出て行きました。可愛らしい方。私は本を読み終えると、司書さんに脚立をお借りして本棚に本を戻しました。
ー…
作戦その二、たまには引いてみるですわ。
この一週間はお茶会やお稽古事に力を入れて、セルエル様との時間をあえて作らず引いてみますわ。
「リリベール、この日なんだけどさ、デートしない?」
「申し訳ございません、セルエル様。私、その日はお茶会に参加しますの」
「じゃあこの日は?」
「お稽古がございまして…申し訳ございません、セルエル様」
「んー…寂しいけど、しょうがないか。頑張れよ、リリベール」
「はい、セルエル様」
その後セルエル様からのデートのお誘いが以前より増えました。恋愛指南書様様ですわね。
ー…
作戦その三、ポジティブな感情はたくさん伝える、開始ですわ。
「デート、付き合ってくれてありがとうな。忙しいのにごめんな、楽しかったぜ」
「セルエル様。その、私…セルエル様と一緒にいるだけで、すごく幸せですの。でも、こうしてデートという機会をくださってとても嬉しいですわ。今日のデートも楽しかったですわ。また誘ってくださいませ」
「…~っ!リリベール、マジで愛してる!」
セルエル様に抱きしめられます。幸せですわ。これからもこの幸せが続くよう、より一層努力を重ねなければなりませんわね。
ー…
そんなこんなで日々セルエル様にアプローチをかけた結果、セルエル様はマリアンヌ様の相談事にはきちんと乗りつつもそれ以上進展することはなく。それどころか、マリアンヌ様が「リリベール様から嫌がらせを受けて困っている」と擦り寄っていった際「リリベールがそんなことするわけないだろ!」と怒ってくださいました。マリアンヌ様は侯爵令嬢への誹謗中傷を行ったとして、最果ての修道院という戒律と環境の非常に厳しいと評判の修道院に出家させられました。男爵家は遠縁の親戚を養子に迎えたそうですわ。それで私達の穏やかな毎日が戻ってきましたわ。
「リリベール、愛してるぜ」
「私もセルエル様をお慕い申し上げておりますわ」
これからも、恋愛指南書に時々頼りつつ、お互いを一番にしていければと思いますわ。
「はい?奪い返しますわよ?」
「でもそういう男だったら別れた方が良くね?」
「まあ普通は。でも、私の婚約者は貴方ですもの。絶対貴方以外なんて考えられませんわ」
「…~っ!リリベール、愛してるぜ!」
ガバッと私を抱きしめる私の婚約者。ああ、やっぱり私には貴方しか居ませんわ。
改めましてご機嫌よう。私はアデライド侯爵家の長女、リリベールと申します。こちらは私の婚約者でベルトラン公爵家の長男、セルエル様。ちょっとおバカさんなところはありますが、基本的に文武両道で見た目も爵位も性格もピカイチ。そのため、とてもモテます。しかし、私という婚約者がいるので普通は遠巻きに眺めて憧れるだけ。実害は今まではなかったのです。今までは。
「ですが、なぜそんな話を?」
「あー、実はマリアンヌちゃんから婚約者が浮気性で困ってるって相談されてさ」
そう。そのマリアンヌ様という方が問題なのです。イノセンス男爵家の一人娘であるマリアンヌ様は、どうも私を排除してセルエル様を奪いたいご様子。逐一有る事無い事セルエル様にご相談を持ちかけて「私が頼れるのはセルエル様だけです」と甘えてくるらしく。しかしおバカさんなセルエル様はそんな策略には全く気付かず、真剣に相談に乗ってあげています。優し過ぎるのもセルエル様の素敵なところではあるのですが、ね。
ということで、マリアンヌ様がセルエル様にアプローチをかけるのなら、私は私でセルエル様にアプローチをかけます。とりあえず、恋愛指南書には過度な束縛は厳禁。相手を信頼するコミュニケーションが大切と書いてありましたから…。
「セルエル様はやはり素敵な方ですわ。マリアンヌ様が頼りになさるのもわかるというもの。私、そんなかっこいいセルエル様をとても尊敬致しますわ」
「…リリベール」
「はい」
「愛してる!」
「私もですわ」
とりあえず、まずは恋愛指南書に書いてあったこれだけは押さえておけの項目を暗記するところから始めましょうか。
ー…
ということで早速セルエル様へのアプローチ開始ですわ。まず作戦一、適度に頼れ、からですわ。
「セルエル様、ちょっとよろしいかしら」
「んー、どしたー?」
「あの、私…図書館で読みたい本があるのですけれど、高い位置にあってどうしても手が届かなくて。司書の方に頼るべきなのでしょうけれど、皆様お忙しいご様子なので頼み辛くて…セルエル様は背が高くていらっしゃるから、届くかなと思いまして。お願いしてもいいかしら?」
「おー、そのくらいお安い御用だぜ?行くか」
「はい、お願い致しますわ」
セルエル様は軽々と本を取ってくださいました。
「リリベール、ほい」
「ありがとうございます、セルエル様に頼ってよかったですわ。さすがはセルエル様ですわ。私もそのくらい背が高ければ良かったのですけれど…甘えてしまってごめんなさい。ありがとうございました」
「いいっていいって。このくらいのことなんてことないし、むしろもっと頼れよ。俺はリリベールを愛してるんだから」
「セルエル様…」
「リリベール…」
そっと、触れるだけのキス。その後顔を真っ赤にしたセルエル様は逃げるように図書館を出て行きました。可愛らしい方。私は本を読み終えると、司書さんに脚立をお借りして本棚に本を戻しました。
ー…
作戦その二、たまには引いてみるですわ。
この一週間はお茶会やお稽古事に力を入れて、セルエル様との時間をあえて作らず引いてみますわ。
「リリベール、この日なんだけどさ、デートしない?」
「申し訳ございません、セルエル様。私、その日はお茶会に参加しますの」
「じゃあこの日は?」
「お稽古がございまして…申し訳ございません、セルエル様」
「んー…寂しいけど、しょうがないか。頑張れよ、リリベール」
「はい、セルエル様」
その後セルエル様からのデートのお誘いが以前より増えました。恋愛指南書様様ですわね。
ー…
作戦その三、ポジティブな感情はたくさん伝える、開始ですわ。
「デート、付き合ってくれてありがとうな。忙しいのにごめんな、楽しかったぜ」
「セルエル様。その、私…セルエル様と一緒にいるだけで、すごく幸せですの。でも、こうしてデートという機会をくださってとても嬉しいですわ。今日のデートも楽しかったですわ。また誘ってくださいませ」
「…~っ!リリベール、マジで愛してる!」
セルエル様に抱きしめられます。幸せですわ。これからもこの幸せが続くよう、より一層努力を重ねなければなりませんわね。
ー…
そんなこんなで日々セルエル様にアプローチをかけた結果、セルエル様はマリアンヌ様の相談事にはきちんと乗りつつもそれ以上進展することはなく。それどころか、マリアンヌ様が「リリベール様から嫌がらせを受けて困っている」と擦り寄っていった際「リリベールがそんなことするわけないだろ!」と怒ってくださいました。マリアンヌ様は侯爵令嬢への誹謗中傷を行ったとして、最果ての修道院という戒律と環境の非常に厳しいと評判の修道院に出家させられました。男爵家は遠縁の親戚を養子に迎えたそうですわ。それで私達の穏やかな毎日が戻ってきましたわ。
「リリベール、愛してるぜ」
「私もセルエル様をお慕い申し上げておりますわ」
これからも、恋愛指南書に時々頼りつつ、お互いを一番にしていければと思いますわ。
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