面倒くさがり屋の異世界転生

自由人

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第13章 出会いと別れ

第394話 眼には眼を……

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 辺りが静まり返っている夜、月夜の明かりの下で動き回る影が彼方此方から集まり始める。

「よし、今回の相手は冒険者だ。ぬかるんじゃねぇぞ」

「大丈夫だ。睡眠薬入りの飯を食べてるから起きることはねぇ」

「大した装備をしていなかったが金貨を惜しみなく出したんだ。あれはきっと貴重なアイテムポーチを持ってるから家の中から探し出せ」

「最初はシケた奴が来たかと思ったが、とんだ掘り出し物だったな」

「奪うもん奪ったら奴隷として売っぱらおうぜ」

 ケビンの借りた空き家の前で村人たちが武器を片手に集合して襲撃の話をしている頃、当のケビンはベッドの上で面倒くさそうに起き上がるのだった。

「ようやく来たか……」

 ケビンはのんびりと立ち上がると、村人たちが待ち構える家の前へドアを開いて出て行く。

「――ッ!?」

 予想だにしていなかったケビンの登場により、今まさに襲撃せんと集まっていた村人たちが出鼻をくじかれ唖然とする中で、ケビンが声をかける。

「やぁ皆さんお揃いで。こんな時間にどうしたのですか?」

 何食わぬ顔で尋ねるケビンへ村長は事態の収拾を図るために、でっち上げの嘘でこの場を凌ぐことにした。

「あ、ああ、見張り役が言うには森に魔物が出たらしくてな。ここに被害が出ないよう村人たち総出で迎え撃つところだったんだ。客人に何かあっては大変だからちょうど教えに来たところだ」

「それはご親切にどうも。てっきり寝込みを襲われてしまうのかと思いましたよ」

「な、何で俺たちがそんなことを……」

「いえね、おもてなしで出された食事に睡眠薬が入っていたので勘ぐってしまいましたが、あれは俺の疲れを癒すために朝までぐっすり眠れるというご配慮ってことのようですね」

「起きているということは飯を食べてない……?」

「いえいえ、美味しくいただきましたよ。ただ、昔から健康なので睡眠薬が効かなかったみたいですね」

 まさか睡眠薬が効かない相手だとは思っていなかったようで、村人たちは苦虫を噛み潰したような表情になる。

「ということで、三文芝居はこの辺で終わっていいか?」

「何だと……」

「そもそも頭が悪すぎなんだよ。村を乗っ取るところまでは褒めてはいけないけどよく考えたなと褒めてやる。だが、乗っ取ったなら乗っ取ったでちゃんと村を装えよ。何で子供が1人もいないんだ? 仮に夕暮れ時で家に帰っていたとしても、どの家からも子供の声が聞こえないというのはおかしいだろ」

 そこまで頭の回っていなかった村人たちは、ケビンからの指摘で奥歯を噛み締める。

「百歩譲って子供は成長したから街へ行っていないとしても、女性が1人も出歩いていないってのは更におかしいだろ。夕飯の準備で家にいるとしても村長宅で奥さんの姿を見かけなかったのは変だし、仮に独身でしたと言われても俺に食事を届けたのは女性ではなく男だ。そして食器を下げに来たのも男だ」

「と、盗賊に攫われたんだ」

「馬鹿な言い訳だな。盗賊に村が襲われたなら助けを求めて冒険者か領主や国が動くだろ。それがない時点で嘘だとバレる。そもそも盗賊が村を襲っておいてお前たちを生かしておく意味がわからないし、お前たちが普通に生活を送っている意味もわからない」

「くっ……」

「何故ただの村をそこまで怪しんだのかは、俺が国からの指名依頼で騎士団の捜索に来たからだ」

「――ッ! こいつを殺れっ! 急いで頭へ報告するんだ!」

「死ねぇっ!」

 村人のなりをした盗賊がケビンへ斬りかかると、ガキンといった音とともに剣が折れて刃先が飛んでいく。

「なっ!?」

「そっから先は通行止めだぞー」

「ぷげっ!」

 ケビンは斬りつけてきた相手を見向きもしないで走り去って行く男に声をかけるも、一足遅かったようで見えない壁にぶつかった男は顔面を強打し地面に転がって喚いていた。

「ど、どうなってやがる!?」

 次々に盗賊たちがケビンへ斬りかかるも結界が邪魔をして攻撃は通らず、他の者が盗賊たちのリーダーへ報告に向かおうとしても見えない壁から先へ進むことができずに混乱を極めていた。

