22 / 25
第5章 密室の看病
22. 過保護な手当てと、理性の境界線
しおりを挟む
「……ちょっと待て。それ、裂く必要あったか?」
俺の問いに迷いなく……
「あります!!」
ばりっ。
容赦なくシャツが裂け、冷たい空気が脇腹に触れる。
次の瞬間、露わになった傷口に、消毒液が垂らされた。
「――っ!!」
「痛いですよね」
にこにこ。
「でも我慢してください。
瀬戸さんの体は、僕にとって一番大切なものなんですから」
……その言い方が、もう危険なんだが。
消毒液が染み込み、痛みで息が詰まる。
だがなかなか終わらない……。やけに丁寧だ。
必要以上に、時間をかけて。
必要以上に、指先を滑らせて。
「おい……そこまで念入りにやる必要、あるか……?」
「あります」
即答。
「だって、ここ、僕が見逃したら嫌じゃないですか」
「何がだ」
「瀬戸さんの傷です」
さらっと言うな。完全に自分の世界だ。
「はい、少し体勢変えますね」
「待っ……」
言い終わる前に、ぐいっと引き寄せられた。
次の瞬間、俺は光希の膝の上に固定されていた。
「……おい」
「安静にしてください」
「これは安静じゃない」
「動かない、という意味では安静ですし、
それに、ここが一番、固定しやすいので」
え?誰基準だよ。
俺の背中に回された腕は、逃げ道を作らない位置。
膝の温もりが、妙にリアルで……
至近距離。
光希の視線が、外れない。
心配と、満足と、隠しきれない独占欲が混ざった、熱っぽい目。
「……そんなに見んなよ」
「見ます」
即答(二回目)。
「だって、今は僕の患者さんですから」
「それ、さっきから便利に使ってないか」
「便利です」
即答(三回目)。
消毒が終わり、包帯を巻く手つきは驚くほど丁寧で、
触れる指先が、必要以上に優しい。
そのせいで、傷の痛みより、
別のところが落ち着かなくなる。
くそ……
痛みで逆らえない。
体勢的にも逆らえない。
そして何より……心が、妙に落ち着いてしまっている。
かつての教え子。
守るべき側だったはずの存在。
それが今、俺を膝の上に閉じ込めて、
「動くな」と当然みたいに命じている。
「……なあ」
「はい」
「お前、ちょっと過保護すぎない?」
光希は一瞬だけ考える仕草をしてから、
どこか楽しそうに答えた。
「そうですかぁ~?」
そして、少しだけ首を傾げる。
「でも、瀬戸さんが弱ってるの、僕、結構……好きかも」
……それを、笑って言うな。
胸の奥が、じわりと熱くなる。
高揚感が、否定できない。
理性が、きしむ音がする。
「大丈夫です。ちゃんと境界線は守りますから」
そのまま、包帯をきゅっと整える。
「……今は、ですけどね」
「はぁ……」
俺は目を閉じ、深く息を吐いた……
俺の問いに迷いなく……
「あります!!」
ばりっ。
容赦なくシャツが裂け、冷たい空気が脇腹に触れる。
次の瞬間、露わになった傷口に、消毒液が垂らされた。
「――っ!!」
「痛いですよね」
にこにこ。
「でも我慢してください。
瀬戸さんの体は、僕にとって一番大切なものなんですから」
……その言い方が、もう危険なんだが。
消毒液が染み込み、痛みで息が詰まる。
だがなかなか終わらない……。やけに丁寧だ。
必要以上に、時間をかけて。
必要以上に、指先を滑らせて。
「おい……そこまで念入りにやる必要、あるか……?」
「あります」
即答。
「だって、ここ、僕が見逃したら嫌じゃないですか」
「何がだ」
「瀬戸さんの傷です」
さらっと言うな。完全に自分の世界だ。
「はい、少し体勢変えますね」
「待っ……」
言い終わる前に、ぐいっと引き寄せられた。
次の瞬間、俺は光希の膝の上に固定されていた。
「……おい」
「安静にしてください」
「これは安静じゃない」
「動かない、という意味では安静ですし、
それに、ここが一番、固定しやすいので」
え?誰基準だよ。
俺の背中に回された腕は、逃げ道を作らない位置。
膝の温もりが、妙にリアルで……
至近距離。
光希の視線が、外れない。
心配と、満足と、隠しきれない独占欲が混ざった、熱っぽい目。
「……そんなに見んなよ」
「見ます」
即答(二回目)。
「だって、今は僕の患者さんですから」
「それ、さっきから便利に使ってないか」
「便利です」
即答(三回目)。
消毒が終わり、包帯を巻く手つきは驚くほど丁寧で、
触れる指先が、必要以上に優しい。
そのせいで、傷の痛みより、
別のところが落ち着かなくなる。
くそ……
痛みで逆らえない。
体勢的にも逆らえない。
そして何より……心が、妙に落ち着いてしまっている。
かつての教え子。
守るべき側だったはずの存在。
それが今、俺を膝の上に閉じ込めて、
「動くな」と当然みたいに命じている。
「……なあ」
「はい」
「お前、ちょっと過保護すぎない?」
光希は一瞬だけ考える仕草をしてから、
どこか楽しそうに答えた。
「そうですかぁ~?」
そして、少しだけ首を傾げる。
「でも、瀬戸さんが弱ってるの、僕、結構……好きかも」
……それを、笑って言うな。
胸の奥が、じわりと熱くなる。
高揚感が、否定できない。
理性が、きしむ音がする。
「大丈夫です。ちゃんと境界線は守りますから」
そのまま、包帯をきゅっと整える。
「……今は、ですけどね」
「はぁ……」
俺は目を閉じ、深く息を吐いた……
6
あなたにおすすめの小説
ヤリチン伯爵令息は年下わんこに囚われ首輪をつけられる
桃瀬さら
BL
「僕のモノになってください」
首輪を持った少年はレオンに首輪をつけた。
レオンは人に誇れるような人生を送ってはこなかった。だからといって、誰かに狙われるようないわれもない。
