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帰郷遊戯④
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~ガルベラ王国 カサバイン邸敷地内~
「おや、お帰りなさいませアリス様」
「あら執事長、久しぶり」
ボンッと急に敷地内に現れたアリスたちに驚きもなく声をかけてきたのはカサバイン家執事長だった。いや、もう一瞬でカサバイン家に来たことにも、そもそも敷地内に出現してしまったことも、執事長の反応にも公爵は絶句だった。
「いやはや以前お会いしたときよりも更にお美しくなられて……。もういつ天に召されても良いくらい目の保養にございます。ところで、そちらはもしや…………」
「息子のラルフと娘のオリビアよ」
「おー!なんとお美しいお子様なんでしょうか。私が第二の……おっとロナルド様と国王様がおられましたな。私が第三のじいですぞ」
なんと図々しい……。距離感でいったら自分の方が第三の爺じゃないのかとか変なことを考えてしまう。公爵は未だに状況把握がうまくできていなかった。
その間にもワラワラ集まってくる侍女や執事、騎士たち。あっという間に囲まれた。キャッキャ、ウフフと双子を取り囲む彼らの目がとても優しげな目をしているのに気づき、公爵は緊張が解けたように頭が働き出した。
アリスはちらりと公爵を見た後、声を張り上げた。
「皆様、敷地内に突然現れ失礼致しました。ダイラス国第四王子妃アリスにございます。当主エレナ殿の許可は取っておりますので、何卒ご容赦願います。こちらはダイラス国のブレッツェル公爵にございます」
突然紹介され、ハッと慌てて背筋を伸ばす公爵。
いつの間にやら集まっていた者たちは整列し、深く頭を下げている。彼らに向かい胸に手を当て軽く頭を下げる。
「暫くお世話になります。小国といえど国の代表として来た身です。丁重な対応をされると期待しております」
「「「心得ました」」」
美しいお辞儀を見て満足そうなアリスは公爵に向き直る。
「それでは女帝に会いに行きましょうか公爵」
「は?」
「怖ーーーいラスボスはさっさと終わらせたいでしょう?」
そりゃあ、そうだが。到着して直行なんてなかなか無いような…………。
~~~~~~~~~~
ラスボス戦です。
いや、ラスボスっていうかボス勢揃いって感じなんですけど。なんとか顔は取り繕っているが、内心大混乱、気絶をしたい公爵。
目の前には公爵家当主エレナと大将軍ロナルド。その子供達6人が頭を垂れ勢揃いしていた。子供たちといっても皆それぞれ自分の実力で世界に名を馳せている猛者たち。そのような者たちが自分の方に向かって頭を下げているので、もうなんか目にしちゃいけないものを見ているような、妙な迫力感があって泣きたい。
「ようこそいらっしゃいました。遠路遥々大変お疲れ様でした。ダイラス国第四王子妃アリス様。お子様連れでさぞ大変だったかと思います。宴まであと3日。それまで我が家でごゆるりと過ごして頂けたら幸いにございます」
「誠に痛み入ります。公爵お言葉に甘えましょうね」
「は、誠に有り難いことにございます」
公爵が言うと、キラリとカサバイン家の面々の目が光った。
「「では、固い挨拶はこの辺に致しまして……」」
アリスとエレナの声が被った。数秒後わーと賑やかになる場。
「アリス久しぶりね」
「いやだわセイラ姉様、3日前に会ったじゃない。私の部屋で」
いやいや、不法侵入じゃないのかと声が出そうになる公爵。婚姻条件で出入り自由にしたのだから良いのだが、本当に自由に出入りしていたのだな……。
「アリス。ラルフちゃんとオリビアちゃんは肌荒れとかしてない?良い薬を開発したのよ。試してみない?」
