『悪の幹部ですが、正義のヒーローの愛が重すぎて殉職しそうです』

るみ乃。

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第4章 第三の勢力、襲来

16.未知なる影と、不穏な呼び出し

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『デッド・エンド』本部に、珍しくピリついた空気が流れていた。
 漆黒の会議室。壁一面の巨大モニターを、
 首領クロウが不機嫌そうに睨みつけている。

 映っているのは、組織の兵器工場……だったはずの場所だ。
 今は見る影もなく、設備は破壊され、
 床や壁には不気味な銀色の物体が絡みついている。

「……シャドウよ。これはヒーロー側の仕業ではない」

 低く響くクロウの声に、俺は仮面の下でそっと息を呑んだ。

「我々の情報網にも存在しない、
 未知の軍勢『シルバー・レギオン』だ」

 名前だけ聞けば、やたらと格好いい。
 だが実態は、感情のない機械兵みたいな見た目で、
 しかも生き物のように増殖する厄介極まりない連中らしい。
 ヒーロー側も各地で苦戦中、とのこと。

 もぉ……勘弁してくれ。世界、もうちょっと静かに回ってくれないかな?

「奴らの狙いは、この世界の既存の秩序すべてだ。正義も悪も関係なく、すべてを銀の塵に帰そうとしている」

「……それで、我々は?」

 嫌な予感しかしないまま問い返すと、
 クロウは一拍置いて、はっきり告げた。

「敵の敵は、一時的な味方だ。シャドウ、お前に特命を与える。ヒーロー、ルミエールと接触し、共同戦線を張れ」

 …………は?今、なんて言った?

 一瞬、言葉の意味が理解できなかった。
 いや、理解したくなかった。

「お前の“ハニートラップ”という最大の武器を使え。公式に『休戦協定』を申し入れろ」

 胃が、ぎゅっと雑巾みたいに絞られる。

 よりによって、公認で、任務として、あいつと組めって?
 それ、光希にとっては“公式デート許可証”みたいなもんじゃん……

 頭を抱えかけた、その時だった。

 ――ぶるり。

 俺の私用スマホが震える。

『シャドウさん。銀色の変な連中、暴れてて邪魔ですね』
『僕、今からそっちの組織の裏口まで迎えに行きます』
『一緒に片付けてから、ゆっくり夜景でも見ませんか?』

 ……早い。早すぎる。俺が連絡する前に、
 もう「共闘」という名の「デート」の段取りが完成している。

 あいつ……
 俺は深く溜息をつき、仮面を直し……重い足取りで
 こうして、正義と悪と恋愛感情がごちゃ混ぜになった
 地獄の待ち合わせへ向かった。

 待っているのは、銀色の脅威か。
 それとも、もっと厄介な“太陽”か……
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