「お前らのアジトってどこだ?」

「言うわけがねぇだろ!」

「まぁ自分で探すから別にいいけど。とりあえず奴隷落ちさせるから寝とけ」

 それだけ言うとケビンは魔法で盗賊たちを眠らせてから念の為に縄で縛りつけて空き家へ押し込むと、盗賊たちのアジト探しへと森の中へ入っていく。

 森に入ったケビンは村を乗っ取って悪さをしていた以上、遠くない場所にアジトがあると睨んで【マップ】を見ながら気配を探りつつ奥へと進んでいった。

 やがて岩山で多数の気配を探知したケビンは、死角に穴を掘ったような場所の入口で見張りについていた2人を眠らせると縄で縛って中へと進んでいく。

 多数の気配がある奥へと近づくにつれて女性の許しを乞う悲鳴が聞こえてきてケビンが一気に駆けつけると、1番奥の広間では泣き叫ぶ女性や動かなくなっている女性、更には小さな少女までもが盗賊たちの毒牙にかかっていた。

 そして隅にある檻の中には裸にされている女性たちが詰め込まれており、ケビンの怒りがふつふつと湧き上がっていく。

「誰だ、テメェは!」

 広間の1番奥で女性を犯していたガタイのいい男が叫ぶと、他の盗賊たちも行為をやめて武器を手にしだした。

 リーダーらしき男の声に反応したのか、檻の中に詰め込まれている女性たちもケビンの方へ視線を向けて、その中の女性と目が合ったケビンは怒りを爆発させた。

「き……さまらぁぁぁぁっ!」

 黒く吹き荒れる奔流の魔力がケビンの体を包み込むと、盗賊のリーダーが声を荒らげて部下に指示を出すのだった。

「殺せぇぇぇぇっ!」

「死ねぇっ!」

『マスター!』

『大丈夫だ。我を失ったわけじゃないから心配するな』

 1番手で斬りかかる盗賊が剣をケビンへ振り下ろすと可視化できる程の魔力が行く手を遮り、ケビンへ到達することはなくそのまま魔力に当たることとなる。

 盗賊が力を込めるもビクともせず、魔力に触れている剣の見た目が次第に変わっていき、触れている部分から錆色へ変色してはそのまま朽ち果ててボロボロと崩れ落ちた。

「ひいっ!」

 剣が変わり果てていくあまりの光景に盗賊が恐怖し手放して飛び退くと、他の盗賊たちが次々に斬りかかっても同じような現象が引き起こされる。

「弓を使え!」

 リーダーからの指示で弓を使って矢を射掛けるが、ケビンに届くことはなくポトポト落ちるだけであった。

「ま、魔法はまだかっ!?」

 離れた場所からケビンへ向けて一斉に魔法が放たれるが、色々な魔法がケビンを襲うも撃ち終わってみれば未だ健在であるケビンの姿が現れる。

「ば、化け物……」

「し、死にたくねぇ!」

 ケビンが前を向いている隙に盗賊の1人がなりふり構わず外へ逃げ出そうとすると、走り去る男の腹に見向きもしないケビンの魔力が伸びていき後ろから突き刺した。

「ごふっ」

 黒き魔力が突き刺さったままの男の体が宙を舞うと、勢いをつけ壁へ向かって放り投げられる。

「がはっ」

「《ヒール》」

 ケビンの回復魔法で男の傷が癒えると、わけがわからないといった困惑の表情で盗賊たちはケビンを見るのだった。

「簡単に死ねると思うなよ。お前らには地獄を見せてやる」

 簡単に死ねないことは既に傷を癒された男を見れば明らかであり、盗賊たちは底知れぬ恐怖を感じて腰を抜かすどころか失禁する者たちまでいた。

 そのような惨事の中でリーダーがケビンへ怒鳴りつける。

「お、俺たちがお前に何したってんだ!」

「大事な人を傷つけた。それだけでお前らを殺すには充分だ。だが殺さない。お前らは死ぬよりも苦痛な地獄を味わえ」

 リーダーへそう告げたケビンは、村に残していた盗賊と見張り役の盗賊をこの場に転移させた。

「そ、そいつらは……」

「《パラライズ》」

「くっ……動けねぇ……」

 ケビンはそれから1人1人中央へ集めては隷属の首輪をはめていき、スキルによって盗賊たちを女性へと変化させていく。

「や、やめろっ!」

 最後にリーダーを女性へ変化させたらケビンは深呼吸して、気持ちを落ち着かせていくと怒りを鎮めていった。

「これからどうなると思う? 当てたら体を元に戻して見逃してやってもいいぞ」