「エミリア姉様ご自身で試してみたの?」
「うふふ。ま・だ・よ」
「使うわけないでしょ」
「「うふふふふふふふ」」
いやいや、めちゃくちゃ良い笑顔だが、何を塗ろうとしているんだ。アリス様ちゃんと守ってくださいよ。
「おー、アリス。この前送った剣使ってるか?」
「は?まだ4ヶ月の子に何もたせようとしてるのよカイル兄様。普通に持ち上がらないし、怪我したらどうするのよ。フランクにあげたわよ」
それはもしや金や銀、ダイヤがごてごてと付いた剣のことだろうか。護衛のフランクが訓練場でブンブン振り回してるのを見た覚えがある。なんかこう……豪華なものを適当にくっつけましたみたいな悪趣味なものだった。彼の趣味かと思ったのだったが違うようだ。
会話の内容に気が遠くなる。
「公爵」
美しく品のある声にハッと意識が戻る。
「いつもアリスがお世話になっております。ご迷惑ばかりお掛けしているんじゃありませんか?」
「あははは、何を言ってるんだいエレナ。可愛い可愛いアリスのご迷惑なんて可愛いものですよね?公爵」
穏やかに笑みを浮かべながら近づいてきたのはエレナとロナルドだ。
「アリス様には多大なる迷惑を掛けられております」
「おっ、公爵も結構言いますなぁ」
特に申し訳ないとも怒るでもなく面白そうにしているロナルドとエレナは楽しそうに笑っている。
「ですが……それ以上に彼女の功績は偉大であり、そして我が国の英雄となり得る宝を二人も生み出してくれたことにとても感謝しております」
二人の笑みが温かくて深いものになる。
「あらあら……あまり良くない噂もあったし、また拗れるようならアリスと孫たちを引き取ろうと思ったのだけれど。残念だわ」
「ハハハハッ、仕方ないさエレナ。アリスの魅力を知ってしまったら手放せないさ」
とても夫婦仲が良さそうだ。
「ブレッツェル公爵。あなたから見たアリスの話しを聞きたいわ。よろしければこの後3人でお茶でもいかがかしら?」
「光栄です、エレナ様、ロナルド様」
「おや、お帰りなさいませアリス様」
「あら執事長、久しぶり」
ボンッと急に敷地内に現れたアリスたちに驚きもなく声をかけてきたのはカサバイン家執事長だった。いや、もう一瞬でカサバイン家に来たことにも、そもそも敷地内に出現してしまったことも、執事長の反応にも公爵は絶句だった。
「いやはや以前お会いしたときよりも更にお美しくなられて……。もういつ天に召されても良いくらい目の保養にございます。ところで、そちらはもしや…………」
「息子のラルフと娘のオリビアよ」
「おー!なんとお美しいお子様なんでしょうか。私が第二の……おっとロナルド様と国王様がおられましたな。私が第三のじいですぞ」
なんと図々しい……。距離感でいったら自分の方が第三の爺じゃないのかとか変なことを考えてしまう。公爵は未だに状況把握がうまくできていなかった。
その間にもワラワラ集まってくる侍女や執事、騎士たち。あっという間に囲まれた。キャッキャ、ウフフと双子を取り囲む彼らの目がとても優しげな目をしているのに気づき、公爵は緊張が解けたように頭が働き出した。
アリスはちらりと公爵を見た後、声を張り上げた。
「皆様、敷地内に突然現れ失礼致しました。ダイラス国第四王子妃アリスにございます。当主エレナ殿の許可は取っておりますので、何卒ご容赦願います。こちらはダイラス国のブレッツェル公爵にございます」
突然紹介され、ハッと慌てて背筋を伸ばす公爵。
いつの間にやら集まっていた者たちは整列し、深く頭を下げている。彼らに向かい胸に手を当て軽く頭を下げる。
「暫くお世話になります。小国といえど国の代表として来た身です。丁重な対応をされると期待しております」
「「「心得ました」」」
美しいお辞儀を見て満足そうなアリスは公爵に向き直る。
