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聖女の暴力編
第67話 聖女の遠征4
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休憩を終えて走る事1時間。
とうとうルシーフの城が見える所まで辿り着いた。
「じゃあ、私は他の人達を迎えに行ってくるから。」
「わかった。」
お母さんは転移して行った。
「アリエンナちゃん。」
ルゴールが改まった態度で何かを言いたそうにしている。
「どうしました?」
「ルシーフを倒した後はどうするんだ?」
そこは住人として気になる部分よね。
アンリさんが何か言っていたような気がするけど……忘れちゃった。何だっけ?
「アンリさんに考えがあるみたいです。」
「それなら良いんだが。ルシーフ亡き後は出来るだけしっかり統治してもらいたいと思ってな。ほとんど無政府状態に近かったもんでよ。」
だとすれば、ルシーフ領の人達は碌に公共サービスを受ける事が出来ていないという事だ。
まぁ、私の故郷も似た様なものだったけど……あれ?
「そう言えば、税金なんて払った事がありませんね。」
「ただいまー。」
お母さんが“推ししか勝たん”の人達を連れて帰って来た。
「ねぇお母さん。」
「どうしたの?」
「うちの村って税金払った事ないよね?」
「そうね。それがどうかしたの?」
きょとんとした顔をするお母さん。まるで、変な事聞くわねと言いたげだ。
普通は国に所属しているのだから、払わないで済むはずがない。
「払わなくても良いの?」
「良いのよ。」
お母さんの話によると、昔は村に徴税官の人達が来て払っていたらしい。
でも、徴税官が変った途端に村の女を要求し始め、お母さんに目を付けた新しい徴税官が無理矢理迫ってきたそうだ。
「そいつがムカついたから深淵の森に置いてきたわ。どうなったかは知らないけど。」
それ……きっと死んでるよね。
「その後も徴税官が来る度に似た様な事を言ってきたから、全員深淵の森にポイよ。あんまりにもそれが続くんで、私達の村を治めている領主の屋敷に特級魔法を撃ちこんだら来なくなったわね。」
「良いの?」
「良いのよ。」
良いんだぁ……。
「えーっと……確か、ヨコ=ナガ―シ辺境伯だったかしら? 私の特級魔法で当主が死亡しちゃったから、代替わりしたのよね。」
考えてみれば、お馬鹿な貴族がお母さんを怒らせたというだけの話だった。
じゃあ倒されても仕方ないか。
「なんかあの後ジョガリーマ王国の王族が総出で謝りに来てたから、ついでに全員ブッ叩いておいたっけな。」
「王族をブッ叩いても良いの?」
「良いのよ。ブッ叩かれた後にお礼まで言ってきたし。」
良いんだぁ……。
きっとお母さんが怖いから、この程度で済ませてくれてありがとうって意味だったんでしょうね。
「そんなワケで税金は払わなくて良いの。」
へぇ……まぁ、良く考えたら払う必要もないか。私達の村から税金取るだけ取って、特に何かをしてもらった記憶もないしね。
「ふむ。それだけの強さがあれば、人間の王族など暴力で言う事を聞かせるのは容易いだろうな。」
「そうね。あの当時は2級悪魔程度の強さでしかなかったけど、人間界ならそれで充分だったし。」
どうもお母さんは暴力があれば何でも解決出来ると思っているみたい。もう少し私を見習って欲しい。
「それじゃあルシーフを討伐に行くわよ! あなた達は危ないから城の外で待ってて。」
私とお母さんは城内へと突入。
中は驚く程静かで人の気配がまるでなかった。その広さ故に、静けさが際立っている。
「誰も居ないね。」
「ルシーフは暴れてばかりって話だから、皆逃げちゃったんじゃない?」
「それはあるかも。」
もしかしたら幹部級の悪魔しかいないのかもしれない。
私達は奥へ奥へと進み、恐らくはルシーフが居ると思われる玉座の間へ辿り着いた。
「それじゃあ開けるわよ。」
「うん。」
扉を開けると中からは酒の匂いが漂ってきた。
「おう! 綺麗なねーちゃん達じゃねぇか。ちょっと一緒に飲もうぜ。」
あれがルシーフ?
良く分からないけど、かなりご機嫌みたい。
「どうした? さぁ来いよ。上等なワインがあるんだ!」
上等なワインには興味がある。
お酒は少ししか飲んだ事ないけど、一杯くらいなら良いかな?
「今行きま……」
「アリエンナ何してるのー? 早く飲みましょう。」
お母さんがいつの間にかルシーフの正面に座っていた。
お酒、飲みたかったの?
「待って、私も。」
ルシーフ、お母さん、私で酒盛りが始まった。
「このワインはよぉ、隣のバルバスん所からかっぱらって来たんだ! 最高にイカしてっから試してくれや!」
「いただきます。」
確かに美味しい。ワイン特有の渋みは強く感じるのに、何故かそれが癖になる。
こんなの飲んだ事ないわ。
「凄いわね。私もこんなに美味しいワインは初めてよ。」
「だろ? ところでねえちゃん達はどっから来たんだ?」
「人間界のジョガリーマ王国って所よ。」
「おお! そうなんか? 酒は魔界の方が美味いから今まで満足出来なかったんじゃねぇか?」
ルシーフがそう言いながら私の胸を弄り始めた。
「え?」
「最高な触り心地だぜ! どうした? 直に触ってやろうか?」
咄嗟の出来事に私は何が起こったのか理解出来ず、反応する事が出来なかった…………が、状況を把握した途端に怒りで目の前が真っ赤に染まる。
ギャモーにだって触られた事ないのに……。
殺してやる
とうとうルシーフの城が見える所まで辿り着いた。
「じゃあ、私は他の人達を迎えに行ってくるから。」
「わかった。」
お母さんは転移して行った。
「アリエンナちゃん。」
ルゴールが改まった態度で何かを言いたそうにしている。
「どうしました?」
「ルシーフを倒した後はどうするんだ?」
そこは住人として気になる部分よね。
アンリさんが何か言っていたような気がするけど……忘れちゃった。何だっけ?