「ど、奴隷だ。肉玩用に売られるんだろ」

「残念、ハズレだ」

「なっ!? まさか……お前が犯すのか!?」

「気持ち悪ぃことを言うな! 俺にそんな趣味はない!」

 リーダーの言葉でケビンは鳥肌が立ってしまい、ぶるっと体を震わせてしまう。

「正解はお前たちがしたことをお前たちに体験させてやる」

「やっぱりお前が犯すんじゃねぇか!」

「違うって言ってんだろ! その首輪の効果として破壊不可で外すのも不可だ。精神汚染も不可にしてある。常に正常な精神を保てるようにな。あとは自動回復がついて死ぬことはできない。唯一死ぬ方法は首が切断されることだ。その時に首輪の効果は消失してただの首輪になる」

 ケビンはデモンストレーションで近場の盗賊に落ちていた剣を突き刺すと、刺された盗賊は喚き散らしたが傷口は見る見るうちに塞がって治癒されていた。

「あとは命令として逃亡禁止、自殺禁止、仲間内での殺しも禁止だ。ああ、オマケで快楽を味わえないようにしておいた。苦痛を与えたいのに快楽に逃げられてはつまらないからな」

「いったい何が狙いだ」

 隷属の首輪をつけられている以上どうしようもないと思ったのか、リーダーは諦めの境地に至ってケビンの目的を探ろうとする。

「なぁ、ゴブリンとオークってどっちが好みだ?」

「……」

 いきなり聞かされた魔物の好みについて盗賊たちは理解が追いつかず黙っていたが、次第に理解が追いつき始めると必死で命乞いをして喚き散らしたがケビンはその懇願を一蹴する。

「黙れ、お前たちは助けを求める女性たちをどうした?」

 ケビンから突きつけられた言葉で盗賊たちは二の句が告げられず恐怖に包まれておかしくなりそうだったが、首輪の効果でそれすらも許されなかった。

「さて、お試しで1人飛ばしてみるかな」

 ケビンは行ったことのある場所でゴブリンとオークの巣を【マップ】で探し出すと、広間にモニターを表示させてから先ずはゴブリンの巣へ盗賊を1人だけ転移で送り込んだ。

「グギャ?」

 ゴブリンはいきなり現れた盗賊である女性を見て一瞬困惑するも、苗床ができたことで狂喜して叫び出す。

「グギャー!」

 その雄叫びで次々とゴブリンたちが現れては、盗賊へ襲いかかるのだった。

「俺は男だぞ、よ、寄るな……やめてくれぇぇぇぇっ!」

 モニターには多数のゴブリンたちから襲われる盗賊の姿が映し出されており、残る盗賊たちは顔面が蒼白になって言葉を失っていた。

「あぁーちなみに魔物がどんどん増えても困るから増えないように処置をした。全く孕まなかったら殺される可能性が高いから中々孕めないようにしてある。末永く魔物たちとまぐわえるぞ。嬉しいだろ?」

「た、頼む! 肉玩でも構わないから奴隷として売ってくれ!」

「嫌だね。お前たちに許されるのはゴブリンとオークのどっちが好きかって選ぶことだけだ」

 それからケビンは答えない盗賊たちを、その時の気分でゴブリンやオークの巣へ送り込んでいく。

 やがてリーダーを残して全ての盗賊たちが送り込まれたあと、ケビンはリーダーへ問いかけた。

「ゴブリンかオーク、どっちにするか決めたか?」

「……ゴブリンだ。オークのもんなんて入れられたら裂けるだけだろ……」

 力なく答えるリーダーへケビンが答えた。

「じゃあオークだな」

「ふざけるなっ、話が違うだろ!」

「お前は女性たちの要望を素直に叶えたか? せめてもの情けだ……オークキングがいるところにしてやろう。キングに気に入られたら殺されずに生き続けられるかもな」

「よ、よせ……やめろ……」

「いってらっしゃーい、良い余生を」

 こうして盗賊団のリーダーは、ケビンの情け?によりオークキングが住まうオークの巣へと送り込まれたのだった。

 その後、盗賊たちがどうなったのかは誰も知らない。ケビン自身、不意に訪れた冒険者から助け出されても困るので人が寄りつかない区域へと転移させていたからだ。

 盗賊たちの始末が終わったケビンは、申し訳なくも今まで放置していた女性たちのケアを開始するのであった。
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