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第三部第三章 国奪りイベント(後の祭り)
セッション94 懸念
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イタチ王の国『カプリチオ覇王国』の旗に描かれた五つの星。あれは種族の数を意味しているのだという。
ステファと理伏の種族である人類。イタチの種族である深きもの共。三護の種族であるミ=ゴ。ハクの種族である蛇人間。そして僕の種族である食屍鬼だ。
人類以外のこの四種族こそが現代の代表的種族なのだという。地属性に秀でた蛇人間、水属性に秀でた深きもの共、火属性に秀でた鬼型食屍鬼、風属性に秀でたミ=ゴ。この四種族がそのまま今の四大勢力だ。なお、それでも人口だけは人類が最も多いらしい。
朱無市国は多種族国家だ。その地を奪ったとなれば多種族を受容する国ではなくてはならない。そう考えてイタチはこの国旗のデザインに五つの星を入れたのだ。
あるいは、僕達仲間を考えての事かもしれないが。偶然か必然か、僕達『カプリチオ・ハウス』には四種族と人類の五種全員が集まっていた。
カプリチオ覇王国に占領された朱無市国はどうなったのかというと、一都市に成り下がった。字面だけなら国の字がなくなっただけだが、国ではなくなったというのは歴史に残る大事件だ。これの立役者が自分だというのが信じられない。
以降、カプリチオ覇王国の首都は朱無市という事になる。
では、僕達に親身にしてくれた談雨村はどうなるのかというと、最終防衛ラインに生まれ変わるらしい。城だか砦だかを作って、戦争時の拠点にするのだそうだ。普段の維持は風魔忍軍に任せるとの事で、平時は彼らの修行場や農地として使われる予定だ。
まあ完成はまだまだ先の話だ。それに今は国内の安定の方が急務だ。前政権からの引き継ぎや内政着手、反乱分子の抹殺などでゴタゴタが続く。しばらくは派手には動けない。大きなイベントは起きないだろう。
引き継ぎといえば、ネフレンが良い仕事をした。網帝寺有紗を生け捕りにしてくれたのだ。市国貴族の中でも一等の財力と権力を持つ家、網帝寺家。その跡取り娘となれば都合が良い。
これまで市長は市国貴族から選出されてきた。その慣習に従い、緊急処置と称して彼女を次の市長に指名した。その上で市国貴族の諸々の罪状を彼女におっ被せ、国民からの信を失くした。そして、責任を追及するというお題目でイタチが彼女を監督する。傀儡政権の誕生だ。
気の毒ではあるが、有紗は悪徳令嬢として市国貴族の中でも特に好き放題してきたようだし、そのツケだと思って貰おう。
猛雁や来栖も有紗と同じように傀儡政治家にしたかったのだが、魔物化した彼らにどれ程知性が残っているのかが分からなかった。正確にはどんな状態なのか、それは現在三護が調べている所だ。結果が出るまでは二人は地下牢に幽閉となる。
有紗に化け物にされた挙句、人間として扱われず、地下に閉じ込められる……。哀れだな。
……話はまるで変わるが、僕には懸念している事が一つある。
それは、やはり僕は発狂しているのかもしれないという事だ。
今まで目を逸らしに逸らしてきたが、今回の騒動で自覚した。国奪り後、凱旋前に市庁周辺の死体を片付けようとして市国に戻ったのだが、その死体の山を見ても何も感じなかった。イタチの指示とはいえ、三護がセッティングしたとはいえ、あの対生物魔術『彼方なる父よ、威光で照らせ』をぶっ放したのは僕自身だというのに。
他人に対する冷血漢っぷりが増していっている。以前からそういう傾向はあるなと思っていたが、とうとう目を逸らせなくなってきた。
ゴブリン事変の際、あっさりと人型の首を刎ねた自分に違和感を懐いた。しかし、その時は人型とはいえ相手は魔物であり、戦闘時に冷酷なのはむしろ有利と考えて深くは気にしなかった。
山岳連邦で温泉に入った際、傷だらけの女兵士達を見ても何の同情も得なかった。中には片腕を失くした者もいたというのに。しかし、それは僕自身が傷付けた訳ではない事と、冒険者として怪我人は見慣れているとして流してしまった。
だが、今回は違う。今回は僕が殺した。人間を、同族を。しかも大量にだ。それでいて僕は何の感情も湧かなかった。罪悪感も悲愴感もなく、逆に高揚する事もなく、死体がただの肉塊にしか思えなかった。父親の死体を前にして涙する網帝寺有紗を見ても、まるで心が動かなかった。
……それが恐ろしい。僕の精神状態は今、大量殺人を躊躇なく実行出来る域にまで達している。作業として人命を奪えるのだ。
この狂気の行く末がどうなるか。いつか僕はステファや仲間達が相手でさえも殺してしまえるのではないか。不都合があれば首を刎ねる事を厭わない、そんな人間になってしまうのではないか。発狂内容:無慈悲。その狂気が進行するのが怖いのだ。
