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1 婚約破棄
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私はクライン公爵の次期当主、アルフレッドに呼び出されました。
唐突な話でした。
一体なんのためでしょう?
執務室の近くに来ると声がした。
声はの主はどうやらアルフレッドだけではないようだ。
もう一人誰かいる……。
もう一人の声はどこかで聞き覚えのある声だった。
「!!」
あ、そうだ。従姉妹のルイーズだわ。
しかし、なぜアルフレッドの部屋にルイーズがいるのかしら?
私は怪訝に思いました。
執務室の前に来ると、私はドアをノックしました。
「はい。どうぞ」
と中からアルフレッドのハリのあるバリトンの声がしました。
私はドアノブをそっと回した。
執務室の中にはアルフレッドとルイーズがいました。
「カトリーヌ。話がある」
アルフレッドは手をこまねいてきました。
緑の髪に紫色の瞳。長い髪を後ろで束ねている。
「何の御用でしょうか?」
その横でルイーズが腕を組み、何やら偉そうな格好(ポーズ)をしています。
私は普通でない空気を悟りました。
「俺はこの度きみの従姉妹、ルイーズと婚約することになった」
と言って立ち上がった。
「そうさ。よくよく考えた。俺より背が高い女なんか連れて歩いたら不格好だからな。女は程よいおチビちゃんがいいのさ」
と言ってクスリと笑い私に指を指してきました。
「そうさ。だから。俺はカトリーヌ・ジョアンナ・アルファン! お前との婚約は破棄にする!」
何ですって?
この期に及んで婚約破棄ですって?
「どういう事なのですか? アルフレッド様」
アルフレッドは餌にありついた獣のような顔をしています。
「お前に飽きただけだ」
すると、ルイーズがこちらへ向かってきた。
腰まである長い黒髪。黒い瞳。背が低く、だがしかし背筋はしゃんとしている。
「あんたは男爵でしょ? 私は伯爵なの。あんたが公爵と結婚? 笑わせないでよね。あんたに公爵夫人なんて分不相応だわ。あんたは平民と結婚するのが妥当なとこよ」
「そーれーにー」
ルイーズは髪をかき上げた。
「私は伯爵なの。あんたとは違うわ」
私の心はルイーズに抉られました。
確かに男爵令嬢の大半は平民と結婚する事が多いです。
しかし、それでも私は王立学園にいた時に、アルフレッドに見初められたのです。
そう。私は頭脳明晰だ、と。
私は哲学が得意でした。
哲学に於いては群を抜いて成績優秀でした。
余談ですが、セルジオ王国の第五王子も同級生にいました。
「ふん。同じアトス家の人間の孫とは思えないな」
アルフレッドは鼻の下を擦りながら言った。
「そうよ。アルフレッド様は私を見初めてくれたのよ」
ルイーズはきつい目で私を睨んできました。
「飽きたから……ってすぐには受け入れられないですわ」
しかし、アルフレッドは首を左右に振る。
「ええい! 婚約破棄と言ったら婚約破棄なのだ。潔く認めてくれ」
「事情を……」
アルフレッドはテーブルを勢いよく叩いた。
「いい加減諦めてくれないかね? 俺はもうお前のものじゃない。ルイーズのものなのだ。うゎかったか~!」
と怒鳴りつけるように言うと椅子に座った。
「それと……お前はもう破門だ。公爵家の関係者ではない。実家に帰れ。この話はアルファン男爵家にも伝えてある」
「そして」と言ってアルフレッドは続けた。
「もう用は済んだ。部屋から出てってくれ。それと、俺があげた婚約指輪は売るなり捨てるなりなんなりするといい」
私は理不尽に思いましたが、婚約破棄を受け入れる事にしました。
あの二人にはその内罰が当たるでしょう。
神様は全てお見通しなのだから。
外ではなごり雪が降っていました。
まるで、私の婚約破棄を嘆き悲しむかのように。
そして、冷たいアルフレッドとルイーズの心を投影するかのように、雨は凍り雪となったのでしょう。
私は
「失礼しました」
と言って外に出ました。
およそ品行方正とは思えないなアルフレッドの態度。
よもや、このような事態になるなど想像にもしていなかった。
やはり、男爵令嬢が次期公爵夫人となるのは大変おこがましい話なのでしょう。
とても寒い。
手も凍りつきそう。
吐く息が白く濁る。
廊下に出ると、窓が曇っている。
私は寒い廊下を1人歩いた。
唐突な話でした。
一体なんのためでしょう?
