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第二章 神器
婚約
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校長室。
それでは今、本来の部屋の主であるはずの校長先生が端に追いやられていた。
その代わりに多数の白装束を身にまとっていた仮面の者たちが部屋の中に陣取っていた。
そして、その中心。最奥。本来であれば、校長先生が座るべき校長室の椅子には転校生である安倍さんが腰掛け、その手すりの部分に軽く加茂さんが寄りかかっていた。
「……陰陽師」
そこまで見れば、もうわかる。
転校生としてやってきたこの二人は陰陽師であると。日本の総理大臣と会える彼ら陰陽師からしてみれば、一つの高校に転校生を二人送りつけ、本来の室長である校長先生を遠いところに追いやることも実に用意なんだろう。
「えぇ、そうですわ。改めて始めまして。私は陰陽師が四大名家。加茂家の加茂歩佳です」
「同じく四大名家。安倍美紀」
「これはご丁寧にどうも。それで?更に二人の陰陽師が僕に何の用?あぁ……今更、僕の自己紹介はいらないよね?」
「えぇ、要りませんわ。それでは、まずは陰陽頭の調査結果について話しますね」
「えっ?」
「貴方のお姉さんについての話です」
「詳しく」
「貴方のお姉さんの病は妖魔関連だったそうです。その上で、その病は陰陽師界が所有している神器によって癒すことが可能、とのことです。ですが、その神器が使えるのは一年に一度。重要な時以外では使ってこなかった代物。それを使うのであれば、それ相応の功績をたて、その褒美として使用を要求するでもしないと、使えないだろう。とのことです」
「……なるほど」
朗報だ。間違いない朗報だ。
僕のやるべきことが今一度、確かな形で断言されたのだから。自分の歩みが間違っていないことがこれで、正式にわかった。
「それで?なんで、この話を安倍さんと加茂さんの二人が転校生になってまで伝えに来たの?」
「別に私たちは呼び捨てでも構いませんよ?」
「なら、遠慮なく。それで?なんで、また新しく歩佳と美紀が僕の元に?別に涼音でもいいでしょう?」
「ふふふ。私たちからの提案があるからですね」
「……提案?」
「はい。そうです。お姉さんのこと、早く治してあげたいでしょう?」
「それは当然」
「そのための最速の動き。それをお伝えしたいのです」
「何かな?」
「要は、陰陽師たちが大事にしている年に一度しか使えない重要な神器。それを使用できるほどの権力者になればいいわけです。どうですか?私たち二人と婚約しませんか?」
「婚約!」
「……婚約、ねぇ?その心は?」
「四大名家の存在は陰陽界において、絶対とも言えます。私たち二人の夫になれば、貴方はその半分と関係を持つことになる。それだけの存在になれば、その神器を動かすだけの格を得られます。所詮、十数年は動かしていない代物ですから。そこまで抵抗もなく、私たち両家の力で動かせるでしょう」
「つまり、僕が偉くなる必要性は一切ない、と」
「はい。そうです。それに加え……自分で言うのも恥ずかしいですが、見た目は美しいと自負する私たちの夫になれるわけです。かなり、得であるように思えませんか?」
「確かに、それは悩ましい申し出かも……でも、断らせてもらおうかな」
悲しいかな。
何で、僕が美少女二人からの告白を断らなきゃいけないんだ。
僕はこれでも彼女を求める一人の男子高校生だというのに。
まぁ、僕が彼女に求める条件として、自分がお姉ちゃんの看病と回復を第一優先にしている。それを許してくれること、というのがあるので、中々彼女なんて出来そうにないけどね。
というか、そうだ。中々出来そうになかった彼女……を飛び越えて婚約者が出来そうであった中で、何で僕が断らなきゃいけないんだ。
「……それは、あの陰陽頭の入れ知恵ですか?」
「ふふっ」
陰陽頭に会った際、僕はその注意として、自分の存在を血縁に食い込んでこようとする陰陽師家からの接触を受けるだろう、っていう風に言われている。
陰陽頭は君の自由だから拘束はしないが、軽はずみな覚悟で手を取るべきではないと忠告を受けていたのだ。
「いいや、あいにくと僕は純愛過激派なんだ。愛ある関係であるべきでしょう?」
とはいえ、この陰陽頭さんの言葉がなくとも、断っていると思うけどね。
お姉ちゃんだって、僕が身売りに近いようなことをしていたら、複雑だろうしね。自分の胃から
「それはあの土御門の厄介な意見じゃなさそうね」
「ずいぶんとまぁ……」
全体のトップであるという陰陽頭さんのことを雑に苗字だけで吐き捨てちゃって、まぁ……って、あれ?土御門?それってば、あまり意識していなかったけど、涼音と同じ苗字じゃない?もしかして、涼音ってば今の陰陽師の頂点である陰陽頭と同じ家の生まれだったりするの?
あれ?もしかして、涼音ってばありえないくらいのご令嬢?
まぁ、今はそれどころじゃないか。
「というわけ。じゃあ、もう帰っていいよ?お二人さんは」
とりあえず、二人はもう陰陽師界の方に帰ってくれないかな?このままいられても、ちょっと困るというかなんというか……。
「……ん?帰りませんよ?我々は」
「えぇ?もう話は終わりじゃない。僕は受け入れない。それ以上に何か、言葉が必要なの?」
「えぇ。貴方の話を総合すれば、つまり、私たち二人と恋愛感情があればいいのでしょう?でしたら、紡ぎましょう?愛を」
「……えぇ?」
思ったよりも思いきっていた歩佳の言葉に僕は困惑の言葉を漏らした。
それでは今、本来の部屋の主であるはずの校長先生が端に追いやられていた。
その代わりに多数の白装束を身にまとっていた仮面の者たちが部屋の中に陣取っていた。
そして、その中心。最奥。本来であれば、校長先生が座るべき校長室の椅子には転校生である安倍さんが腰掛け、その手すりの部分に軽く加茂さんが寄りかかっていた。
「……陰陽師」
そこまで見れば、もうわかる。
転校生としてやってきたこの二人は陰陽師であると。日本の総理大臣と会える彼ら陰陽師からしてみれば、一つの高校に転校生を二人送りつけ、本来の室長である校長先生を遠いところに追いやることも実に用意なんだろう。
「えぇ、そうですわ。改めて始めまして。私は陰陽師が四大名家。加茂家の加茂歩佳です」
「同じく四大名家。安倍美紀」
「これはご丁寧にどうも。それで?更に二人の陰陽師が僕に何の用?あぁ……今更、僕の自己紹介はいらないよね?」
「えぇ、要りませんわ。それでは、まずは陰陽頭の調査結果について話しますね」
「えっ?」
「貴方のお姉さんについての話です」
「詳しく」
「貴方のお姉さんの病は妖魔関連だったそうです。その上で、その病は陰陽師界が所有している神器によって癒すことが可能、とのことです。ですが、その神器が使えるのは一年に一度。重要な時以外では使ってこなかった代物。それを使うのであれば、それ相応の功績をたて、その褒美として使用を要求するでもしないと、使えないだろう。とのことです」
「……なるほど」
朗報だ。間違いない朗報だ。
僕のやるべきことが今一度、確かな形で断言されたのだから。自分の歩みが間違っていないことがこれで、正式にわかった。
「それで?なんで、この話を安倍さんと加茂さんの二人が転校生になってまで伝えに来たの?」
「別に私たちは呼び捨てでも構いませんよ?」
「なら、遠慮なく。それで?なんで、また新しく歩佳と美紀が僕の元に?別に涼音でもいいでしょう?」
「ふふふ。私たちからの提案があるからですね」
「……提案?」
「はい。そうです。お姉さんのこと、早く治してあげたいでしょう?」
「それは当然」
「そのための最速の動き。それをお伝えしたいのです」
「何かな?」
「要は、陰陽師たちが大事にしている年に一度しか使えない重要な神器。それを使用できるほどの権力者になればいいわけです。どうですか?私たち二人と婚約しませんか?」
「婚約!」
「……婚約、ねぇ?その心は?」
「四大名家の存在は陰陽界において、絶対とも言えます。私たち二人の夫になれば、貴方はその半分と関係を持つことになる。それだけの存在になれば、その神器を動かすだけの格を得られます。所詮、十数年は動かしていない代物ですから。そこまで抵抗もなく、私たち両家の力で動かせるでしょう」
「つまり、僕が偉くなる必要性は一切ない、と」
「はい。そうです。それに加え……自分で言うのも恥ずかしいですが、見た目は美しいと自負する私たちの夫になれるわけです。かなり、得であるように思えませんか?」
「確かに、それは悩ましい申し出かも……でも、断らせてもらおうかな」
悲しいかな。
何で、僕が美少女二人からの告白を断らなきゃいけないんだ。
僕はこれでも彼女を求める一人の男子高校生だというのに。
まぁ、僕が彼女に求める条件として、自分がお姉ちゃんの看病と回復を第一優先にしている。それを許してくれること、というのがあるので、中々彼女なんて出来そうにないけどね。
というか、そうだ。中々出来そうになかった彼女……を飛び越えて婚約者が出来そうであった中で、何で僕が断らなきゃいけないんだ。
「……それは、あの陰陽頭の入れ知恵ですか?」
「ふふっ」
陰陽頭に会った際、僕はその注意として、自分の存在を血縁に食い込んでこようとする陰陽師家からの接触を受けるだろう、っていう風に言われている。
陰陽頭は君の自由だから拘束はしないが、軽はずみな覚悟で手を取るべきではないと忠告を受けていたのだ。
「いいや、あいにくと僕は純愛過激派なんだ。愛ある関係であるべきでしょう?」
とはいえ、この陰陽頭さんの言葉がなくとも、断っていると思うけどね。
お姉ちゃんだって、僕が身売りに近いようなことをしていたら、複雑だろうしね。自分の胃から
「それはあの土御門の厄介な意見じゃなさそうね」
「ずいぶんとまぁ……」
全体のトップであるという陰陽頭さんのことを雑に苗字だけで吐き捨てちゃって、まぁ……って、あれ?土御門?それってば、あまり意識していなかったけど、涼音と同じ苗字じゃない?もしかして、涼音ってば今の陰陽師の頂点である陰陽頭と同じ家の生まれだったりするの?
あれ?もしかして、涼音ってばありえないくらいのご令嬢?
まぁ、今はそれどころじゃないか。
「というわけ。じゃあ、もう帰っていいよ?お二人さんは」
とりあえず、二人はもう陰陽師界の方に帰ってくれないかな?このままいられても、ちょっと困るというかなんというか……。
「……ん?帰りませんよ?我々は」
「えぇ?もう話は終わりじゃない。僕は受け入れない。それ以上に何か、言葉が必要なの?」
「えぇ。貴方の話を総合すれば、つまり、私たち二人と恋愛感情があればいいのでしょう?でしたら、紡ぎましょう?愛を」
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思ったよりも思いきっていた歩佳の言葉に僕は困惑の言葉を漏らした。
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