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回想編 マルタ目線
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ある晴れた春の話。
日差しも穏やかで風もなく暖かい校庭。アントニーナは一人遊びをしていた。木にぶら下がったり、木とお話をしたり。そう、アントニーナは植物と話をするチカラを持ち備えていた。
ちょうど木からぶら下がったり時だ。
同じクラスのマルタがやってきた。
「アントニーナさんだよね?私、マルタって言うんだ。友達になろう!」
その出来事がきっかけでアントニーナとマルタは生涯の親友となっていくのであった。
マルタはいつも通り教室に入った。教室は騒がしい。男子も女子も皆和気あいあいと話に耽っている。
そこへ。唐突に会話が止まり静まり返った。親友のアントニーナが教室に入ってきた。
「アントニーナ、おはよう」
マルタが声をかけると、アントニーナは「おはよう」と挨拶を返してくれた。
しかし、周りはマルタとアントニーナの顔を交互に見て、ひそひそ話を話し出す。
「ねぇ」
「でしょ」
「だよねぇ」
いわゆるいじめだ。
アントニーナは運動神経が極端に鈍く、また魔法も中途半端でお世辞にも長所があるとは言いにくい。毎年マラソン大会でビリかブービー賞。他のスポーツをしてもすぐに標的にされ、チームのお荷物になる。
しかも、泣き虫で少しでも何かがあると、ガーネット色の目がさらに赤みを増してくる。銀髪の癖一つ無い髪だけが彼女の取り柄のようなものだ。
「ちょっと。何ジロジロ見ているのよ」
右足を強く踏み込みながらマルタはいじめっ子に言った。いじめる側は女5人グループで、リーダーシップをとっているのがカミラ。同じくリーダータイプのエリカ。何かと睨みつけてくるラガルタ。イチャモンをつけてくるユーノ。頭が良いケイト。この5人グループは仲良しでいつも一緒にいる。そして、事ある毎に裏で二人を攻撃していたのだ。
「ひそひそ話? 気のせいじゃないの? 誰かさんは被害妄想が強いからね」とカミラ。
カミラは頭も良ければ運動神経も良い。しかし、真っ黒な髪に目つきは悪く、いじめっ子の『相』そのものなのだ。
「はい、気のせい気のせい。馬鹿は相手にしない」とエリンシア。馬鹿は一体どちらなのか?
アントニーナはマルタの大切な親友だ。守るのは当然だ。しかし、いじめというのは実に残酷なもので、いじめられる側を庇えば庇った人までがいじめに遭うのだ。
しかし、アントニーナを守ること。それがマルタの使命であるような感じがしたのだ。
学校は男女共学。アントニーナは女子からでもなく、男子からもいじめに遭っていた。いつもマルタがいない間に何かをされているのだ。
それは性的な嫌がらせではなく、暴力だった。
アントニーナはある日羽交い締めされ、お腹を蹴られたのだという。マルタには信じられない話だった。
馬鹿は相手にしないと言っている側から、カミラがアントニーナの事を指差し、もう一方の手を口に添えてひそひそ話をしていた。
「いい加減にしなさいよ」
マルタが叫ぶとエリンシアとラガルタが教室から出ていった。
そして、マルタは席についた。
と、その時だ。
担任が突如マルタの机を蹴ってきたのだ。
マルタはそのまま転倒した。
担任らしからぬ行動。そう、担任はいじめっ子の味方なのだ。
ある日、アントニーナがラガルタから殴られた時に殴り返したら、アントニーナが担任に叱られたのだ。
担任に告げ口をしたのはエリンシアだった。
決まってラガルタやカミラが挑発をしてきて、エリンシアが担任に告げ口に行く。いつもこのパターンだ。
「Aってね」
「Mってね」
とイニシャルで言ってきたりする。全く以てタチが悪い。
この学園は王侯貴族が通う学校で本来ならいじめなどありえないのだ。
しかし、いじめが大好きな5人がそろってしまったため、残念ながらいじめは起こってしまう。
王侯貴族の集まりであるので、当然ジョルジョ王子もいる。
ジョルジョ王子とは同い年ではあるものの、クラスが違う。マルタとジョルジョ王子とアントニーナの3人は仲良しだった。
勿論、恋愛は関係無しに。異性の友達感覚だった。
――この当時は
アントニーナがお腹を蹴られた件はジョルジョ王子が目撃していたので、いじめっ子男子はお咎めを食らった。
この件はジョルジョ王子が担任に言いつけたから良かったのだ。アントニーナが自ら被害届を出しても、担任は無視をするのだ。
ある日の事。
アントニーナの椅子にまち針が置かれていた。
その事をアントニーナが担任に言いつけても、担任は「お前の爪の方が危ない」と言って職員室で爪を切らされる始末だったという。
しかも、担任は史学の担当で、アントニーナがテストでどんなに良い成績をあげても、優、良、可、不可、特不可で可しかくれないようだ。そして、並の点数しか取れなかった時は不可で出るという。
担任もアントニーナを庇うことで他の生徒に嫌われるのを恐れているのだ。
しかし、そんな中、コーラスのアラン先生だけが唯一味方だった。アントニーナは歌が上手だった。いや、歌が上手というよりは声が歌声に向いているのだ。アラン先生だけは常に高評価をくれるらしいのだ。
こんな不平等が王侯貴族の学校でまかり通って良いのか? マルタには頭の痛くなるような事だった。