執務室の近くに来ると声がした。
声はの主はどうやらアルフレッドだけではないようだ。
もう一人誰かいる……。
もう一人の声はどこかで聞き覚えのある声だった。
「!!」
あ、そうだ。従姉妹のルイーズだわ。
しかし、なぜアルフレッドの部屋にルイーズがいるのかしら?
私は怪訝に思いました。
執務室の前に来ると、私はドアをノックしました。
「はい。どうぞ」
と中からアルフレッドのハリのあるバリトンの声がしました。
私はドアノブをそっと回した。
執務室の中にはアルフレッドとルイーズがいました。
「カトリーヌ。話がある」
アルフレッドは手をこまねいてきました。
緑の髪に紫色の瞳。長い髪を後ろで束ねている。
「何の御用でしょうか?」
その横でルイーズが腕を組み、何やら偉そうな格好(ポーズ)をしています。
私は普通でない空気を悟りました。
「俺はこの度きみの従姉妹、ルイーズと婚約することになった」
と言って立ち上がった。
「そうさ。よくよく考えた。俺より背が高い女なんか連れて歩いたら不格好だからな。女は程よいおチビちゃんがいいのさ」
と言ってクスリと笑い私に指を指してきました。
「そうさ。だから。俺はカトリーヌ・ジョアンナ・アルファン! お前との婚約は破棄にする!」
何ですって?
この期に及んで婚約破棄ですって?
「どういう事なのですか? アルフレッド様」
アルフレッドは餌にありついた獣のような顔をしています。
「お前に飽きただけだ」
すると、ルイーズがこちらへ向かってきた。
腰まである長い黒髪。黒い瞳。背が低く、だがしかし背筋はしゃんとしている。
「あんたは男爵でしょ? 私は伯爵なの。あんたが公爵と結婚? 笑わせないでよね。あんたに公爵夫人なんて分不相応だわ。あんたは平民と結婚するのが妥当なとこよ」
「そーれーにー」
ルイーズは髪をかき上げた。
「私は伯爵なの。あんたとは違うわ」
私の心はルイーズに抉られました。
確かに男爵令嬢の大半は平民と結婚する事が多いです。
しかし、それでも私は王立学園にいた時に、アルフレッドに見初められたのです。
そう。私は頭脳明晰だ、と。
私は哲学が得意でした。
哲学に於いては群を抜いて成績優秀でした。
余談ですが、セルジオ王国の第五王子も同級生にいました。
「ふん。同じアトス家の人間の孫とは思えないな」
アルフレッドは鼻の下を擦りながら言った。
「そうよ。アルフレッド様は私を見初めてくれたのよ」
ルイーズはきつい目で私を睨んできました。
「飽きたから……ってすぐには受け入れられないですわ」
しかし、アルフレッドは首を左右に振る。
「ええい! 婚約破棄と言ったら婚約破棄なのだ。潔く認めてくれ」
「事情を……」
アルフレッドはテーブルを勢いよく叩いた。
「いい加減諦めてくれないかね? 俺はもうお前のものじゃない。ルイーズのものなのだ。うゎかったか~!」
と怒鳴りつけるように言うと椅子に座った。
「それと……お前はもう破門だ。公爵家の関係者ではない。実家に帰れ。この話はアルファン男爵家にも伝えてある」
「そして」と言ってアルフレッドは続けた。
「もう用は済んだ。部屋から出てってくれ。それと、俺があげた婚約指輪は売るなり捨てるなりなんなりするといい」
私は理不尽に思いましたが、婚約破棄を受け入れる事にしました。
あの二人にはその内罰が当たるでしょう。
神様は全てお見通しなのだから。
外ではなごり雪が降っていました。
まるで、私の婚約破棄を嘆き悲しむかのように。
そして、冷たいアルフレッドとルイーズの心を投影するかのように、雨は凍り雪となったのでしょう。
私は
「失礼しました」
と言って外に出ました。
およそ品行方正とは思えないなアルフレッドの態度。
よもや、このような事態になるなど想像にもしていなかった。
やはり、男爵令嬢が次期公爵夫人となるのは大変おこがましい話なのでしょう。
とても寒い。
手も凍りつきそう。
吐く息が白く濁る。
廊下に出ると、窓が曇っている。
私は寒い廊下を1人歩いた。
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