死に戻りの悪役令嬢は、今世は復讐を完遂する。

乞食

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メレニア・メイジ編

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「お嬢様、今日も教会に行かれるつもりですか?」

「ええ。メレニアの件でもヴァレリオさんにはとてもお世話になったでしょう? 感謝してもしきれないくらいだから、今日もお礼に行くのよ」

プリシラはリリーに向かってはにかむと、手に持ったバケットに被せた布を少しだけ捲った。

「随分欲望に忠実な司教様ですね……」

リリーはバケットの中に入ったワインやパン、燻製肉やジャムを見てじと目で呟いた。
神の信徒とは思えぬヴァレリオと主人の行動にリリーは呆れてはいるものの、プリシラの行動を止めようとはしなかった。

リリーはメレニアが神殿騎士団によって拘束された翌日、休暇を終えて実家からメディチ家へと帰ってきた。メレニアの事件は王家からの王命により箝口かんこう令が敷かれていたため、リリーにはその全様を話すことができなかったのだが、彼女はメディチ家の異様な雰囲気を察し、数少ない情報の断片から真実に近い答えを自力で導き出し、プリシラの側を離れたことを深く悔やんでいた。
そして自身の主人であるプリシラを手助けしてくれたヴァレリオに感謝をしていたため、連日教会へ通い続けるプリシラの行為を制止しようなんて気分にならなかったのである。


プリシラは教会へと向かう馬車に揺られながら、この半月の出来事を思い出していった。

(この期間……色々なことが起こったわね)

ロザリーを階段から突き落とした犯人に仕立て上げられ、家族や使用人たちに久方ぶりに糾弾された。そして、教会への寄進を横領した犯人に母から罪を擦り付けられたが、自分の無罪を立証し、この二つの事件の犯人がメレニアの犯行であるとほのめかし、何日にも渡る神殿騎士たちの取り調べを受け、ようやく自分の潔白が証明された。

「まあ、そのほとんどがなのだけれど……。でも、少し詰めすぎたかしら? こんなに疲れることになるなんて思いもしなかったわ」

プリシラが窓の外を眺めながら一人愚痴る。

「お嬢様……何か言いましたか?」

「!?……いえ、何も?」

(やだ。心の中で愚痴ってたつもりなのに、無意識の内に口から出ていたのね。はあ、気の緩みかしら。気を付けないと)

プリシラは内心で反省しながら、しばらくの間馬車に揺られ続けた。
そして、「お嬢様、起きてください。教会へ着きましたよ」という言葉と共に、いつの間にか眠りに落ちていた自身の瞼を擦り、軽い欠伸をしながらプリシラは教会へと歩みを進めた。




プリシラは馬車から降りると、真っすぐ礼拝堂へ向かった。
ここ連日で教会へ足を運んでいたため、ヴァレリオの元へ行き帰宅するという生活が何日も続いており、礼拝堂へ行くのを怠っていたからだ。

(メレニアに復讐を果たせたのは、私を逆行させてくださった女神様のおかげであるというのに……。とんだ罰当たりだわ。)

プリシラは自身の行動を恥じながら、早足で礼拝堂へ向かって行った。
だから、気付かなかったのだ。

「お互い苦労しますね」

「ええ、はい」

(……どなたかしら)

廊下ですれ違いざまに声をかけてきた老人が、いつも熱心に女神に祈りを捧げている高価な衣服に身を包んだ老婆だということに。

(苦労って……まさか、メレニアの一件を知った誰かが話しかけてきたのかしら? ……いや、それはありえないわね。たとえ、何らかの偶然でメレニアの一件を知ったとしても、それを匂わせるなんて王命に反することだもの。……そんな命知らずのことをできる高貴な人が、教会(こんなところ)にいるなんて考えられないし)

「……プリシラ様?」

老人の後姿を呆然と眺めていたプリシラを見て不審に思ったのか、リリーが尋ねる。

「知合いですか?」

「いいえ。知らない人よ」

リリーの質問に、プリシラは肩を竦めて答える。
リリーは質問をした内容自体にあまり興味がないのか「そうですか」と淡々と答えると

「礼拝堂に先に訪れるなら、早くした方が良いですよ。気温も気温ですし……ジャムが腐ってしまうかもしれません」

「あ」

リリーの額に伝う汗を見て、プリシラは最近外気温が上がってきたことを思い出す。
彼女の言う通り、礼拝を優先するなら急いで済ませたほうが良いだろう。
バケットの中に生物なまものは入っていないとはいえ、人体に摂取される物である分、この暑さの中バケットをもって駆け回るのは控えたほうが吉だ。

「……礼拝堂へ行くのはまた今度にするわ。ヴァレリオさんの元へ行きましょう……急いで」

賛成です、と言わんばかりに大きく首を振ったリリーの姿を確認すると、プリシラたちは駆け足でヴァレリオの元へ向かった。
ヴァレリオの部屋へ行く途中、駆け足で歩いているせいか、ワインの入った瓶と瓶がぶつかるガラス音が二人の間で大きく鳴り響く。

