クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト

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第一章 陰陽師

お姉ちゃん

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 幼馴染まで落ちてしまったの赤羽先生が布教する新興宗教の魔の手。

「ただいま」

 そこから逃げるようにして、自分の家へと帰ってきていた。
 家へと帰ってきた僕は自分の部屋にカバンを置き、制服から私服へと着替えていく。

「お姉ちゃん。ただいま」

 そして、私服へと着替えた後の僕は自分の部屋の隣の部屋へと入っていく。
 僕の部屋は必要最低限のモノしか置かれていない実に殺風景で、何の面白味もないような部屋だ。
 そんな、僕の部屋とは打って変わって、今やってきた隣の部屋は華やかだった。
 実に可愛らしいものが多い。男の子が妄想する女の子の部屋と言えば、みたいな感じの部屋だった。

「すぅ……すぅ……すぅ……」

 そんな部屋の端に置かれているベッド。
 そこには今、一人の少女が寝かされており、一定間隔の寝息を立てていた。

「……今日も、起きていないか」

 薄いカーテン越しに柔らかな日差しを受けるその少女が持っている肩まで伸びた黒髪は自然な波を描き、ふわりと広がって枕を飾っていた。そんな黒髪の下にある痩せ細った体は薄い布団に包まれ、その上に手だけが少し出ている。青白い肌には血管が透けて見えていた。
 そんな彼女の顔は美しく整っているが、その目は閉じられ、長いまつ毛が影を落としている。口元はわずかに開き、そこから聞こえてくる規則的な呼吸音だけが、彼女が生きていることを教えてくれる。
 でも、すぐにでもその呼吸音が止まってしまうかのような儚さが、そこには───ッ。

「認めるかよっ」

 消させない……ッ!そんなの、許さないッ。僕が、絶対にっ。

「ふぅー」

 僕は息を吐き、彼女が寝ているベッドの横にあるサイドテーブル。
 そこの上に乗せらえている観葉植物へと僕は持ってきていた小さなジョーロで水を灌ぐ。

「お姉ちゃんが、起きた時にこの子が枯れていたら悲しむからね」

 今、自分の前で寝ている少女は僕のお姉ちゃん。唯一、僕に残っている家族だ。
 お姉ちゃんは僕の両親が亡くなるよりも前、原因不明の病でもう何年も眠り続けていた。

「……いい加減、起きてくれてもいいんだよ」
 
 毎日、お姉ちゃんの顔を見に来る僕はまた今日も、お姉ちゃんに対して起きてと懇願の言葉を口にしながら、ベッドの上にある彼女の手を静かに撫でる。

「……これは、酷いわね」
 
 そんな中で、僕の声以外絶対に響くことのないこの場に自分の物ではない、女性の声が響いてくる。

「おわぁっ!?」

 それで慌てて僕が視線を回してみれば、自分の隣にあの赤羽先生が立ち尽くしていた。
 そして、更にその隣にはついでとばかりに涼音の姿まであった。

「ふ、不法侵入っ!?」

 何故ここにいるのか。
 僕は動揺をあらわにしながらお姉ちゃんの前に立ち、大慌てでスマホを取り出す。

「だぁーめ。警察を呼ばれちゃうと、少し困っちゃうのでぇ」

 だが、その僕の腕を赤羽先生が掴んでくる。

「こ、こんなことをして許されると思っているんですか!?……ッ」

 その赤羽先生へと僕は怒りの声を上げながら、何とかその腕を振り払おうとするのだが、その腕は一切びくともしなかった。

「そんなに暴れないでぇ、悪いようにするつもりはないからぁ」

「ふ、不法侵入者がよくもまぁ!?」

「私たちが……私たちが、貴方の後ろで眠り続けているその人を再び目覚めさせられる可能性を見せてあげる。そう、言ってもぉ、まだ、暴れられちゃう?」

 そんな中で、目の前の赤羽先生は最悪よりも更に最悪の言葉を僕の前で口にしてくる。

「……ッ!?」

 そんな言葉を聞いて、僕は息を漏らし、呻く。赤羽先生へと咄嗟に、燃え滾るような怒りを感じる。
 そして、内心で苦悶する。

「……ッ」

 民間療法。
 それが危険なことはわかっている。
 例えば、癌などに罹った際、標準医療は厳しい現実を口にする中で、民間療法は無責任な甘いことを口にする。その甘言に乗ってしまえば、破滅は免れないっ。
 民間療法なんてくそくらえ。

「……それは」

 でも、既に標準医療はすべてを投げ出した。
 何もわからないから、家で寝かせておいてくれ。うちのベッドで寝かせているのと何ら変わらない。点滴が入らず、点滴を打たずとも死ぬことのないこの子に我々が出来ることは何もない。
 そう、医者は断言した。どこかの研究機関に検体として提出しないようにする。それくらいしかできないと。
 もう、既に僕のところには何も残っちゃいけなかった。
 僕が出来ることなんて、とっくの前から何もなくなっていた。

「どういうことなの?」

 それでも、何か……何かはしたかった。
 このまま何もせず、痩せ細っているお姉ちゃんを見続けるのは嫌だった。
 そんな僕は、自分の前にいる赤羽先生へと、疑問の言葉を漏らす。

「聞く気になってくれてありがとぉ」

 目の前にいる奴は、民間療法どころか、それよりももっと遥かにヤバいであろう新興宗教の類の奴らだろう。
 でも、そんな相手であっても、自分の前で安堵の息を漏らした赤羽先生を見て、僕もつられて安堵の息を漏らしてしまいそうになっていた。
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