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しおりを挟む「さあ入って来るが良い、我が愛しのローズよ!」
「はぁい!いま行きますぅ」
そして、勘違いをしたままテレンツォはローズを横に侍らせて笑う、先ほども思ったが大分年上の女だと思った。化粧が濃くて香水がキツイ、場末のバーにでもいそうだとマリエラは思う。
「まぁ、随分と年嵩な方だわ。いったい何歳ですの?」
マリエラのその言葉に侍女長とメイドたちは壁際で「くすっ」と笑う。ここぞとばかりに彼女たちは冷笑して応戦するつもりのようだ。
その態度を見たテレンツォは顔を真っ赤にしてがなり散らす。
「なにを言うか!彼女はまだ二十代だぞ!この美しさが分からないなんて!節穴だな!」
「そ、そうですぅ失礼だわぁ」
女の方は明らかに動揺していた、やはり三十……いいや四十代かも知れない。引き攣るその顔面がひび割れている。
「うふ、別に年齢のことなどどうでも良ろしいわ。それでローズさんがここに来てなんだと言うの?」
本題を問いかけるマリエラは余裕綽々でそう問いただし紅茶を嗜む。ちなみにベニート側には何も出していない。
「そう!それだ!聞いて驚け、彼女は俺の子を妊娠している!喜ばしいことだ!」
「へぇそう」
それでも彼女は冷静な顔のまま扇でバサリとやり「それが?」と言って微笑む。
「わざわざ不貞行為を晒すなんて正気かしら、慰謝料は容赦しないので宜しくね」
「な、なんだと!?慰謝料って……ど、どうして」
「まぁ、覚悟も無しに解りもせず不貞を働くなんて終わってますわ。侍女長、記録はしているわね?」
「はいお嬢様、しっかりと」
レコーダーを使い何台も記録していると頷く、それはこの部屋のどこにあるかわからない。狼狽えるテレンツォは「どこだ!どこにある!」と喚き散らす。
「教える訳がないでしょう、呆れますね。それと画像でも残してありますから残念、最新のものでフルカラーですのよ」
「な、なんだと……」
しかもサイレントではなくトーキーであると言う、時代の最先端を行くものを惜しげもなく使っていた。
「テレンツォ!どうなっているの?妻は言いなりだから大丈夫だと言ったじゃない!」
「そうだぞ!私達はお前を宛にして……この上慰謝料だと?払えるものか!」
「う、煩いな!なんだよ良い年をして俺におんぶに抱っこかよ!」
「ねぇん、何の話なのぉ?私ちっとも話が見えないわぁ」
腹を膨らませたローズがのんびり言う、彼らは流石に呆れて相手すらしない。
「ねぇねぇ、それで私のお部屋はどこになるの?日当たりの良い所がいいわぁ」
「んん、ローズさん。貴女の部屋なんてなくってよ?」
「ええぇ~どういうことなのよぉ!ここにくれば良い暮らしが出来るって聞いたのよぉ?」
尚も図々しいことを言い放つローズを一瞥してマリエラは言った。
「どうかお帰りください、あぁ、そう言えば挨拶していませんでした!これはウッカリ」
彼女は居住まいを正しこう言った。
「初めまして愛人さん、では元夫と出て行ってくださらない?」
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