(どうか割れないでよ)

二人は冷や汗をかきながら、なんとかワインを割らずに目的地に辿り着いたことに、思わず安堵の息が漏れるのであった。





ヴァレリオの部屋に辿り着いたプリシラはリリーからバケットを受け取ると、リリーに駄賃を握らせ街で暇を潰すように言った。
ヴァレリオとプリシラの会話の中にはメレニアの事件に関する内容も含まれているので、箝口令により彼女の前で話せないことも多い。
そのためリリーには、ヴァレリオとプリシラの会話が終わるまで、どこかで時間を潰してもらうよう事前にお願いしているのだ。
ヴァレリオの部屋に訪れる際は何度もこのやり取りを行っているため、リリーは潔くプリシラの元から立ち去った。
プリシラはリリーの後姿が完全に見えなくなったことを確認すると、ノックも無しにヴァレリオの部屋へと入る。ここ半月の間、何度も繰り返しヴァレリオの部屋へ入り浸っているため、部屋へ入る掛け合いをヴァレリオが嫌ったのだ。貴族令嬢として一通り躾けられてきたプリシラは最初は嫌がってはいたが……今となっては手慣れたものである。

「こんにちは、ヴァレリオさん。言われたもの持ってきたよ」

プリシラは椅子に座ってくつろぐヴァレリオの姿を一瞥し、それからテーブルにバケットを置いた。

「悪いな」

ヴァレリオはプリシラに一言言い放つと、テーブルの上に用意されたグラスにワインを注ぎ、一口だけ舌を湿らせ「ぬるい」と呟いた。

「初夏に家から馬車に揺られて教会ここまで持ってきたんだもの。温くなって当り前よ」

思わずプリシラはじとっとした目でヴァレリオを見つめる。
だがヴァレリオはそんなプリシラの瞳を意に介さず、グラスを片手にワインをゆらゆらと回しながらプリシラに言う。

「それにしても、今日は部屋にくるの遅かったじゃないか」

「……道が混んでいたのよ」

ヴァレリオの言葉に思わずドキリとしたプリシラであったが、咄嗟に適当な言い訳をついた。
「ハッ」と乾いた笑い声を洩らしたヴァレリオに、プリシラはなんだか居たたまれなくなり、「そ、それより」話を転換させる。

「……約束を守ってくれてありがとう」

「……約束? ……ってあのことか。いいよ、気にするな。俺もちゃんと

プリシラの約束という言葉に一度首を傾げたヴァレリオであったが、すぐに思い当たる節があったのか、弾けるような笑みを浮かべる。

「……」

プリシラは数年ぶりにヴァレリオと出会った際、彼ととある約束を交わしていた。
約束の内容は、プリシラの危機的状況に、ヴァレリオが駆けつけるという物。
具体的に言えば、プリシラは逆行前に体験したロザリーを突き落とす事件の犯人に自分が仕立て上げられることが分かっていた。そのため、自分に容疑が掛けられた時、教会の寄進を着服していたメレニアの件をロザリーの事件に被せることで、メレニアが自分の横領に気付いたプリシラを社会的に抹殺しようと、ロザリーの事件の犯人にプリシラを仕立て上げたという筋書きができていた。
(ここで、なぜメレニアはプリシラではなくロザリーを突き落としたのか、という疑問が生まれるが、メレニアがダミアンに好意を寄せていたのは周知の事実であったため、メディチ家の使用人の証言を基に、ダミアンと仲の良いロザリーを一緒に処理しようとしたのだろうと憲兵は勝手に判断してくれた。)
けれど、この筋書きを成せるためには、メレニアの横領を証明するには教会の関係者が必要だった。そこでプリシラは、教会の司教であり、かつ色々と融通の利く神殿騎士団の団長という肩書を持つ叔父のヴァレリオに取引を持ち掛け、約束が結ばれることになったのだ。

「だがプリシラ、お前から文鳥が飛んできたときは流石に驚いたぜ。お前は冬頃に俺の助けが必要になると言っていたからな。まさかお前が訪ねてきた一週間後に、貸した文鳥が帰ってくるとは思わなかった」

ヴァレリオがゲラゲラと笑う。

「……もしかして時期が早まるかもしれないと、事前に言っておいたでしょう? それにヴァレリオさんだって、急かしていたじゃない」

苦しい言い訳だ。
プリシラはそう分かりながらも頬を膨らませて抗議する。

プリシラとヴァレリオの連絡手段は、ヴァレリオがプリシラに貸してくれた文鳥だった。
プリシラが自室に幽閉されるまで手紙で文通をしていたのだが、プリシラはその陰で、文鳥にある言葉を教えていた。
その言葉は「助けて」
なぜこの言葉を選択したのかというと、ヴァレリオに自分の状況を端的に伝える言葉であると共に、文鳥が覚えやすい短い言葉であったからだ。