「それでは女帝に会いに行きましょうか公爵」
「は?」
「怖ーーーいラスボスはさっさと終わらせたいでしょう?」
そりゃあ、そうだが。到着して直行なんてなかなか無いような…………。
~~~~~~~~~~
ラスボス戦です。
いや、ラスボスっていうかボス勢揃いって感じなんですけど。なんとか顔は取り繕っているが、内心大混乱、気絶をしたい公爵。
目の前には公爵家当主エレナと大将軍ロナルド。その子供達6人が頭を垂れ勢揃いしていた。子供たちといっても皆それぞれ自分の実力で世界に名を馳せている猛者たち。そのような者たちが自分の方に向かって頭を下げているので、もうなんか目にしちゃいけないものを見ているような、妙な迫力感があって泣きたい。
「ようこそいらっしゃいました。遠路遥々大変お疲れ様でした。ダイラス国第四王子妃アリス様。お子様連れでさぞ大変だったかと思います。宴まであと3日。それまで我が家でごゆるりと過ごして頂けたら幸いにございます」
「誠に痛み入ります。公爵お言葉に甘えましょうね」
「は、誠に有り難いことにございます」
公爵が言うと、キラリとカサバイン家の面々の目が光った。
「「では、固い挨拶はこの辺に致しまして……」」
アリスとエレナの声が被った。数秒後わーと賑やかになる場。
「アリス久しぶりね」
「いやだわセイラ姉様、3日前に会ったじゃない。私の部屋で」
いやいや、不法侵入じゃないのかと声が出そうになる公爵。婚姻条件で出入り自由にしたのだから良いのだが、本当に自由に出入りしていたのだな……。
「アリス。ラルフちゃんとオリビアちゃんは肌荒れとかしてない?良い薬を開発したのよ。試してみない?」
「エミリア姉様ご自身で試してみたの?」
「うふふ。ま・だ・よ」
「使うわけないでしょ」
「「うふふふふふふふ」」
いやいや、めちゃくちゃ良い笑顔だが、何を塗ろうとしているんだ。アリス様ちゃんと守ってくださいよ。
「おー、アリス。この前送った剣使ってるか?」
「は?まだ4ヶ月の子に何もたせようとしてるのよカイル兄様。普通に持ち上がらないし、怪我したらどうするのよ。フランクにあげたわよ」
それはもしや金や銀、ダイヤがごてごてと付いた剣のことだろうか。護衛のフランクが訓練場でブンブン振り回してるのを見た覚えがある。なんかこう……豪華なものを適当にくっつけましたみたいな悪趣味なものだった。彼の趣味かと思ったのだったが違うようだ。
会話の内容に気が遠くなる。
「公爵」
美しく品のある声にハッと意識が戻る。
「いつもアリスがお世話になっております。ご迷惑ばかりお掛けしているんじゃありませんか?」
「あははは、何を言ってるんだいエレナ。可愛い可愛いアリスのご迷惑なんて可愛いものですよね?公爵」
穏やかに笑みを浮かべながら近づいてきたのはエレナとロナルドだ。
「アリス様には多大なる迷惑を掛けられております」
「おっ、公爵も結構言いますなぁ」
特に申し訳ないとも怒るでもなく面白そうにしているロナルドとエレナは楽しそうに笑っている。
「ですが……それ以上に彼女の功績は偉大であり、そして我が国の英雄となり得る宝を二人も生み出してくれたことにとても感謝しております」
二人の笑みが温かくて深いものになる。
「あらあら……あまり良くない噂もあったし、また拗れるようならアリスと孫たちを引き取ろうと思ったのだけれど。残念だわ」
「ハハハハッ、仕方ないさエレナ。アリスの魅力を知ってしまったら手放せないさ」
とても夫婦仲が良さそうだ。
「ブレッツェル公爵。あなたから見たアリスの話しを聞きたいわ。よろしければこの後3人でお茶でもいかがかしら?」
「光栄です、エレナ様、ロナルド様」
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