こんな私ですが、先輩に恋をしてもいいですか?

伊咲 汐恩

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14.彼女の異変

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 ――放課後。
 僕は委員会会議の教室へ行くと、黒板前で会長が副会長と話をしていた。
 そこを横切ると、二人の会話が耳に飛び込んでくる。

「今日花咲さん休みなんだって」
「お昼前は元気そうな姿を見たのに。途中で具合悪くなっちゃったのかな」
「お菓子を食べれなくて残念。毎回楽しみにしてたのにぃ」
「ほんとほんと。彼女に『美味しい』って言ったら二カーッと笑うから、あの笑顔にも癒されてたし。それに、あの子がいると会議が賑やかになるんだよね。いつも一生懸命で応援したくなっちゃうというか」
「わかる! 会議が終わっても一人で残って作業しているらしいよ。聞いたら『今年の文化祭は私が盛り上げます!』って意気込んでたし」

 彼女はムードメーカーということもあって、姿が見えないだけでも教室が少し閑散としているように見えた。
 当たり前のように配ってくれたお菓子も今日は届かない。
 洋菓子店に並んでいてもおかしくないほどの仕上がりで、お菓子が配られるたびにみんなの目と舌を楽しませていた。


 このときは先輩の言葉を鵜呑みにして体調不良だと思っていたけど、異変を感じたのはそれから1時間半後。
 委員会を終えてから下駄箱に向かうと、壁の手前に置かれているゴミ箱に、紫色のリボンでラッピングされている大量のワッフルが捨てられていた。

「えっ……。どうして……」

 紫色のリボンは花咲さんのトレードマーク。それに加えて、先日僕が好きだと伝えたワッフル。なので、すぐに持ち主が判明した。
 具合が悪くて持ち帰るならまだしも、ゴミ箱に捨てるなんて……。
 しかも、簡単に目でなぞっても役員の人数分ある。
 それを目の当たりにした途端、彼女の異変に気づいた。
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