【R18】結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

ゆきづき花

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恋愛の終止符1

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 目覚めた私の視界には見知らぬ天井があった。手を伸ばしても誰もいないし、ここがどこだかわからない。手探りでカーテンを開けて、ようやく新居だと思い出した。
 珍しく熟睡できたのか、最近感じていた怠さが消えていた。
 備えつけられていたのは遮光カーテンだが、窓を開けても目の前はマンションの外壁なので、直射日光は入ってこない。確かに日当たりは良くないけど、風通しはいいので湿気は少ない。
 九畳の洋室が私の居住空間。いまあるのは大きな旅行用の鞄ひとつだが、土曜日に荷物を入れても十分広いだろうと思う。
 ドアを開ければすぐにリビングで、ダイニングテーブルもソファーもある。……骨董品に囲まれているけれど。

 昨夜、八木沢さんと一緒に行ったコンビニで茶葉を買ったので、有田焼の茶器を使わせてもらうことにした。急須と湯飲みの揃いで、花柄がとても可愛い。
 ここにある骨董品は、相続税算出のために、一度全て鑑定してあるそうだ。その際、かなり高額だったものは相続せずに、美術館や博物館に寄贈したそう。八木沢さんのおじい様は目利きだったのだろう。
 八木沢さんは骨董品には興味がないらしく、「使っていい」とは言われたが、あまりに高価過ぎるものは心理的に無理だ。

 その日は、出勤してすぐに、「会議室を少しだけ使わせてもらえないか」と上司にお願いに行った。普段はフロアの隅の打ち合わせスペースを使用するので、彼は何事かと不思議そうにしていたが、破談の報告と謝罪を始めると、口を開けてぽかんとした表情になり、話の途中で「ドア閉めた方がいいか?」と聞かれた。

「いずれ皆さんにもわかることですし、大丈夫です」
「そうか。そんな雰囲気は一切なかったから驚いた」
「色々と想定外のことが起きまして……。詳しい説明はご容赦ください。諸々の手続きは来週するつもりですが、同居も解消しています」

 会社に迷惑をかけるわけでもないが、周囲はかなり気まずいだろう。苦言を呈されるかなと思っていたが、私の予想とは真逆のことを言われた。

「辛いだろうが、まあ人生色々だからなあ。ところで、こんなタイミングで言うもんじゃないかもしれないが……戸樫さん、正社員になる気はある?」
「……私が、ですか?」
「ここに配属されてもう二年だし、仕事も安心して任せられるから。以前、上申したんだが『結婚したら辞めるんじゃないの?』って上に言われて頓挫してたんだよ。ちょっと真剣に考えてみて」

 正社員になって生活が安定するのは正直ありがたい。でも、真臣とずっと同じ職場になるのかと思うと、それもまた辛い。どうしていいかわからなくて、上司が会議室から出て行っても、しばらくその場から動けなかった。
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感想 14

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