11 / 50
第一章 陰陽師
泥の巨人
しおりを挟む
僕が冷や汗を垂らしている間に、どんどんと地面を破って出てきた巨大な腕はそのまま更に体を地面からあらわにさせていく。
「引くわよっ!」
「あ、うんっ」
自分が立っているような場所も呑み込まれてしまいそう。
そんなタイミングになって、僕は真莉愛からの言葉で後方へと引き下がっていく。
「高いところに行くわ」
「了解」
そして、そのまま崩れたマンションの瓦礫の上へと移動する。
『オォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオ』
そんな僕たちの前で、地面から出てきていた化け物はその姿を完全に晒した。
マンションほどの高さを持った、まさに巨人とでもいうべきそいつはその全身が泥で出来ていた。少しばかり黒いその泥で全身が構成されるその土の巨人は少々不気味だ。しかし、その能面は何もないのっぺらぼう。身体の方にも何か特徴らしい特徴はなく、両手足のある人型だった。本当にただ大きいということ以外にはほとんど個性などないような泥の巨人だった。
「……マズイわね」
そんな泥の巨人を見ながら、ぼそりと真莉愛が言葉を漏らす。
「そんなにまずいの?」
「えぇ、不味いわ。あいつはさっきまでいた有象無象とは違い、こいつは明確な強者よ……いつもとは違う。本調子じゃない私だと勝てるかどうかもちょっと怪しいわね」
「……本調子ではない、と?今は」
「……えぇ、そうね。ちょっと、今はリソースを他のところへと強引に割かれているような状態で。本来の状態であれば勝てると思うんだけど」
「……」
マジかぁー。この場にいる唯一の陰陽師である真莉愛に色々と任せたかったのに。
僕とか、本当に……ねぇ?ただ武器を振るうしか能のない僕に何が出来るのか、といった感じだ。
「ふぅー」
だとしても、僕はやるほかないんだけど。真莉愛が一人で勝てないというのなら、僕だって努力しなきゃだめだろう。
『オォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!』
僕が戦う決意を固めたところで、泥の巨人が動き出す。
「はぁ!?」
動きだした泥の巨人。
何処が動いたのかと言えば、全身だった。
その体から幾重もの触手がズルりと大量に伸び始め、それらが空気を引き裂きながら自分の元へと突進してくる。
「ちょっ!」
それに僕は自分の手にある大剣を合わせ、それを斬り落とそうとする。
「……斬れないっ!?」
触手はあいつの腕と同様。
この大剣では斬り裂けなかった。そのせいで、僕は触手と力押しを始めるような形になってしまう。大剣の切れ味はこの泥の巨人にはあまり効果がないようだった。
「ふぅんっ!」
だが、僕は肝心の力押しでしっかり勝利し、相手の触手を遠くへと飛ばす。
「持ち変えるか」
僕は大剣から手を離し、新しく刀を黒い毛玉の口から引き抜く。
「はぁっ!」
地面へと落ちた大剣が光へと変わって消えていくような中で、僕は再度、自分へと向けられる触手へと武器を振るう。
「よし、斬れる」
今度はしっかりと斬り裂けた。
流石は刀だ。切断力はピカイチだ。
「ほっ」
僕は自分の元へとやってくる触手をこの刀で大量に捌き、斬り裂いて見せる。
「そのまま前線を抑えておいてもらえるかしら!?私は遠距離からそいつを打ち抜く準備をしておくから!」
泥の巨人から出てくる触手から逃げるように下がりながら陰陽術らしきものの準備を始めた真莉愛の言葉。
「りょーかい。それくらいならお安い御用だよ」
それに対して僕は頷く。
「よっと!」
そして、触手を斬り裂きながら前へ前へと進んでいった。
「引くわよっ!」
「あ、うんっ」
自分が立っているような場所も呑み込まれてしまいそう。
そんなタイミングになって、僕は真莉愛からの言葉で後方へと引き下がっていく。
「高いところに行くわ」
「了解」
そして、そのまま崩れたマンションの瓦礫の上へと移動する。
『オォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオ』
そんな僕たちの前で、地面から出てきていた化け物はその姿を完全に晒した。
マンションほどの高さを持った、まさに巨人とでもいうべきそいつはその全身が泥で出来ていた。少しばかり黒いその泥で全身が構成されるその土の巨人は少々不気味だ。しかし、その能面は何もないのっぺらぼう。身体の方にも何か特徴らしい特徴はなく、両手足のある人型だった。本当にただ大きいということ以外にはほとんど個性などないような泥の巨人だった。
