10 / 13
テレサの野望
しおりを挟む
「はぁ~、全くやってられないな。毎回毎回、無駄に集まりやがって。いい加減こっちの笑顔も限界だっつーの」
放心状態でうずくまるテレサの耳に、あまり態度のよろしくない、荒んだ声が飛び込んできた。
ん?これってお兄ちゃんの声?
まさかね・・・
しかし、そのまさかだった。
裏庭の隅で丸まっていたテレサが見上げると、そこには神父姿で悪態をつくシリウスが立っていた。
「あー、疲れた疲れた・・・って、テレサ!?なんでそんなところで小さくなっているの?あ、もしかして聞こえちゃってた?」
複雑な表情でテレサがコクリと頷くと、「あー、失敗したー」なんて言いながらも、シリウスはケロッとしている。
「もしかして、お兄ちゃんも猫を被っていたってこと?しかもずっと・・・」
尋ねながら、テレサはいよいよ泣きだしたい気持ちだった。
シリウスとの結婚は不可能だわ、今までずっと猫を被られていたやら、ショックが大きすぎたのである。
「当たり。でもテレサの前では猫を被っていたつもりはないよ。ただテレサの理想で居たかっただけ」
「どういうこと?」
「んー、テレサは王子様みたいな僕が好きなんでしょ?だからずっと好きでいてもらう為に、自然と優等生キャラになっちゃっただけ」
「じゃあさっきのは?お兄ちゃん、みんなに優しいじゃない。私だけじゃないもの」
「あれはテレサ以外のその他大勢用。どうでもいい人には猫を被ってる。え?同じに見えた?自分的には全然違うんだけど・・・」
なんだかよくわからないが、テレサはさっきの女性達とは区別されているらしい。
特別なのは嬉しいが、だからって結婚出来る訳でもなく、テレサは落ち込んだままだった。
「テレサ、なんでそんなに落ち込んでるの?そんなに僕が猫を被っていたのがショックだった?あ、女の子に囲まれてたのを見て焼き餅焼いちゃった?」
心配している風を装いながら、嬉しそうに訊いてくるシリウスが腹立たしい。
どうせ嫉妬してましたよ!
なにさ、お兄ちゃんがずっと期待を持たせたのがいけないんじゃない!!
「お兄ちゃんのバカ!!神父様は結婚出来ないくせに!!べ、べつに本気でお兄ちゃんと結婚したいとか思ってた訳じゃないけど・・・」
尻すぼみになっていくテレサの言葉とは裏腹に、シリウスは嬉しそうに破顔した。
「かーわいいなぁ。テレサは昔からほんと可愛い」
シリウスはテレサの前にしゃがみこむと、愛おしげにテレサの頭を撫でた。
「バカにしてるでしょ?」
つい上目遣いで睨んでしまう。
「してないよ。本気で言ってる。僕は昔からテレサだけが可愛いし、手放す気なんてこれっぽっちもないよ」
手放す気がない?
結婚出来ないのに??
しかしシリウスはそれ以上は何も言う気がないようで、しばらく微笑んでいたが、急に思い出したようにポケットから何かを取り出した。
「はい、誕生日プレゼント」
それはカルータ織の生地で出来た、星型のブローチだった。
「わぁ、可愛い。これってあのブックカバーと同じ色!」
「うん、僕の瞳の色だね」
「ありがとう!大事にするね」
一気に笑みが溢れたテレサに、シリウスも笑顔で頷いた。
その夜、客室でテレサは思案していた。
思ったんだけど、別に夫婦になれなくても一緒にいられる方法はあるんじゃない?
お兄ちゃんは手放す気はないって言ってくれたけど、つまり私が修道院に入ればいいってことでしょ。
神父様とシスターなら一緒にいられるし。
そうだよ!私ここが好きだし、何とかしてシスターになってみせるわ!!
テレサは勝手に決めつけると、シスターになるという野望に向けて、1人作戦を立て始めたのだった。
先走っていることに気付きもせずに・・・
放心状態でうずくまるテレサの耳に、あまり態度のよろしくない、荒んだ声が飛び込んできた。
ん?これってお兄ちゃんの声?
まさかね・・・
しかし、そのまさかだった。
裏庭の隅で丸まっていたテレサが見上げると、そこには神父姿で悪態をつくシリウスが立っていた。
「あー、疲れた疲れた・・・って、テレサ!?なんでそんなところで小さくなっているの?あ、もしかして聞こえちゃってた?」
複雑な表情でテレサがコクリと頷くと、「あー、失敗したー」なんて言いながらも、シリウスはケロッとしている。
「もしかして、お兄ちゃんも猫を被っていたってこと?しかもずっと・・・」
尋ねながら、テレサはいよいよ泣きだしたい気持ちだった。
シリウスとの結婚は不可能だわ、今までずっと猫を被られていたやら、ショックが大きすぎたのである。
「当たり。でもテレサの前では猫を被っていたつもりはないよ。ただテレサの理想で居たかっただけ」
「どういうこと?」
「んー、テレサは王子様みたいな僕が好きなんでしょ?だからずっと好きでいてもらう為に、自然と優等生キャラになっちゃっただけ」
「じゃあさっきのは?お兄ちゃん、みんなに優しいじゃない。私だけじゃないもの」
「あれはテレサ以外のその他大勢用。どうでもいい人には猫を被ってる。え?同じに見えた?自分的には全然違うんだけど・・・」
なんだかよくわからないが、テレサはさっきの女性達とは区別されているらしい。
特別なのは嬉しいが、だからって結婚出来る訳でもなく、テレサは落ち込んだままだった。
「テレサ、なんでそんなに落ち込んでるの?そんなに僕が猫を被っていたのがショックだった?あ、女の子に囲まれてたのを見て焼き餅焼いちゃった?」
心配している風を装いながら、嬉しそうに訊いてくるシリウスが腹立たしい。
どうせ嫉妬してましたよ!
