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63話
しおりを挟む「なんで、我が連れていく乗り物みたいになってるんだ?」
「いいじゃんいいじゃん、ルーナ早いし!」
アクアはルーナの不満に対して、さらっと流した。
「ルーナ、こっそーりお願いしまーす」
「はいはい」
「しっかりつかまっててね、怒っちゃうかもしれないから」
ルーナが走り出す瞬間、お兄様は僕のことをぎゅっと落ちないように掴んでくれた。
「はい!」
誰にも見られずにアクアとルーナの索敵能力のおかげで、すぐに別荘から抜け出すことが出来た。
「おい、フィールの森が見えてきたぞ」
そこに広がっていたのは森全体が青色に光るという幻想的な光景だった。イルミネーションとはまた違う、隙間なく光る美しい光景。前世の世界では作り出すことのできないような、光り輝く森。
「す、すごい…」
「美しい光景だね。本でしか見たことがなかったから、実際に見られて良かったよ。こんな可愛い弟と見られて嬉しいな」
「僕もー!ウィルと見れてすごく嬉しい!」
僕もみんなと来られてよかった。桜が光るなんて、すごいな。
「ここら辺に着陸するぞ」
「ありがとうルーナ!」
安全にとルーナは地面に着陸すると、車高を下げ、ルーカスが先に降りウィリアムの脇に手を入れ、降ろした。
「上から見る景色とまた違って見えるね。期間限定の綺麗な景色だ」
「このフィールの森は魔力を帯びている。草木には必ず魔力が宿っていて、この森の木のほとんどがルミエラだ。ルミエラは魔力があるところにしか咲かない。魔物も動物もこの花弁を食べて、魔力を蓄えている」
ルーナがルミエラとフィールの森について説明してくれた。
「この木は魔力で光ってるんだ…。魔物とかが花びらを食べたら魔力を得られるの知らなかったよ」
「僕も初めて聞いたよ」
「まぁ、この森は綺麗だが魔物もいるから人間が寄り付かないんだよ。だから、我もここにいる」
ルーナは、人間嫌いだったのかな?僕に付いてきて良かったのかな。
「ねぇ、この花びら人間が食べたらどうなるの?」
「さぁ、試したことがないから分からないな」
例えば、花びらをすりおろしたり、乾燥させたら使用できないかな。魔力がなくなりそうな時に、これを食べたら魔力が回復しそうだけど。魔物と動物はそのまま食べてる訳だし、人間にも工夫したら活用できそう。
「お兄様、ハンカチや包む物とかもってますか?」
ルーカスは、ポケットからハンカチを取り出した。
「はい」
「ありがとうございます。花びらをハンカチに包んで持って帰ってもいいですか?」
「うん、いいよ。何に使うの?」
「魔力回復薬作れないかなって思って」
「そうなんだ、手伝うことあったら言ってね」
──ウィルが言っていることは、何となくわかるけど前例がない。一から創作するのか応用するのか。もし、成功したらお父様が大変だろな。あれ、──
「ありがと__」
「ウィル、静かに」
すると、ルーカスは姿勢を低くしウィリアムの口を手で塞いだ。
え、どうしたのかな急に。
「ウィ……引き……」
聞き覚えのある人の声がする。
お兄様の魔法で気配を消して、ゆっくり声のする方に近づいた。声のする者の背後の草に隠れて、様子を窺った。ルーナもバレないように、体を小さくし、付いてきてくれた。
『成功させねばならない』
この声、お父様だ!隣にいるのは、お母様!
一体なんの話ししてるんだろう。
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