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5 緊急会議
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招待客を全員見送ってすぐ、私たちは緊急会議を開いた。
私たちというのは、私とデュモンと執事のセシャンの3人だ。
「ご存知のとおり、困惑しているわ」
私は書斎の机に手をついて、右のデュモン、それから左のセシャンを交互に見遣った。ふたりとも苦い顔をしている。
「心中お察し致します」
執事が深々と頭を下げた。
デュモンは唇を引き結び、逞しい顎をピクピクさせて頷く。
ラファラン伯爵は横暴で傲慢で、強引で、そして自惚れ屋さんだった。
私に求婚したら、まるで私を自分のものであるかのように振舞い始めた。ひとりの公爵夫人がお供を連れて旅行がてら招待に応じてくれていたので、彼女が不作法だと言って窘めてくれたのだけれど……
「トゥルヌミール公爵夫人に嫌われたら終わりだわ」
「大丈夫ですよ。あの方は、あなたに一目置いている」
「カバにもね」
「ええ。だから、グングンを家畜同然に買おうとした事はきっちり伝えてあります。トゥルヌミール公爵夫人はあなたを心配こそすれ、これを機に毛嫌いしたりしませんよ」
「そうだといいけど……」
それまで頭を下げたまま私とデュモンの会話を聞いていた執事が、むくりと体を起こした。そして大真面目に重々しく、いちばん重要な事を尋ねてくる。
「求婚をお受けになられますか?」
「……」
沈黙が落ちた。
破るのは、私しかいない。
「それを話し合いたくてふたりを呼んだのよ」
重々しく答えると、執事は再び頭を下げた。
そのままウゥーンと呻り始める。
デュモンが執事を励ますように叩いた。
「まあまあ、いい事じゃないですか」
「いい事!?」
私が叫んで、執事も今度はガバッと起きた。そして私たちは、揃ってデュモンを睨んだ。
「あなた正気なの!? 不作法な道楽息子よ!? なんの苦労も知らない、親からそっくり地位も名声も財産も受け継いで、それを遺していく責任なんかこれっぽっちもわかっちゃいないわ。努力もしないで領主気取り。その上、私の婚約者気取りよ!? 返事してないのに!!」
「だけど、やっと貴族からまともな求婚を受けたんでしょう?」
「あんな人と結婚なんて絶対に嫌! 願い下げだわ!」
デュモンが肩を竦め、ニコッと笑った。
「はい、答えが出ましたね」
「……」
一本取られた。
彼は交渉のプロだ。
執事が私の腕を掴んだ。
「お嬢様、あっ、いえ、ご主人様。失礼を承知で申し上げます。一生に一度の事、どうかお許しください。あの男はいけません」
「わかったわ」
私が大真面目に頷くと、ふたりもそれぞれ頷いて、緊急会議は幕を閉じた。
私たちというのは、私とデュモンと執事のセシャンの3人だ。
「ご存知のとおり、困惑しているわ」
私は書斎の机に手をついて、右のデュモン、それから左のセシャンを交互に見遣った。ふたりとも苦い顔をしている。
「心中お察し致します」
執事が深々と頭を下げた。
デュモンは唇を引き結び、逞しい顎をピクピクさせて頷く。
ラファラン伯爵は横暴で傲慢で、強引で、そして自惚れ屋さんだった。
私に求婚したら、まるで私を自分のものであるかのように振舞い始めた。ひとりの公爵夫人がお供を連れて旅行がてら招待に応じてくれていたので、彼女が不作法だと言って窘めてくれたのだけれど……
「トゥルヌミール公爵夫人に嫌われたら終わりだわ」
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「ええ。だから、グングンを家畜同然に買おうとした事はきっちり伝えてあります。トゥルヌミール公爵夫人はあなたを心配こそすれ、これを機に毛嫌いしたりしませんよ」
「そうだといいけど……」
それまで頭を下げたまま私とデュモンの会話を聞いていた執事が、むくりと体を起こした。そして大真面目に重々しく、いちばん重要な事を尋ねてくる。
「求婚をお受けになられますか?」
「……」
沈黙が落ちた。
破るのは、私しかいない。
「それを話し合いたくてふたりを呼んだのよ」
重々しく答えると、執事は再び頭を下げた。
そのままウゥーンと呻り始める。
デュモンが執事を励ますように叩いた。
「まあまあ、いい事じゃないですか」
「いい事!?」
私が叫んで、執事も今度はガバッと起きた。そして私たちは、揃ってデュモンを睨んだ。
「あなた正気なの!? 不作法な道楽息子よ!? なんの苦労も知らない、親からそっくり地位も名声も財産も受け継いで、それを遺していく責任なんかこれっぽっちもわかっちゃいないわ。努力もしないで領主気取り。その上、私の婚約者気取りよ!? 返事してないのに!!」
「だけど、やっと貴族からまともな求婚を受けたんでしょう?」
「あんな人と結婚なんて絶対に嫌! 願い下げだわ!」
デュモンが肩を竦め、ニコッと笑った。
「はい、答えが出ましたね」
「……」
一本取られた。
彼は交渉のプロだ。
執事が私の腕を掴んだ。
「お嬢様、あっ、いえ、ご主人様。失礼を承知で申し上げます。一生に一度の事、どうかお許しください。あの男はいけません」
「わかったわ」
私が大真面目に頷くと、ふたりもそれぞれ頷いて、緊急会議は幕を閉じた。
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