なにさ、お兄ちゃんがずっと期待を持たせたのがいけないんじゃない!!
「お兄ちゃんのバカ!!神父様は結婚出来ないくせに!!べ、べつに本気でお兄ちゃんと結婚したいとか思ってた訳じゃないけど・・・」
尻すぼみになっていくテレサの言葉とは裏腹に、シリウスは嬉しそうに破顔した。
「かーわいいなぁ。テレサは昔からほんと可愛い」
シリウスはテレサの前にしゃがみこむと、愛おしげにテレサの頭を撫でた。
「バカにしてるでしょ?」
つい上目遣いで睨んでしまう。
「してないよ。本気で言ってる。僕は昔からテレサだけが可愛いし、手放す気なんてこれっぽっちもないよ」
手放す気がない?
結婚出来ないのに??
しかしシリウスはそれ以上は何も言う気がないようで、しばらく微笑んでいたが、急に思い出したようにポケットから何かを取り出した。
「はい、誕生日プレゼント」
それはカルータ織の生地で出来た、星型のブローチだった。
「わぁ、可愛い。これってあのブックカバーと同じ色!」
「うん、僕の瞳の色だね」
「ありがとう!大事にするね」
一気に笑みが溢れたテレサに、シリウスも笑顔で頷いた。
その夜、客室でテレサは思案していた。
思ったんだけど、別に夫婦になれなくても一緒にいられる方法はあるんじゃない?
お兄ちゃんは手放す気はないって言ってくれたけど、つまり私が修道院に入ればいいってことでしょ。
神父様とシスターなら一緒にいられるし。
そうだよ!私ここが好きだし、何とかしてシスターになってみせるわ!!
テレサは勝手に決めつけると、シスターになるという野望に向けて、1人作戦を立て始めたのだった。
先走っていることに気付きもせずに・・・
503
あなたにおすすめの小説
急に王妃って言われても…。オジサマが好きなだけだったのに…
satomi
恋愛
オジサマが好きな令嬢、私ミシェル=オートロックスと申します。侯爵家長女です。今回の夜会を逃すと、どこの馬の骨ともわからない男に私の純潔を捧げることに!ならばこの夜会で出会った素敵なオジサマに何としてでも純潔を捧げましょう!…と生まれたのが三つ子。子どもは予定外だったけど、可愛いから良し!
俺の婚約者は悪役令嬢を辞めたかもしれない
ちくわ食べます
恋愛
王子である俺の婚約者は、打算的で、冷徹で、計算高い女だった。彼女は俗に言う悪役令嬢だ。言っておくけど、べつに好きで婚約したわけじゃない。伯爵令嬢だった彼女は、いつの間にか俺の婚約者になっていたのだ。
正直言って、俺は彼女が怖い。彼女と婚約破棄できないか策を巡らせているくらいだ。なのに、突然彼女は豹変した。一体、彼女に何があったのか?
俺はこっそり彼女を観察することにした
悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた
ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。
シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。
そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。
恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。
気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。
【完結】貧乏子爵令嬢は、王子のフェロモンに靡かない。
櫻野くるみ
恋愛
王太子フェルゼンは悩んでいた。
生まれつきのフェロモンと美しい容姿のせいで、みんな失神してしまうのだ。
このままでは結婚相手など見つかるはずもないと落ち込み、なかば諦めかけていたところ、自分のフェロモンが全く効かない令嬢に出会う。
運命の相手だと執着する王子と、社交界に興味の無い、フェロモンに鈍感な貧乏子爵令嬢の恋のお話です。
ゆるい話ですので、軽い気持ちでお読み下さいませ。
【完結】人生2回目の少女は、年上騎士団長から逃げられない
櫻野くるみ
恋愛
伯爵家の長女、エミリアは前世の記憶を持つ転生者だった。
手のかからない赤ちゃんとして可愛がられたが、前世の記憶を活かし類稀なる才能を見せ、まわりを驚かせていた。
大人びた子供だと思われていた5歳の時、18歳の騎士ダニエルと出会う。
成り行きで、父の死を悔やんでいる彼を慰めてみたら、うっかり気に入られてしまったようで?
歳の差13歳、未来の騎士団長候補は執着と溺愛が凄かった!
出世するたびにアプローチを繰り返す一途なダニエルと、年齢差を理由に断り続けながらも離れられないエミリア。
騎士団副団長になり、団長までもう少しのところで訪れる愛の試練。乗り越えたダニエルは、いよいよエミリアと結ばれる?
5歳で出会ってからエミリアが年頃になり、逃げられないまま騎士団長のお嫁さんになるお話。
ハッピーエンドです。
完結しています。
小説家になろう様にも投稿していて、そちらでは少し修正しています。
『壁の花』の地味令嬢、『耳が良すぎる』王子殿下に求婚されています〜《本業》に差し支えるのでご遠慮願えますか?〜
水都 ミナト
恋愛
マリリン・モントワール伯爵令嬢。
実家が運営するモントワール商会は王国随一の大商会で、優秀な兄が二人に、姉が一人いる末っ子令嬢。
地味な外観でパーティには来るものの、いつも壁側で1人静かに佇んでいる。そのため他の令嬢たちからは『地味な壁の花』と小馬鹿にされているのだが、そんな嘲笑をものととせず彼女が壁の花に甘んじているのには理由があった。
「商売において重要なのは『信頼』と『情報』ですから」
※設定はゆるめ。そこまで腹立たしいキャラも出てきませんのでお気軽にお楽しみください。2万字程の作品です。
※カクヨム様、なろう様でも公開しています。
悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。
ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。
小説家になろう様でも投稿しています。
悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる