クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト

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第一章 陰陽師

保健室

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 涼音にありえないくらいの強さで締められ、気絶しそうになっていた僕はあの後、赤羽先生の言葉のおかげで気絶する前に無事、解放された。

「ふぅ」
 
 そんな僕は赤羽先生から貰った水を飲み、何とか落ち着くことが出来ていた。
 というか、涼音って抱き着きの力だけで人を締め落とせるくらいには力強かったんだ……ちょっと怖いわ。恐怖を感じる。

「あー、えっと……それで?どうなったんでしたけ?僕は、何で保健室に?」

 なんてことを考えながら、僕は少し前のことについて口に告げる。
 どうして僕は保健室にいるんだ?締め落とされた衝撃が強すぎてもう色々と頭から抜け落ちた。

「……まずはごめんなさい」

「ほえ?」

 それに対し、何故か謝罪してきた赤羽先生に僕は思わず変な声をあげる。

「貴方を私たちの世界に引き込んでしまって。まずはそれを謝らせてください」

「……っ」

「えーっと……どういうことでしょう?全然意味がわからないのですが」

「ごめんなさいぃ。ちょっと性急過ぎましたぁ。でも、すぐにでも謝らせてほしかったのよぉ。それだけのことを、してしまっているからぁ」

「はぁ……」

「日本国内の行方不明者数。それは年間で八万人を超えます。それが何によるものか。わかりますか?」

「えっ……?八万件?えっと、それはあくまで、届け出の数ですよね?認知症などの疾病を持つ人や遭難などの事故に巻き込まれた人の数とかではないですか?そのほとんどが一週間くらいに所在が確認されているんじゃないですか?長期的に行方不明とされている人はそんなにいないでしょうし……八万という大きな数字を出されて聞かれても困るのですがぁ」

 いきなり何の話だ。これは。
 あれ?僕ってば、自分が保健室に連れてこられた理由を聞いたよね?なんで急に行方不明者数の話になったの?
 というか、何で僕も律義に真面目に答えているんだ……動揺して逆に真面目になったよ。

「いいえ、それは違います。確かに、警察はこの行方不明者数のうち、六万人が一週間以内に所在が確認されていると発表しています。ですが、これは政府の方針によって出されているカモフラージュです。本当はこのほとんどが無事じゃありません。この行方不明者のほとんどがこの世界に巣食らう妖魔たちによる被害を受けた者たちなのです」

「……何の話ですか?」

 赤羽先生が何を言っているのか。
 ちょっと意味が分からなかった。妖魔?いきなり何?なんで僕は小説の設定を聞かされているの?
 僕はただ、自分が保健室に連れてこられた理由が知りたいだけなんですけど。赤羽先生が書いているのかどうかは知らないけど、とりあえず全然知らん小説の設定には興味ないよ?

「もう少し、詳しく話していきますね」

 い、いや……もう既についていけないところがあるんだけどぉ。

 ……。
 
 ……………。

 そこからの話は三十分くらい続いた。

「わかってくれた、かしら?」

「……」

 何言っているんだ?こいつは真面目な顔をしてペラペラと。
 妖魔とは何か。そして、それと戦っている妖魔とは何か。それをこの三十分で僕は赤羽先生から聞かされ続けた。
 その上での感想がもう……何なの?この時間は、という至極当然の感想だった。
 何で僕はラノベや漫画に出てきそうな設定を聞かされているの?意味がわからない。

「……」

 後、涼音。
 なんでこんな話を聞かされているとき、お前も物凄い神妙な顔をしているの?

「……ごめん」

「……」

 何がやねん。
 そんな真剣な形で謝ってこないで?あのイかれ狂った話の後に。
 あれ?もしかして、この場で僕だけがついていけていない?

「……お話はわかりました」

「それなら、良かったぁ」

 話はわかった。
 ここは何かの新興宗教か、陰謀論の巣窟だ。
 げに恐ろしい……マジで恐ろしい。きっと、このおっとりとして美人だなぁ~と密かに憧れていた赤羽先生は弱って保健室に連れてこられた子たちに対して、今話していたようなことを同じようにしていたに違いない。
 それで、その弱った子たちを洗脳していたのだろう。きっと。
 まったくもって恐ろしい女性だ。
 許しがたい……あまりにも許しがたい邪悪すぎる存在だ。
 でも、僕には狂人を相手にする勇気もやる気もない。

「あっ!ちょっと用事を思い出しましたっ!」

 何時の間にこの学校は新興宗教に染まっていたんだ……一刻も早く逃げなければ。
 自分の幼馴染である涼音までこの新興宗教に呑み込まれてしまうとは。本当に悲しい。本当であれば、僕が何とかして彼女のことを助けてあげたい。
 でも、きっともう救えないだろう。

「……」

 だって、ほら。よく見てみろ。
 涼音の顔を。そこには本気と書いてマジと。そうデカデカ書かれている。

「自分はこれで失礼します!」

 涼音の分も、せめて僕だけは生きよう。
 そう判断し、僕は慌てて立ち上がってそのまま保健室の出口に向かってスタートダッシュを決める。

「ちょっと!」

 そんな自分へと伸ばされた涼音の腕。
 それを華麗に避けた僕はそのまま流れるようにこの保健室から逃亡するのだった。
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