「アンリさんに考えがあるみたいです。」
「それなら良いんだが。ルシーフ亡き後は出来るだけしっかり統治してもらいたいと思ってな。ほとんど無政府状態に近かったもんでよ。」
だとすれば、ルシーフ領の人達は碌に公共サービスを受ける事が出来ていないという事だ。
まぁ、私の故郷も似た様なものだったけど……あれ?
「そう言えば、税金なんて払った事がありませんね。」
「ただいまー。」
お母さんが“推ししか勝たん”の人達を連れて帰って来た。
「ねぇお母さん。」
「どうしたの?」
「うちの村って税金払った事ないよね?」
「そうね。それがどうかしたの?」
きょとんとした顔をするお母さん。まるで、変な事聞くわねと言いたげだ。
普通は国に所属しているのだから、払わないで済むはずがない。
「払わなくても良いの?」
「良いのよ。」
お母さんの話によると、昔は村に徴税官の人達が来て払っていたらしい。
でも、徴税官が変った途端に村の女を要求し始め、お母さんに目を付けた新しい徴税官が無理矢理迫ってきたそうだ。
「そいつがムカついたから深淵の森に置いてきたわ。どうなったかは知らないけど。」
それ……きっと死んでるよね。
「その後も徴税官が来る度に似た様な事を言ってきたから、全員深淵の森にポイよ。あんまりにもそれが続くんで、私達の村を治めている領主の屋敷に特級魔法を撃ちこんだら来なくなったわね。」
「良いの?」
「良いのよ。」
良いんだぁ……。
「えーっと……確か、ヨコ=ナガ―シ辺境伯だったかしら? 私の特級魔法で当主が死亡しちゃったから、代替わりしたのよね。」
考えてみれば、お馬鹿な貴族がお母さんを怒らせたというだけの話だった。
じゃあ倒されても仕方ないか。
「なんかあの後ジョガリーマ王国の王族が総出で謝りに来てたから、ついでに全員ブッ叩いておいたっけな。」
「王族をブッ叩いても良いの?」
「良いのよ。ブッ叩かれた後にお礼まで言ってきたし。」
良いんだぁ……。
きっとお母さんが怖いから、この程度で済ませてくれてありがとうって意味だったんでしょうね。
「そんなワケで税金は払わなくて良いの。」
へぇ……まぁ、良く考えたら払う必要もないか。私達の村から税金取るだけ取って、特に何かをしてもらった記憶もないしね。
「ふむ。それだけの強さがあれば、人間の王族など暴力で言う事を聞かせるのは容易いだろうな。」
「そうね。あの当時は2級悪魔程度の強さでしかなかったけど、人間界ならそれで充分だったし。」
どうもお母さんは暴力があれば何でも解決出来ると思っているみたい。もう少し私を見習って欲しい。
「それじゃあルシーフを討伐に行くわよ! あなた達は危ないから城の外で待ってて。」
私とお母さんは城内へと突入。
中は驚く程静かで人の気配がまるでなかった。その広さ故に、静けさが際立っている。
「誰も居ないね。」
「ルシーフは暴れてばかりって話だから、皆逃げちゃったんじゃない?」
「それはあるかも。」
もしかしたら幹部級の悪魔しかいないのかもしれない。
私達は奥へ奥へと進み、恐らくはルシーフが居ると思われる玉座の間へ辿り着いた。
「それじゃあ開けるわよ。」
「うん。」
扉を開けると中からは酒の匂いが漂ってきた。
「おう! 綺麗なねーちゃん達じゃねぇか。ちょっと一緒に飲もうぜ。」
あれがルシーフ?
良く分からないけど、かなりご機嫌みたい。
「どうした? さぁ来いよ。上等なワインがあるんだ!」
上等なワインには興味がある。
お酒は少ししか飲んだ事ないけど、一杯くらいなら良いかな?
「今行きま……」
「アリエンナ何してるのー? 早く飲みましょう。」
お母さんがいつの間にかルシーフの正面に座っていた。
お酒、飲みたかったの?
「待って、私も。」
ルシーフ、お母さん、私で酒盛りが始まった。
「このワインはよぉ、隣のバルバスん所からかっぱらって来たんだ! 最高にイカしてっから試してくれや!」
「いただきます。」
確かに美味しい。ワイン特有の渋みは強く感じるのに、何故かそれが癖になる。
こんなの飲んだ事ないわ。
「凄いわね。私もこんなに美味しいワインは初めてよ。」
「だろ? ところでねえちゃん達はどっから来たんだ?」
「人間界のジョガリーマ王国って所よ。」
「おお! そうなんか? 酒は魔界の方が美味いから今まで満足出来なかったんじゃねぇか?」
ルシーフがそう言いながら私の胸を弄り始めた。
「え?」
「最高な触り心地だぜ! どうした? 直に触ってやろうか?」
咄嗟の出来事に私は何が起こったのか理解出来ず、反応する事が出来なかった…………が、状況を把握した途端に怒りで目の前が真っ赤に染まる。
ギャモーにだって触られた事ないのに……。
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