【完結】転生したら脳筋一家の令嬢でしたが、インテリ公爵令息と結ばれたので万事OKです。

櫻野くるみ

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片眼鏡の執事も脳筋です

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屋敷の玄関から外に出ると、そこには整然と並んだ騎士達で一杯だった。
なかなか圧巻の光景だ。
そしてさすがの侯爵家、無駄に敷地が広いのがよくわかる。
門が遥か彼方に見えている。

あ、そうだった。
今からお父さんが騎士団連れて出陣するから、出陣式するんだっけ。
って、「お父さん」って呼び方もどうなの?
普通の令嬢は「お父様」とか呼ぶものじゃないの?
なんか庶民的なんだよなぁ。
「親父」じゃなくてまだ良かったか。
私が「お嬢」じゃ、お父さんは「親分」とか「おやじ」とか呼ばれててもおかしくないもんね。
「おやっさん」ってのもあるかもしれない。

騎士達を玄関のポーチの上から見下ろして……って言っても、みんな背が高いから全然見下ろせてはないけど、つらつらとくだらないことを考えていたら、隣に執事長のトーマスが立った。

「ねぇ、トーマス、今回はどこの国と戦うんだっけ?向こうの戦力は?」

我が王国、アカネイルは海にも面しているが、内陸側は3つの国と接している為、小競り合いから戦争まで、昔から争い事は日常茶飯事だ。
ガルシア家はアカネイルの武力の要であり、王国騎士団に匹敵するほどのガルシア騎士団を所有している。
彼らは主に領地で鍛練を積んでいるのだが、父の一声でどこへでも遠征し、その迷いのない戦いっぷりは『アカネイルの守護神』と呼ばれている。
……って、単に脳筋なだけじゃね?
よく言えば命令に忠実だけど、あやつらは絶対に勢いだけで戦ってるって!

諸々な事情に不安を感じていると、トーマスから返答があった。
ちなみにトーマスは片眼鏡にグレイヘアの、『ザ・執事』な男である。

「今回はグレモナ相手ですな。騎士、傭兵など300人ほどが国境に押しかけているそうです」

へぇー、敵は300か。
……え?

「いやいや、ここに集まっている騎士だけでもっといるよね?」

「そうですな。ざっと5000ほどかと」

は?
300人に対して5000人?
多すぎじゃね?
というか、もはやここってライブ会場じゃん!
ここから「調子はどうだ!」とかやってみたい。

「これだけ居るなら、今回はガルシアから応援は呼ばないんだよね?」

すでに大幅に戦力が勝っているのだ。
ガルシア領にいるうちの騎士団を呼ぶ必要がない……はずだ。

「もちろん合流致します。10000ほどですが」

はぁぁ!?
なんで呼ぶ必要があるんだよ!
相手300だよ?
あ、もしかして相手の援軍が後からわんさか駆けつけるのか?

「グレモナは援軍が来る予定があるの?それとも今の300人は囮だとか?援軍が別のルートから攻めて来るんなら、うちも兵力を分散させないとね!」

たった300の相手に、15000で迎え撃つ理由が何かあるはずだと色々考えてみたのだが。

「お嬢、さっきから何を仰っているのです?我が主はどんな戦いでも注げるだけの戦力で挑みます。分散なんてとんでもない。全戦力を一点集中!!先祖代々の教えではありませんか」

あーほーかーーー。

思わずクラっとしてしまった。

でもそうだった、うちはずっと馬鹿みたいにそのやり方、つまり無策で戦ってきたんだった。
よく勝ち続けてこられたもんだ。
よその国、馬鹿なの?
トーマスも、片眼鏡なんてしてるからてっきりインテリかと見せかけて、思いっきり脳筋じゃん!!

呆れていると、兄のテオドールが近付いてきた。

「ルー、見送りありがとな。今回も思いきり蹴散らしてやるから安心してな!」

『イケ夢』の立ち絵通りのテオドールだ。
騎士団の制服にハチマキ、赤茶色の短い髪がワイルドな長身イケメンだけども……。
ハチマキって何!?
お前は体育祭の応援団長か!!

プレイ中は特に疑問を感じなかったけど、実際に見るとすごい違和感を感じる。
そして、そこはかとなく漂う脳筋臭……。

「ご、ご武運をお祈りしています。あ、お兄ちゃん、敵がもし予定外の行動を取ったらどうするの?一応いくつか作戦があったほうが良くないかなーなんて」

あまりに無策過ぎて不安になり、つい口出しをしてしまった。

「作戦?そんなのは臨機応変にやるさ!」

いやいや、あなたのは「臨機応変」じゃなくて、「行き当たりばったり」って言うんだよ。
ほんとよく今まで無事だったなー。

そうこうしていると、騎士団長の父が颯爽と姿を現した。
長い黒のマントが格好いい。
そもそもうちの家族って、見た目はいいんだよな。
もちろん私もね。

私に気付くと一瞬目を細め、柔らかい表情になった父。
うん、うちの男性陣は相変わらず私に甘い。

マントを靡かせて騎士達を見下ろすお父さん。
しかし、その時私は目にしてしまったのだ。
マントに刺繍された『闘魂』の二文字を!!

ぶはっ!!
なに『闘魂』って?
猪○?アントニオ猪○なの!?

むせて咳き込む私の背中を、サリーがさすってくれていた。

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