意識は混沌と愛を囁く

豹変

「婚約破棄していただきたいのです」約束通り部屋を訪れ、クリスの部屋で私は開口一番言い放った。驚いた顔をした次の瞬間部屋の空気が変わったのを感じとった。

「…誰かの差し金、ではないようだね」
最近セシアと過ごせないだけでなく、あの鬱陶しい王女にもうんざりしていた。セシアから声をかけてくれて舞い上がっていたのに
「まさか、奈落に落とされるとはね」

私はクリスの言った言葉の半分も聞き取れず、理解できなかった。気まずい空気の中、私は居たたまれなくて部屋を出ようとすると「あれっ…」体の力が抜け、クリスの腕の中にいた。

「大丈夫、そのまま体を預けて」クリスなら大丈夫、私の嫌がることはしない。私の危機察知能力はクリスによって完全に意味をなさないものとなっていました。



「ちょっと目を離しただけでこうなるとはね」危なかった、今ならまだ間に合う。


ああ、セシア愛しているよ。