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カレドナ王女を溺愛しているテスタシモン王子は虚言を吐く文官の言葉を信じ込み、怒り任せに彼女の生家カルスフット公爵家へ自ら出向き婚約の破棄を宣言してしまう。
「リリジュア、キミの裏切りは許せない!婚約は白紙にさせていただく!」
わけがわからない彼女は理由を尋ねるが「自身の胸に聞け」と怒るばかりだ。妹の嘘には耳を貸すのに肝心の婚約者の言葉と態度を見ようとしない。
騒ぎを聞きつけたカルスフット当主が何事でしょうかと王子にご機嫌伺いをしたが、相手にされなかった。筆頭公爵であるカルスフットを蔑ろにしたのだ。
その後に王城にて、身に覚えがない醜聞が広がっていたことを知ったリリジュアはあまりの事に眩暈を起こして倒れた。「なんてこと……王子には優秀な側近と密偵が付いていたでしょうに」
下調べもせずに鵜呑みにした愚かな王子をリリジュアは残念に思う。
軽率な行動をしがちな王子ではあるが、リリジュアはそんな抜けた所さえ愛しく思い、妻となる自身が支え補助していこうと決意していた。彼女は心から至らない王子を愛していたのだ。だが、彼は端から信じようとしないのだと気が付いて心は一気に冷めた。
自室のベッドで塞ぎ込む彼女の元へ、密偵が報告に現れて告げる。
「リリジュア様、やはり噂の出処はカレドナ王女でした。姫は侍女と文官たちを買収してまで有りもしない醜聞をばら撒いたのでございます」
「そう……今更だわね」
後手に回ってしまったことに彼女は悔しがったが、今更申し開きをして誤解を解く気にもなれなかった。
「あぁ、シモン……お慕いしていました。ですが、自身で考えることもせず私を信じようとはしませんでしたね」
短絡で頑固なところがあるテスタシモン王子は、恐らく自身のの言葉など聞きはしないだろうと諦めたのだ。
だが、ことの真相は王に伝えるべきと考えた。
「頼みますよ、皆さん。これは王子の婚約者として最後の命令でお願いです」
「御意、真に遺憾でございますが承ります」
数日後、全てを把握したコアブルト国王は長く深いため息を漏らしてからテスタシモン王子とリリジュア令嬢の婚約破棄を許可した。これは決して王子の為ではない。元より長兄である理由と王妃の強い押しがあっての婚約だった、短慮が過ぎる思考と人を見る目が無いテスタシモンには期待していなかったのだから。
「王妃、お前の我儘はもう聞けぬ。有能であるリリジュアがいてこそ次期王の座にと仮指名していたのだからな」
「……はい、これ以上は何も申し上げません。息子可愛さに動いた私は愚かでした」
「それから、カレドナの愚行についても後に沙汰を出す」
「はい、あの子にも失望しましたわ。末娘だからと甘やかしが過ぎました、これは私の生涯背負う咎です」
これは正式な王太子指名発表の二週間前の出来事だった。
「リリジュア、キミの裏切りは許せない!婚約は白紙にさせていただく!」
わけがわからない彼女は理由を尋ねるが「自身の胸に聞け」と怒るばかりだ。妹の嘘には耳を貸すのに肝心の婚約者の言葉と態度を見ようとしない。
騒ぎを聞きつけたカルスフット当主が何事でしょうかと王子にご機嫌伺いをしたが、相手にされなかった。筆頭公爵であるカルスフットを蔑ろにしたのだ。
その後に王城にて、身に覚えがない醜聞が広がっていたことを知ったリリジュアはあまりの事に眩暈を起こして倒れた。「なんてこと……王子には優秀な側近と密偵が付いていたでしょうに」
下調べもせずに鵜呑みにした愚かな王子をリリジュアは残念に思う。
軽率な行動をしがちな王子ではあるが、リリジュアはそんな抜けた所さえ愛しく思い、妻となる自身が支え補助していこうと決意していた。彼女は心から至らない王子を愛していたのだ。だが、彼は端から信じようとしないのだと気が付いて心は一気に冷めた。
自室のベッドで塞ぎ込む彼女の元へ、密偵が報告に現れて告げる。
「リリジュア様、やはり噂の出処はカレドナ王女でした。姫は侍女と文官たちを買収してまで有りもしない醜聞をばら撒いたのでございます」
「そう……今更だわね」
後手に回ってしまったことに彼女は悔しがったが、今更申し開きをして誤解を解く気にもなれなかった。
「あぁ、シモン……お慕いしていました。ですが、自身で考えることもせず私を信じようとはしませんでしたね」
短絡で頑固なところがあるテスタシモン王子は、恐らく自身のの言葉など聞きはしないだろうと諦めたのだ。
だが、ことの真相は王に伝えるべきと考えた。
「頼みますよ、皆さん。これは王子の婚約者として最後の命令でお願いです」
「御意、真に遺憾でございますが承ります」
数日後、全てを把握したコアブルト国王は長く深いため息を漏らしてからテスタシモン王子とリリジュア令嬢の婚約破棄を許可した。これは決して王子の為ではない。元より長兄である理由と王妃の強い押しがあっての婚約だった、短慮が過ぎる思考と人を見る目が無いテスタシモンには期待していなかったのだから。
「王妃、お前の我儘はもう聞けぬ。有能であるリリジュアがいてこそ次期王の座にと仮指名していたのだからな」
「……はい、これ以上は何も申し上げません。息子可愛さに動いた私は愚かでした」
「それから、カレドナの愚行についても後に沙汰を出す」
「はい、あの子にも失望しましたわ。末娘だからと甘やかしが過ぎました、これは私の生涯背負う咎です」
これは正式な王太子指名発表の二週間前の出来事だった。
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