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運命だけが全てじゃないお話
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アウローラという少女がいる。
とある物語の悪役令嬢…に転生した元女子高生だ。
彼女は病気で亡くなったものの、家族や友人に看取られて幸せに生涯を終えた…はずだった。
正直、転生に気付いた彼女の第一声は「マジかよ」であった。
前回の人生で十分幸せに終われたのに何故こうなるのかと頭を抱えたのだ。
しかしまあ、こうなれば仕方がない。
とりあえず彼女はどんな物語だったか思い出すところから始めた。
「獣人の国…運命の番に出会ったアウローラは婚約者を捨て番と結婚。しかしアウローラに捨てられたヒーローは、ヒロインと出会い『運命』に縛られない恋に落ちる…ねぇ?で、アウローラは結局気付けば転落人生、と」
なるほど、ではやるべきことは二つ。
運命の番に靡かなければいい。
そして婚約者を大切にする。
ただそれだけの、簡単な答え。
アウローラの七歳の誕生日、その出会いが訪れた。
「あ、は、はじめまして!」
「はじめまして、エドアルド様…!お会いできて光栄です」
「…!アウローラ、僕も君に会えて嬉しい!」
「まあっ!そんな風に言っていただけるなんて!」
アウローラは、エドアルドと結ばれるヒロインの特徴を思い出していた。
優しくて、人当たりが良くて、誰にでも好かれる笑顔の可愛い女の子。
だから、アウローラはこの日の為だけに笑顔のトレーニングを欠かさなかった。
誰にでも優しくしてきたし、それで実際周り…両親、使用人達、領民達…みんなからの好印象ももぎ取っていた。
おまけに知識チートもある…が、それはあえてひけらかさずに同年代の子の中で少し優秀くらいに留めておくのも忘れない。
そんな涙ぐましい努力で、一番必要としていたエドアルドの好印象をもぎ取ったのである。
「エドアルド様、よろしければこちらを」
「これ、手作りのマフラー!?」
「ええ、その…エドアルド様に身につけていただきたくて。一応、怪我を防ぐ魔術も組み込まれていますので…」
「嬉しいよ、アウローラ!本当にありがとう!」
アウローラはその後も小細工を怠らない。
第一印象で好印象を植え付け、手作りのプレゼントで愛着も持たせ、さらにそのプレゼントに魔術を組み込みのちの悲劇を回避する。
アウローラが回避させた運命とは…エドアルドの、右目の欠損である。
プレゼントを渡した日から三日が過ぎ、上手くいったかどうかヤキモキしていたアウローラの元に無傷のエドアルドが現れた。
走り寄ってくるエドアルドに、アウローラも走り寄る。
「エドアルド様…そんなに走ってどうしたんですの?」
「アウローラっ、はぁっ、君にお礼が言いたくて」
「お礼ですの?」
「昨日、やんちゃな従兄の悪戯で落とし穴に落ちて…ひどい怪我をしそうだったんだけど、アウローラのマフラーの魔術で助かったんだ」
「あら…それは…とにかくご無事でなによりですわ!マフラーに追加で同じ魔術を組み込んでおきますわね」
「ありがとう、アウローラ!」
これを機に、エドアルドはますますアウローラを大切にするようになった。
アウローラとエドアルドが十八歳になる頃。
すっかりアウローラにゾッコンになったエドアルドとアウローラがデートしていると、運命がやってきた。
アウローラの運命の番、パオロだ。
パオロは一瞬で、その運命的な出会いに気付く。
運命の番の芳しい香りがしたのだ。
それはアウローラも同じだった。
(…なるほど、甘美な香りね。これが運命の番の誘惑ってわけね。たしかに思考が鈍るのもわかるわ。他の何に変えても共に在りたいと思わせる…まるで麻薬ね)
「アウローラ、どうしたの?」
「えっと…」
「やっと見つけた、俺の運命の人!」
パオロはアウローラに跪く。
「貴女が俺の運命の番ですよね!?」
「…!?」