ロザリーを突き落とした件でプリシラは自室に幽閉されると、プリシラは文鳥に「助けて」という言葉を伝え、ヴァレリオに向かって鳥を飛ばした。
そしてその言葉を聞いたヴァレリオが、プリシラとの約束通り、メレニアの横領の証拠を携え、メディチ家へと押しかけて来て、メレニアが犯人であると捕らえられることになったのだ。
ちなみに、メレニアの犯行は彼女の部屋から着服したお金で買った金品が押収されたことで決定的となったが、彼女の部屋からそういった類の物が発見されなかったことも考えて、プリシラは事前にヴァレリオに着服した額と同額であろう金品を手渡していた。
いずれにしろメレニアが犯人であることは変わりないし、メレニア断罪はただの前座。所謂メインディッシュの前菜的な立ち位置。そんな物のためにかける時間をプリシラは惜しんだのである。
まあつまり、プリシラがヴァレリオに取引を持ち掛けた時点でメレニアの断罪はほぼ確定事項であたのだ。

……だが、プリシラがヴァレリオに取引を持ち掛けたのは、何もメレニア断罪に彼の権力ちからを欲したのが一番の理由ではない。
ヴァレリオはメディチ家から逃れるために聖職者となったのは事実だが……いくら絶縁したとはいえど、
実の娘であるプリシラを火刑にかけ、自らの命の危機が迫ると互いに罪を擦り付け合うメディチ家の汚らわしい血が。

……つまり、何が言いたいのかというと

「もういいプリシラ。お前、こんなことのために俺に会いに来たんじゃないだろう。本題に入ろう」

ヴァレリオがグラスに入ったワインをグビッと喉に流し込むと、彼はワインで湿った自身の唇をぺろりと舐め上げた。

「……ええそうね。じゃあ、早速聞かせてくれる?」

ヴァレリオの言葉に、プリシラはわっと瞳を輝かせた。
その姿は、まるで初めてお菓子を口にした子供のように輝いていて、思わずヴァレリオでさえ引いてしまう。

「毎日毎日俺の所に訪れる癖によく飽きないな。これで何回目だ?」

「うふふ、だって楽しいじゃない。」

ヴァレリオの呆れた表情に、プリシラがゲラゲラと腹を抱えて笑う。

鹿
何回聞いても飽きないわ~」

「……」

メレニアの犯した罪は王家+教会の資金横領と、ロザリーの殺人未遂。
表面上では内乱罪として取り纏めてあり、プリシラが逆行前に科されることとなった火刑に値する罪状であったが、メレニアの一件は内密に処理されることとなったため、彼女はギロチンで処刑されることとなった。
だが炎で何時間も炙られ、絶命するまで想像を絶する苦しみを受けたプリシラが、一瞬で生を終えられるなんて生ぬるい処刑方法に賛同するはずがなかった。もちろん、例えメレニアが火刑に処されても、プリシラの怒りは収まらない。メレニアには、自分よりもっと酷く残酷な処遇をプリシラは望んでいたのだから。

そこでプリシラが選択したのは、処刑されるはずのメレニアをヴァレリオの元へ引き渡すことだった。ヴァレリオはメディチ家の異常性に気付いて家を出たと言っているが、プリシラから見れば彼もただの異常者である。それも、ミレーヌやダグラス、ダミアンよりも性質たちが悪い。
だから、彼の元にメレニアを託すのが一番彼女の自尊心を完膚なきまで叩き潰してくれるだろうと思い、プリシラはある取引をヴァレリオに持ち掛けた。
それは、メレニアの断罪に協力してくれるなら、その後のメレニアの処置を任せるという内容もの

プリシラは逆行前にロザリーを突き落とした犯人に仕立て上げられた時も、自分がヨハネスの婚約者であったことから、王家から直接的な断罪はなく、秘密裏に処理されることとなった。
そのため、今回のメレニアの事件も自分の家が関わることであったため、逆行前と同様に秘密裏に処理されるであろうと、プリシラは逆行前の知識を怪しまれない程度に混ぜつつヴァレリオに語った。
それにヴァレリオは王家と蜜月の関係にある神殿騎士団の団長。メレニアの処刑も、この事件に関わった神殿騎士団が処理を任されるであろうことを仄めかすと、ヴァレリオは否応なしにプリシラの提案に飛びついた。

そうしてヴァレリオはプリシラとの約束通りに断罪に協力し、王家にはメレニア死亡の虚偽の報告をしてメレニアを手に入れた。
ということはだ……詰まる所、メレニアは生きている。
そしてプリシラは、ヴァレリオの元に事件のお世話になった感謝を伝えるという名目で、連日ヴァレリオの元を訪れ、メレニアの話を聞くのが最近の楽しみとなっているのだ。
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