それにしても、いつも見事な連携プレー。エリカと担任はただならぬ関係にありそうだ、とマルタは直感した。
日差しも穏やかで風もなく暖かい校庭。アントニーナは一人遊びをしていた。木にぶら下がったり、木とお話をしたり。そう、アントニーナは植物と話をするチカラを持ち備えていた。
ちょうど木からぶら下がったり時だ。
同じクラスのマルタがやってきた。
「アントニーナさんだよね?私、マルタって言うんだ。友達になろう!」
その出来事がきっかけでアントニーナとマルタは生涯の親友となっていくのであった。
マルタはいつも通り教室に入った。教室は騒がしい。男子も女子も皆和気あいあいと話に耽っている。
そこへ。唐突に会話が止まり静まり返った。親友のアントニーナが教室に入ってきた。
「アントニーナ、おはよう」
マルタが声をかけると、アントニーナは「おはよう」と挨拶を返してくれた。
しかし、周りはマルタとアントニーナの顔を交互に見て、ひそひそ話を話し出す。
「ねぇ」
「でしょ」
「だよねぇ」
いわゆるいじめだ。
アントニーナは運動神経が極端に鈍く、また魔法も中途半端でお世辞にも長所があるとは言いにくい。毎年マラソン大会でビリかブービー賞。他のスポーツをしてもすぐに標的にされ、チームのお荷物になる。
しかも、泣き虫で少しでも何かがあると、ガーネット色の目がさらに赤みを増してくる。銀髪の癖一つ無い髪だけが彼女の取り柄のようなものだ。
「ちょっと。何ジロジロ見ているのよ」
右足を強く踏み込みながらマルタはいじめっ子に言った。いじめる側は女5人グループで、リーダーシップをとっているのがカミラ。同じくリーダータイプのエリカ。何かと睨みつけてくるラガルタ。イチャモンをつけてくるユーノ。頭が良いケイト。この5人グループは仲良しでいつも一緒にいる。そして、事ある毎に裏で二人を攻撃していたのだ。
「ひそひそ話? 気のせいじゃないの? 誰かさんは被害妄想が強いからね」とカミラ。
カミラは頭も良ければ運動神経も良い。しかし、真っ黒な髪に目つきは悪く、いじめっ子の『相』そのものなのだ。
「はい、気のせい気のせい。馬鹿は相手にしない」とエリンシア。馬鹿は一体どちらなのか?
アントニーナはマルタの大切な親友だ。守るのは当然だ。しかし、いじめというのは実に残酷なもので、いじめられる側を庇えば庇った人までがいじめに遭うのだ。
しかし、アントニーナを守ること。それがマルタの使命であるような感じがしたのだ。
学校は男女共学。アントニーナは女子からでもなく、男子からもいじめに遭っていた。いつもマルタがいない間に何かをされているのだ。
それは性的な嫌がらせではなく、暴力だった。
アントニーナはある日羽交い締めされ、お腹を蹴られたのだという。マルタには信じられない話だった。
馬鹿は相手にしないと言っている側から、カミラがアントニーナの事を指差し、もう一方の手を口に添えてひそひそ話をしていた。
「いい加減にしなさいよ」
マルタが叫ぶとエリンシアとラガルタが教室から出ていった。
そして、マルタは席についた。
と、その時だ。
担任が突如マルタの机を蹴ってきたのだ。
マルタはそのまま転倒した。
担任らしからぬ行動。そう、担任はいじめっ子の味方なのだ。
ある日、アントニーナがラガルタから殴られた時に殴り返したら、アントニーナが担任に叱られたのだ。
担任に告げ口をしたのはエリンシアだった。
決まってラガルタやカミラが挑発をしてきて、エリンシアが担任に告げ口に行く。いつもこのパターンだ。
「Aってね」
「Mってね」
とイニシャルで言ってきたりする。全く以てタチが悪い。
この学園は王侯貴族が通う学校で本来ならいじめなどありえないのだ。
しかし、いじめが大好きな5人がそろってしまったため、残念ながらいじめは起こってしまう。
王侯貴族の集まりであるので、当然ジョルジョ王子もいる。
ジョルジョ王子とは同い年ではあるものの、クラスが違う。マルタとジョルジョ王子とアントニーナの3人は仲良しだった。
勿論、恋愛は関係無しに。異性の友達感覚だった。
――この当時は
アントニーナがお腹を蹴られた件はジョルジョ王子が目撃していたので、いじめっ子男子はお咎めを食らった。
この件はジョルジョ王子が担任に言いつけたから良かったのだ。アントニーナが自ら被害届を出しても、担任は無視をするのだ。
ある日の事。
アントニーナの椅子にまち針が置かれていた。
その事をアントニーナが担任に言いつけても、担任は「お前の爪の方が危ない」と言って職員室で爪を切らされる始末だったという。
しかも、担任は史学の担当で、アントニーナがテストでどんなに良い成績をあげても、優、良、可、不可、特不可で可しかくれないようだ。そして、並の点数しか取れなかった時は不可で出るという。
担任もアントニーナを庇うことで他の生徒に嫌われるのを恐れているのだ。
しかし、そんな中、コーラスのアラン先生だけが唯一味方だった。アントニーナは歌が上手だった。いや、歌が上手というよりは声が歌声に向いているのだ。アラン先生だけは常に高評価をくれるらしいのだ。
こんな不平等が王侯貴族の学校でまかり通って良いのか? マルタには頭の痛くなるような事だった。
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