エドアルドは驚き目を見開く。
アウローラはこくりと頷いた。
「ええ、おそらくは。運命の番なのでしょう」
「でしたら…」
「ですが、私には愛する婚約者がいますので」
「え」
「アウローラ…いいの?」
捨てられる前の子犬のような目でアウローラを見るエドアルドに、アウローラは微笑んだ。
「たとえ運命の番の芳しい香りに酔っても、本当に愛おしい方を見失ったりはしませんわ」
アウローラの言葉にエドアルドはまた驚き、アウローラをぎゅっと抱きしめた。
いつのまにか、野次馬たちもそんなアウローラとエドアルドを祝福するように拍手していた。
拍手喝采となったその場に居辛くなり、パオロは逃げ帰った。
…正直を言えば、アウローラにとってパオロは厄ネタでしかない。
パオロはどうしようもないギャンブラーで、本来ならこのあとアウローラを借金地獄に引きずり込むからだ。
だがアウローラは、その運命をこうして見事に回避した。
そして、アウローラはこの日が来るまでの十一年間でエドアルドと心を通わせてきた。
並ではない絆を深めてきたのだ。
こうしてアウローラは、自らの手で幸せを掴み取った。
「アウローラ、花嫁衣装似合ってるよ」
「嬉しいです!エドアルド様もよく似合ってますわ」
エドアルドとアウローラの結婚式。
エドアルドもアウローラも幸せに包まれていた。
ふと、一人の女性がエドアルドを見つめる。
その視線の熱っぽさで、アウローラはエドアルドが運命の番に出会ったのだと気付いた。
だがアウローラは動じない。
なぜなら、エドアルドを信じているからだ。
「ああ、やっと見つけた!私の運命の番…!ねえ、わかりますよね!私は貴方の運命の番です!」
「…申し訳ない。僕はこれから愛する人と共になるんだ。この出会いは忘れて欲しい」
「え…あ…ご、ごめんなさい…結婚、なさるんですね…」
「ええ、さようなら」
「…さよう、なら」
エドアルドも、運命の番との出会いを蹴った。
こうしてエドアルドとアウローラは結ばれた。
二人はこの先、たくさんの子宝に恵まれて幸せな生涯を送ることとなった。
とある物語の悪役令嬢…に転生した元女子高生だ。
彼女は病気で亡くなったものの、家族や友人に看取られて幸せに生涯を終えた…はずだった。
正直、転生に気付いた彼女の第一声は「マジかよ」であった。
前回の人生で十分幸せに終われたのに何故こうなるのかと頭を抱えたのだ。
しかしまあ、こうなれば仕方がない。
とりあえず彼女はどんな物語だったか思い出すところから始めた。
「獣人の国…運命の番に出会ったアウローラは婚約者を捨て番と結婚。しかしアウローラに捨てられたヒーローは、ヒロインと出会い『運命』に縛られない恋に落ちる…ねぇ?で、アウローラは結局気付けば転落人生、と」
なるほど、ではやるべきことは二つ。
運命の番に靡かなければいい。
そして婚約者を大切にする。
ただそれだけの、簡単な答え。
アウローラの七歳の誕生日、その出会いが訪れた。
「あ、は、はじめまして!」
「はじめまして、エドアルド様…!お会いできて光栄です」
「…!アウローラ、僕も君に会えて嬉しい!」
「まあっ!そんな風に言っていただけるなんて!」
アウローラは、エドアルドと結ばれるヒロインの特徴を思い出していた。
優しくて、人当たりが良くて、誰にでも好かれる笑顔の可愛い女の子。
だから、アウローラはこの日の為だけに笑顔のトレーニングを欠かさなかった。
誰にでも優しくしてきたし、それで実際周り…両親、使用人達、領民達…みんなからの好印象ももぎ取っていた。
おまけに知識チートもある…が、それはあえてひけらかさずに同年代の子の中で少し優秀くらいに留めておくのも忘れない。
そんな涙ぐましい努力で、一番必要としていたエドアルドの好印象をもぎ取ったのである。
「エドアルド様、よろしければこちらを」
「これ、手作りのマフラー!?」
「ええ、その…エドアルド様に身につけていただきたくて。一応、怪我を防ぐ魔術も組み込まれていますので…」