そうならない事を祈るばかりだが……さて、どうすれば良いのだろう。今のこの僕に抗える何かがあるのだろうか。
ステファと理伏の種族である人類。イタチの種族である深きもの共。三護の種族であるミ=ゴ。ハクの種族である蛇人間。そして僕の種族である食屍鬼だ。
人類以外のこの四種族こそが現代の代表的種族なのだという。地属性に秀でた蛇人間、水属性に秀でた深きもの共、火属性に秀でた鬼型食屍鬼、風属性に秀でたミ=ゴ。この四種族がそのまま今の四大勢力だ。なお、それでも人口だけは人類が最も多いらしい。
朱無市国は多種族国家だ。その地を奪ったとなれば多種族を受容する国ではなくてはならない。そう考えてイタチはこの国旗のデザインに五つの星を入れたのだ。
あるいは、僕達仲間を考えての事かもしれないが。偶然か必然か、僕達『カプリチオ・ハウス』には四種族と人類の五種全員が集まっていた。
カプリチオ覇王国に占領された朱無市国はどうなったのかというと、一都市に成り下がった。字面だけなら国の字がなくなっただけだが、国ではなくなったというのは歴史に残る大事件だ。これの立役者が自分だというのが信じられない。
以降、カプリチオ覇王国の首都は朱無市という事になる。
では、僕達に親身にしてくれた談雨村はどうなるのかというと、最終防衛ラインに生まれ変わるらしい。城だか砦だかを作って、戦争時の拠点にするのだそうだ。普段の維持は風魔忍軍に任せるとの事で、平時は彼らの修行場や農地として使われる予定だ。
まあ完成はまだまだ先の話だ。それに今は国内の安定の方が急務だ。前政権からの引き継ぎや内政着手、反乱分子の抹殺などでゴタゴタが続く。しばらくは派手には動けない。大きなイベントは起きないだろう。
引き継ぎといえば、ネフレンが良い仕事をした。網帝寺有紗を生け捕りにしてくれたのだ。市国貴族の中でも一等の財力と権力を持つ家、網帝寺家。その跡取り娘となれば都合が良い。
これまで市長は市国貴族から選出されてきた。その慣習に従い、緊急処置と称して彼女を次の市長に指名した。その上で市国貴族の諸々の罪状を彼女におっ被せ、国民からの信を失くした。そして、責任を追及するというお題目でイタチが彼女を監督する。傀儡政権の誕生だ。
気の毒ではあるが、有紗は悪徳令嬢として市国貴族の中でも特に好き放題してきたようだし、そのツケだと思って貰おう。
猛雁や来栖も有紗と同じように傀儡政治家にしたかったのだが、魔物化した彼らにどれ程知性が残っているのかが分からなかった。正確にはどんな状態なのか、それは現在三護が調べている所だ。結果が出るまでは二人は地下牢に幽閉となる。
有紗に化け物にされた挙句、人間として扱われず、地下に閉じ込められる……。哀れだな。
……話はまるで変わるが、僕には懸念している事が一つある。
それは、やはり僕は発狂しているのかもしれないという事だ。
今まで目を逸らしに逸らしてきたが、今回の騒動で自覚した。国奪り後、凱旋前に市庁周辺の死体を片付けようとして市国に戻ったのだが、その死体の山を見ても何も感じなかった。イタチの指示とはいえ、三護がセッティングしたとはいえ、あの対生物魔術『彼方なる父よ、威光で照らせ』をぶっ放したのは僕自身だというのに。
他人に対する冷血漢っぷりが増していっている。以前からそういう傾向はあるなと思っていたが、とうとう目を逸らせなくなってきた。
ゴブリン事変の際、あっさりと人型の首を刎ねた自分に違和感を懐いた。しかし、その時は人型とはいえ相手は魔物であり、戦闘時に冷酷なのはむしろ有利と考えて深くは気にしなかった。
山岳連邦で温泉に入った際、傷だらけの女兵士達を見ても何の同情も得なかった。中には片腕を失くした者もいたというのに。しかし、それは僕自身が傷付けた訳ではない事と、冒険者として怪我人は見慣れているとして流してしまった。
だが、今回は違う。今回は僕が殺した。人間を、同族を。しかも大量にだ。それでいて僕は何の感情も湧かなかった。罪悪感も悲愴感もなく、逆に高揚する事もなく、死体がただの肉塊にしか思えなかった。父親の死体を前にして涙する網帝寺有紗を見ても、まるで心が動かなかった。
……それが恐ろしい。僕の精神状態は今、大量殺人を躊躇なく実行出来る域にまで達している。作業として人命を奪えるのだ。
この狂気の行く末がどうなるか。いつか僕はステファや仲間達が相手でさえも殺してしまえるのではないか。不都合があれば首を刎ねる事を厭わない、そんな人間になってしまうのではないか。発狂内容:無慈悲。その狂気が進行するのが怖いのだ。
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