ストーカーに悩まされていたレある日、ローブを着た不審な人物に出会う。
逃げるローブの人物を追いかけていると、レオンは気絶させられ誘拐されてしまう。
マルセルと名乗った少年はレオンを閉じ込め、痛めつけるでもなくただ日々を過ごすだけ。
そんな毎日にいつしかレオンは安らぎを覚え、純粋なマルセルに毒されていく。
近づいては離れる猫のようなマルセル×囚われるレオン
魔王様の執着から逃れたいっ!
クズねこ
BL
「孤独をわかってくれるのは君だけなんだ、死ぬまで一緒にいようね」
魔王様に執着されて俺の普通の生活は終わりを迎えた。いつからこの魔王城にいるかわからない。ずっと外に出させてもらってないんだよね
俺がいれば魔王様は安心して楽しく生活が送れる。俺さえ我慢すれば大丈夫なんだ‥‥‥でも、自由になりたい
魔王様に縛られず、また自由な生活がしたい。
他の人と話すだけでその人は罰を与えられ、生活も制限される。そんな生活は苦しい。心が壊れそう
だから、心が壊れてしまう前に逃げ出さなくてはいけないの
でも、最近思うんだよね。魔王様のことあんまり考えてなかったって。
あの頃は、魔王様から逃げ出すことしか考えてなかった。
ずっと、執着されて辛かったのは本当だけど、もう少し魔王様のこと考えられたんじゃないかな?
はじめは、魔王様の愛を受け入れられず苦しんでいたユキ。自由を求めてある人の家にお世話になります。
魔王様と離れて自由を手に入れたユキは魔王様のことを思い返し、もう少し魔王様の気持ちをわかってあげればよかったかな? と言う気持ちが湧いてきます。
次に魔王様に会った時、ユキは魔王様の愛を受け入れるのでしょうか?
それとも受け入れずに他の人のところへ行ってしまうのでしょうか?
三角関係が繰り広げる執着BLストーリーをぜひ、お楽しみください。
誰と一緒になって欲しい など思ってくださりましたら、感想で待ってますっ
『面白い』『好きっ』と、思われましたら、♡やお気に入り登録をしていただけると嬉しいですっ
第一章 魔王様の執着から逃れたいっ 連載中❗️
第二章 自由を求めてお世話になりますっ
第三章 魔王様に見つかりますっ
第四章 ハッピーエンドを目指しますっ
週一更新! 日曜日に更新しますっ!
隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する
知世
BL
大輝は悩んでいた。
完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。
自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは?
自分は聖の邪魔なのでは?
ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。
幼なじみ離れをしよう、と。
一方で、聖もまた、悩んでいた。
彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。
自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。
心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。
大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。
だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。
それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。
小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました)
受けと攻め、交互に視点が変わります。
受けは現在、攻めは過去から現在の話です。
拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。
従者は知らない間に外堀を埋められていた
SEKISUI
BL
新作ゲーム胸にルンルン気分で家に帰る途中事故にあってそのゲームの中転生してしまったOL
転生先は悪役令息の従者でした
でも内容は宣伝で流れたプロモーション程度しか知りません
だから知らんけど精神で人生歩みます
百合豚、男子校に入る。
揺
BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。
母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは――
男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。
この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。
それでも眞辺は決意する。
生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。
立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。
さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。
百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる