『悪の幹部ですが、正義のヒーローの愛が重すぎて殉職しそうです』

るみ乃。

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第4章 第三の勢力、襲来

17.最悪のバディ、結成

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 組織の裏口で待つ光希を見て、俺は言葉を失った……
  ヒーローの正装、後光が差すような満面の笑み。
 そしてその手には、巨大なバラの花束。

「待ちくたびれましたよ、僕のパートナー♪」

 ……何だその演出。これから敵地に乗り込むって時に、
 完全にデートの待ち合わせムードじゃないか。

「……仕事だ、これは仕事だぞ。その花をしまえ」

 光希はお構いなしに両腕で俺の腰を抱き、
 ヒーロー専用の超高速移動メカに相乗りさせる。密着、密着すぎる……!

「これ、公認のデートですよね?」
 耳元で囁かれたその言葉に、身体がビクッと反応する。

「仕事だっつってんだろ! 任務だ、任務!」

 叫ぶ俺を無視して、光希は幸せそうに肩をすり寄せてくる。
 ……押されてる、完全に押されてるぞ俺。

「ねぇシャドウさん、今日は二人きりだし、ちょっとくらい甘えても……?」
「甘えてどうする!任務だって言ってるだろ!」
  
 メカが加速し、風で舞い散るバラの花びら。密着した体温。甘い囁き。
 そして「仕事だ!」という俺の虚しい叫び。
 ここは地獄か、それとも天国なのか。

 移動中、光希は隙あらば指を絡めてきたり、
 甘えるように俺の肩に頭を乗せてきたりする。
  無意識に身体を引こうとするが、
 メカの激しい揺れのせいで、結局は彼の腕の中へ収まってしまう。

「……ちょっと、仕事しよう……頼むから……」
 小声でこぼすと、光希は目を細めてくすくすと喉を鳴らした。

「していますよ。僕の仕事は、
 大切なパートナーを片時も離さず守ることですから」

 ああ、もう……。 この状況、完全に俺が振り回されている。

「……集中しろ、俺。流されるな」

 敵拠点が近づき、本来なら緊張感が高まるところ……。
 必死で「シャドウ」としての冷徹さを保とうとする俺の隣で、
 光希は変わらぬ笑顔で俺の指を握り直す。
 その指先から伝わる執着に近い熱量に、
 知らず知らずのうちに毒気が抜かれていく。

「……まったく、最悪のバディだな、俺たちは……」

 任務とデート、正義と悪、そして理性と情熱。
  甘くて苦いバランスを保ちながら、
 俺は知らぬ間に「逃げ場のない愛」の深淵へと足を踏み入れていた。 
 これが、最悪に面倒くさくて、最高に厄介なバディの始まりだったんだ。
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