6回目のさようなら

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
4 / 4

4

しおりを挟む
マークスのクズ行為は瞬く間に学園へ広まった。
僅かにいた友人さえ彼から離れていき、孤立無援となったマークス。


焦った彼はなんとかリーザのご機嫌を取ろうと周囲をウロウロしたが、何故か邪魔が入ってうまく接触できなかった。そんな日々が続いたある日、やっと機会が訪れた。


中庭にリーザが一人きりで本を読んでいるところに出くわした。
獲物をみつけたマークスはその辺に生えていた雑草花を毟って花束のようにした。


「リーザ!この通りだ!今まですまなかった!恋人に戻ってくれ!」
「はぁ?お断りしましたよね。なんで偉そうなの?バカなの?それになんですかその雑草……なんだか臭い」


一見白くて美しいように見えたが、酷い臭いが漂う。


再び振られて固まるマークスの背後から声が聞こえた。

「それはドクダミだね。薬とお茶になるが……女子へのプレゼントにするにはどうかと思うな」
「え、だれ!?」


背の高い青年がリーザの方へ歩み寄って「きょうも綺麗だね、ボクのリィ」と言って腰に手を回す。
リーザは微笑み彼を見つめて好意に応える素振りをみせた。


「り、リーザ!誰だソイツ!この尻軽女!恋人の俺のまえでよくも!」
喚くマークスに青年は低音の声で反論した。


「私の婚約者に手を出そうとは良い度胸だ、男爵家の次男の分際で」
「へげ!?こここここんにゃくしゃ!?」

「コンニャクではないぞ」

恫喝されて困惑する無様なマークスに追い打ちをかける青年。

「私の名はアルバート・ファインバルド。聞き覚えあるか?」

「ふぁいん……、公爵家の長男……あああああああ!違うんです!違うんです!ちょっとした誤解というか戯れというか!で、でも!リーザは長女だし嫁にいけないはずでは!?」


「大きなお世話と言いたいところだが、彼女には弟がいる。なにも問題はないぞ?それとも他家の相続に口を挟めるほどキミは偉いのかい?」


すっかり顔色を無くして腰が抜けたマークスは地面に平伏して「すみません!」と連呼しつづけた。


後に恋人と騙って搾取していた食事代と上位貴族への侮辱の慰謝料を払う羽目になり、爵位を手放すことになった。
貧乏男爵から平民になったマークスの姿を再び見ることはなかった。



Fin
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

私はアナタから消えます。

転生ストーリー大好物
恋愛
振り向いてくれないなら死んだ方がいいのかな ただ辛いだけの話です。

伯爵令嬢のぼやき

ネコフク
恋愛
「違う、違うんだよなぁ・・・・・・」 目の前にいる相手に聞こえないくらいにつぶやきそっとため息を吐く。 周りから見るとたおやかに紅茶を飲む令嬢とバックに花を散らすように満面の笑みを浮かべる令息の光景が広がっているが、令嬢の心の中は・・・・・・ 令嬢が過去に言った言葉が上手く伝わらなかった結果、こうなってしまったというお話。

利害一致の結婚

詩織
恋愛
私達は仲のいい夫婦。 けど、お互い条件が一致しての結婚。辛いから私は少しでも早く離れたかった。

見栄を張る女

詩織
恋愛
付き合って4年の恋人がいる。このままだと結婚?とも思ってた。 そんな時にある女が割り込んでくる。

セラフィーネの選択

棗らみ
恋愛
「彼女を壊してくれてありがとう」 王太子は願った、彼女との安寧を。男は願った己の半身である彼女を。そして彼女は選択したー

犠牲の恋

詩織
恋愛
私を大事にすると言ってくれた人は…、ずっと信じて待ってたのに… しかも私は悪女と噂されるように…

おしどり夫婦の茶番

Rj
恋愛
夫がまた口紅をつけて帰ってきた。お互い初恋の相手でおしどり夫婦として知られるナタリアとブライアン。 おしどり夫婦にも人にはいえない事情がある。 一話完結。『一番でなくとも』に登場したナタリアの話です。未読でも問題なく読んでいただけます。

さようなら、初恋

芙月みひろ
恋愛
彼が選んだのは姉だった *表紙写真はガーリードロップ様からお借りしています

処理中です...