完結 婚約破棄は都合が良すぎる戯言

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
8 / 9

しおりを挟む



「私とでは嫌かい?……同じ愛のない相手だとは思うが、少なくとも私はキミを愛しているよ」
「え、エイルナー殿下!?」

突然の愛の誓いと告白をされたレイシアは驚きでしばし固まる、すると焦れたらしい神父が「彼を夫として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」と返事の催促をしてきた。

泡を食った彼女は「あの、その……」としどろもどろになるばかりだ、するとエイルナーは彼女の頬に手を触れて「どうか良い返事を私は貴女を裏切らない」と再び熱い視線を送ってきた。

「あ……誓います、彼を愛す努力をしましょう」と言ってしまうのだった。




どうにか婚礼の儀式を終えた二人は異例のことだったが、その後はライスシャワーも浴びずにその場を辞した。

「こんな事は卑怯だよね、本当にごめんなさい」
彼は頭を深々と下げて彼女に詫びる、実はこれは予め王と結託したことだったのだと彼は謝罪した。王妃の浮気も企みも全て把握してのことだったらしい。

「私は父に嘆願したんだ、このままではレイシアが不幸になるとね。すると王は母の浮気を告白したんだ。ベンラント兄上は……祖父のグランの子だったのだとね」
「そんな!あまりに酷いことです……」

ある程度事情を知っていたレイシアだったが、まさか子まで儲けていたと知り愕然とした。奇しくもベンラントはガルダ王に似ず、代りに弟のエイルナーがその血を濃く受け継いだ。

「あぁ、もちろん私は父の子だよ。隔世遺伝とでもいうのかな、その事もあって母は私を避けていた浮気相手にそっくりの私をね。微かにでも負い目を感じていたのかもしれない、この事実は兄上だけ知らないんだ」
真実を聞かされた彼女は情報を処理しきれずクラクラとなる、眩暈を起こした彼女を優しく介抱するエイルナーだった。

「キミには色々と済まないことをした、これも父に聞いたよ、祖父を助ける為に縛り続けてきたのだとね」
「はい、殿下…………私の心臓はどうなるのでしょう。未だに王妃に奪われたままです」
ケホリと小さく咳をして心臓があった胸をギュウと手を当てた、すると途端に目を見開いて無かったはずの鼓動を確認した。

「ふふ、大丈夫だよ、実は昨夜のうちに母の掛けた闇魔法は解いていたのさ。まだ母は気づいてはいないけれどね」
「あぁ……エイルナー殿下、なんとお礼を申し上げたら良いか」
心臓を取り戻せた安堵から彼女は気を失う。そのまま彼に抱き抱えらたまま安心しきって眠りについた。


「さて、こうなっては兄上には王太子を辞退して頂こうか、そして愛するレイシアも返して貰おう」









しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結済】婚約破棄から始まる物語~真実の愛と言う茶番で、私の至福のティータイムを邪魔しないでくださいな

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中
恋愛
 約束の時間に遅れ、さらには腕に女性を貼り付けて登場したアレックス殿下。  彼は悪びれることすらなく、ドヤ顔でこう仰いました。 「レティシア。君との婚約は破棄させてもらう」  婚約者の義務としての定例のお茶会。まずは遅れたことに謝罪するのが筋なのでは? 1時間も待たせたあげく、開口一番それですか? しかも腕に他の女を張り付けて? うーん……おバカさんなのかしら? 婚約破棄の正当な理由はあるのですか? 1話完結です。 定番の婚約破棄から始まるザマァを書いてみました。

お母様と婚姻したければどうぞご自由に!

haru.
恋愛
私の婚約者は何かある度に、君のお母様だったら...という。 「君のお母様だったらもっと優雅にカーテシーをきめられる。」 「君のお母様だったらもっと私を立てて会話をする事が出来る。」 「君のお母様だったらそんな引きつった笑顔はしない。...見苦しい。」 会う度に何度も何度も繰り返し言われる言葉。 それも家族や友人の前でさえも... 家族からは申し訳なさそうに憐れまれ、友人からは自分の婚約者の方がマシだと同情された。 「何故私の婚約者は君なのだろう。君のお母様だったらどれ程良かっただろうか!」 吐き捨てるように言われた言葉。 そして平気な振りをして我慢していた私の心が崩壊した。 そこまで言うのなら婚約止めてあげるわよ。 そんなにお母様が良かったらお母様を口説いて婚姻でもなんでも好きにしたら!

もう、振り回されるのは終わりです!

こもろう
恋愛
新しい恋人のフランシスを連れた婚約者のエルドレッド王子から、婚約破棄を大々的に告げられる侯爵令嬢のアリシア。 「もう、振り回されるのはうんざりです!」 そう叫んでしまったアリシアの真実とその後の話。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?

ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。 だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。 これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで

みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める 婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様 私を愛してくれる人の為にももう自由になります

婚約破棄を宣告した王子は慌てる?~公爵令嬢マリアの思惑~

岡暁舟
恋愛
第一王子ポワソンから不意に婚約破棄を宣告されることになった公爵令嬢のマリア。でも、彼女はなにも心配していなかった。ポワソンの本当の狙いはマリアの属するランドン家を破滅させることだった。 王家に成り代わって社会を牛耳っているランドン家を潰す……でも、マリアはただでは転ばなかった。

【完結】27王女様の護衛は、私の彼だった。

華蓮
恋愛
ラビートは、アリエンスのことが好きで、結婚したら少しでも贅沢できるように出世いいしたかった。 王女の護衛になる事になり、出世できたことを喜んだ。 王女は、ラビートのことを気に入り、休みの日も呼び出すようになり、ラビートは、休みも王女の護衛になり、アリエンスといる時間が少なくなっていった。

処理中です...