「……マズイわね」
そんな泥の巨人を見ながら、ぼそりと真莉愛が言葉を漏らす。
「そんなにまずいの?」
「えぇ、不味いわ。あいつはさっきまでいた有象無象とは違い、こいつは明確な強者よ……いつもとは違う。本調子じゃない私だと勝てるかどうかもちょっと怪しいわね」
「……本調子ではない、と?今は」
「……えぇ、そうね。ちょっと、今はリソースを他のところへと強引に割かれているような状態で。本来の状態であれば勝てると思うんだけど」
「……」
マジかぁー。この場にいる唯一の陰陽師である真莉愛に色々と任せたかったのに。
僕とか、本当に……ねぇ?ただ武器を振るうしか能のない僕に何が出来るのか、といった感じだ。
「ふぅー」
だとしても、僕はやるほかないんだけど。真莉愛が一人で勝てないというのなら、僕だって努力しなきゃだめだろう。
『オォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!』
僕が戦う決意を固めたところで、泥の巨人が動き出す。
「はぁ!?」
動きだした泥の巨人。
何処が動いたのかと言えば、全身だった。
その体から幾重もの触手がズルりと大量に伸び始め、それらが空気を引き裂きながら自分の元へと突進してくる。
「ちょっ!」
それに僕は自分の手にある大剣を合わせ、それを斬り落とそうとする。
「……斬れないっ!?」
触手はあいつの腕と同様。
この大剣では斬り裂けなかった。そのせいで、僕は触手と力押しを始めるような形になってしまう。大剣の切れ味はこの泥の巨人にはあまり効果がないようだった。
「ふぅんっ!」
だが、僕は肝心の力押しでしっかり勝利し、相手の触手を遠くへと飛ばす。
「持ち変えるか」
僕は大剣から手を離し、新しく刀を黒い毛玉の口から引き抜く。
「はぁっ!」
地面へと落ちた大剣が光へと変わって消えていくような中で、僕は再度、自分へと向けられる触手へと武器を振るう。
「よし、斬れる」
今度はしっかりと斬り裂けた。
流石は刀だ。切断力はピカイチだ。
「ほっ」
僕は自分の元へとやってくる触手をこの刀で大量に捌き、斬り裂いて見せる。
「そのまま前線を抑えておいてもらえるかしら!?私は遠距離からそいつを打ち抜く準備をしておくから!」
泥の巨人から出てくる触手から逃げるように下がりながら陰陽術らしきものの準備を始めた真莉愛の言葉。
「りょーかい。それくらいならお安い御用だよ」
それに対して僕は頷く。
「よっと!」
そして、触手を斬り裂きながら前へ前へと進んでいった。
30
あなたにおすすめの小説
付きまとう聖女様は、貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも、モテたい願望が強すぎて、つい……〜
咲月ねむと
ファンタジー
この乙女ゲーの世界に転生してからというもの毎日教会に通い詰めている。アランという貧乏貴族の三男に生まれた俺は、何を目指し、何を糧にして生きていけばいいのか分からない。
そんな人生のアドバイスをもらうため教会に通っているのだが……。
「アランくん。今日も来てくれたのね」
そう優しく語り掛けてくれるのは、頼れる聖女リリシア様だ。人々の悩みを静かに聞き入れ、的確なアドバイスをくれる美人聖女様だと人気だ。
そんな彼女だが、なぜか俺が相談するといつも様子が変になる。アドバイスはくれるのだがそのアドバイス自体が問題でどうも自己主張が強すぎるのだ。
「お母様のプレゼントは何を買えばいい?」
と相談すれば、
「ネックレスをプレゼントするのはどう? でもね私は結婚指輪が欲しいの」などという発言が飛び出すのだ。意味が分からない。
そして俺もようやく一人暮らしを始める歳になった。王都にある学園に通い始めたのだが、教会本部にそれはもう美人な聖女が赴任してきたとか。
興味本位で俺は教会本部に人生相談をお願いした。担当になった人物というのが、またもやリリシアさんで…………。
ようやく俺は気づいたんだ。
リリシアさんに付きまとわれていること、この頻繁に相談する関係が実は異常だったということに。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜
大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!?
どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる