主人公に殺されるゲームの中ボスに転生した僕は主人公とは関わらず、自身の闇落ちフラグは叩き折って平穏に勝ち組貴族ライフを満喫したいと思います

リヒト

文字の大きさ
67 / 74
第二章

第十九話

しおりを挟む
 僕たちの基本的な戦闘スタイルは相手がなんであろうと変わらない。
 リーリエがバフと回復をばら撒き、僕が自由自在に動き回って撹乱しながら相手に攻撃を仕掛け、ラレシアがリーリエとキリエを守って、最後にキリエが圧倒的な火力の一撃をぶちかます。

「よっほっ、せい」
 
 サイクロプス戦もその例に漏れず、リーリエのバフを受けた僕がサイクロプスの頭上から、背後から、横から、股下から、正面から。
 ありとあらゆるところから攻撃を仕掛け、魔法と剣術でどんどんその体を削っていく。

「ガァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアア!!!」
 
 既に僕を捕らえるの諦めたサイクロプスはラレシアへと己の持つ棍棒で攻撃を仕掛けるも、全てラレシアの大剣によって弾き飛ばされている。
 巨大で頑強なラレシアはたった一人でサイクロプスのヘイトを集めて攻撃を食らっているにも関わらず、決して負けることなく踏ん張っていいる。

「これは我が栄光を示す道、世界を照らす賛美歌、世界の終着点へと至る果て。黄金にして永遠にして終わりなきして終わりある世界の海、権限せよ『黄金郷の海』」
 
 何もかもを呑み込まんとする波荒れる水球がサイクロプスを覆いかぶさって荒れ狂う。

「……ァァァァァァアアアアアアアアアアアアアア」
 
「迸れ『天王雷狼』」
 
 水球に呑まれたサイクロプスへと僕は雷魔法を向ける。

「ガァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
 
 荒れ狂う水球の水流でサイクロプスの体はズタズタに削られ、捻じ曲げられ、雷がサイクロプスの肉を焼き焦がす。

「────────」

 サイクロプスを完全に呑み込み、真っ赤に染まった

「やったかしら?」

「ふ、ふふふ……我が魔法を幾度も喰らい、それでもなお立ち続ける英傑たる汝を我は祝福し、褒め称えよう!しかし!勝利したのは我だ!我の勝ち、我が天下よ!」
 
 味方であるリーリエとキリエがフラグを乱立させる中。

「──────────────────────────ッ」

 低く、轟く。
 不気味な唸り声とくっきり見える闇の波動が水球を弾き飛ばす。

「……あっ」
 
「キリエッ!?」
 
 闇の波動を浴びたキリエはあっけなく意識を飛ばし、その横にいたリーリエが動揺の声を叫ぶ。

「ぐぅ……ッ!」
 
 そんな最中、僕は闇の波動に耐えるラレシアの頭に触れ─────。

「ど、どうしよう!キリエがッ!ノームッ!!!」

「一旦気絶したラレシアとキリエは撤退させるッ!」
 
 僕はラレシアとキリエを持って、疾走。
 未だ動かぬサイクロプスから距離を取り、戦い始める直前に貼っていた僕たちの陣地に二人を置き、リーリエが残っているサイクロプスの前へと戻る。

「ラレシアとキリエは大丈夫……二人はもう安全。ここら一帯はラレシアのおかげで魔物がいないし、何も問題はないはず」

「……そう、良かったわ。それじゃあ私たちは」

「こんな状態のサイクロプスを前におめおめと逃げられる気がしないよ?僕は。気絶する二人を抱えて」

 先程までの緑の肌は何処へやら、黒く染まった肌に白目を真っ赤に染めた一つ目。
 より禍々しく、より荒々しい姿となったサイクロプスが僕たちの前に立っていた……当然無傷。

「二人でちょっと頑張ろうか」
 
 圧倒的な威圧感を漂わせるサイクロプスを見ながら僕はリーリエへと軽い言葉でそう告げた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

処理中です...