「嬉しいよ、アウローラ!本当にありがとう!」
アウローラはその後も小細工を怠らない。
第一印象で好印象を植え付け、手作りのプレゼントで愛着も持たせ、さらにそのプレゼントに魔術を組み込みのちの悲劇を回避する。
アウローラが回避させた運命とは…エドアルドの、右目の欠損である。
プレゼントを渡した日から三日が過ぎ、上手くいったかどうかヤキモキしていたアウローラの元に無傷のエドアルドが現れた。
走り寄ってくるエドアルドに、アウローラも走り寄る。
「エドアルド様…そんなに走ってどうしたんですの?」
「アウローラっ、はぁっ、君にお礼が言いたくて」
「お礼ですの?」
「昨日、やんちゃな従兄の悪戯で落とし穴に落ちて…ひどい怪我をしそうだったんだけど、アウローラのマフラーの魔術で助かったんだ」
「あら…それは…とにかくご無事でなによりですわ!マフラーに追加で同じ魔術を組み込んでおきますわね」
「ありがとう、アウローラ!」
これを機に、エドアルドはますますアウローラを大切にするようになった。
アウローラとエドアルドが十八歳になる頃。
すっかりアウローラにゾッコンになったエドアルドとアウローラがデートしていると、運命がやってきた。
アウローラの運命の番、パオロだ。
パオロは一瞬で、その運命的な出会いに気付く。
運命の番の芳しい香りがしたのだ。
それはアウローラも同じだった。
(…なるほど、甘美な香りね。これが運命の番の誘惑ってわけね。たしかに思考が鈍るのもわかるわ。他の何に変えても共に在りたいと思わせる…まるで麻薬ね)
「アウローラ、どうしたの?」
「えっと…」
「やっと見つけた、俺の運命の人!」
パオロはアウローラに跪く。
「貴女が俺の運命の番ですよね!?」
「…!?」
エドアルドは驚き目を見開く。
アウローラはこくりと頷いた。
「ええ、おそらくは。運命の番なのでしょう」
「でしたら…」
「ですが、私には愛する婚約者がいますので」
「え」
「アウローラ…いいの?」
捨てられる前の子犬のような目でアウローラを見るエドアルドに、アウローラは微笑んだ。
「たとえ運命の番の芳しい香りに酔っても、本当に愛おしい方を見失ったりはしませんわ」
アウローラの言葉にエドアルドはまた驚き、アウローラをぎゅっと抱きしめた。
いつのまにか、野次馬たちもそんなアウローラとエドアルドを祝福するように拍手していた。
拍手喝采となったその場に居辛くなり、パオロは逃げ帰った。
…正直を言えば、アウローラにとってパオロは厄ネタでしかない。
パオロはどうしようもないギャンブラーで、本来ならこのあとアウローラを借金地獄に引きずり込むからだ。
だがアウローラは、その運命をこうして見事に回避した。
そして、アウローラはこの日が来るまでの十一年間でエドアルドと心を通わせてきた。
並ではない絆を深めてきたのだ。
こうしてアウローラは、自らの手で幸せを掴み取った。
「アウローラ、花嫁衣装似合ってるよ」
「嬉しいです!エドアルド様もよく似合ってますわ」
エドアルドとアウローラの結婚式。
エドアルドもアウローラも幸せに包まれていた。
ふと、一人の女性がエドアルドを見つめる。
その視線の熱っぽさで、アウローラはエドアルドが運命の番に出会ったのだと気付いた。
だがアウローラは動じない。
なぜなら、エドアルドを信じているからだ。
「ああ、やっと見つけた!私の運命の番…!ねえ、わかりますよね!私は貴方の運命の番です!」
「…申し訳ない。僕はこれから愛する人と共になるんだ。この出会いは忘れて欲しい」
「え…あ…ご、ごめんなさい…結婚、なさるんですね…」
「ええ、さようなら」
「…さよう、なら」
エドアルドも、運命の番との出会いを蹴った。
こうしてエドアルドとアウローラは結ばれた。
二人はこの先、たくさんの子宝に恵まれて幸せな生涯を送ることとなった。
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