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3話
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エリスは、急に走り出すウィリアムを見て焦りを感じた。
「ウィリアム様っ。そんなに、急に走られては…。あっ!!」
ウィリアムは、エリスに止められていたが聞き入れず案の定、足がもつれ倒れそうになった。
わわ、転んじゃうっ。
僕は転ぶと思い、目をぎゅっと瞑った。
ポスッ あれ、痛くない。
「おっと。」
わぁ、お兄様だ!
「ありがとうございます!お兄様!」
「ウィリアム。急に走り出したら、転んで怪我をしてしまうよ。」
僕が転びそうになった所を、ルーカスが支えてくれた。けど、その口調は少し怒っているようだった。
実は、お兄様を見つけ急に走り出す事は今に始まった事じゃない。
3歳頃、外で遊んでいた僕は馬車から降りてきたお兄様を見つけ、急に走り出し小石に躓いて転んだ。
そして、その衝撃で頭から血を流したことがあった。
怪我の痛みから、ボクは泣き叫びお兄様も涙を流しながら、ボクを抱き抱え医務室へ運んだんだ。
それはもう、大騒ぎだったんだよね。
僕が、ボールを持ったまま走ったのが原因だったけど怪我をして以降、お兄様は急に走り出すことは危ないと、何度も僕に注意をしている。
その時から、ルーカスはウィリアムに対して"自分が守らなければいけない存在"だと認識し、少々ウィリアムに過保護になった。
「お兄様に、早く会いたくて走っちゃいました。ごめんなさい。」
俯きながらも僕は、お兄様が何に対して怒っているのか把握しているため、直ぐに謝った。
ルーカスは、可愛いウィリアムを抱き上げた。
「うん、いいよ。次からは気を付けてね。」
「はーい!」
(この返事、また同じことを繰り返すね。まぁ、僕が注視していれば済む話だからいっか。ウィルが名前を呼んで、会いに来てくれるのはなんだか嬉しいしね。)
ルーカスは声に出さずとも心の中で思っていた。
なんだかんだ、お兄様はいつも許してくれるんだよね。
ウィリアムはルーカスの想いも知らずに、甘えた考えをしていた。
「まあ、二人とも。もう来ていたのね。」
「すまない、遅れてしまったかな。」
階段から、お父様とお母様が中慎ましく腕を組みながら降りてきた。
「いえ、僕達も今来たところです。」
お兄様は気遣い、親切に応えた。
お父様は、視線を僕に向けた。
「そうか。…それより、また急に走り出したのかなぁウィリアムくんは。」
お兄様に抱っこされている僕を見て、お父様は勘づいた。
「えへへ。」
僕は、笑って誤魔化そうとした。
「また、泣いても知りませんからね。」
お母様も、微笑ましい様子を見て冗談混じりに僕に言っている。
「それでは、行こうか。後のことはクリス、頼んだよ。」
お父様はクリスに家のことを任せた。
「かしこまりました。」
クリスは、候爵に忠誠を誓った首席補佐官兼騎士で、彼は文武両道であり侯爵のよき相談相手。当然ながら、二人の間には絶対的な信頼関係があり、侯爵が不在の時はクリスが全てのことを行っている。
クリスが返事をすると、家族4人は馬車に乗り込んだ。
『お気をつけて、行ってらっしゃいませ。』
外に出ると使用人達が道を作るように横並びになっていた。ウィリアム達が歩き出したのを見ると、使用人一同頭を下げ無事を祈った。
「ありがとう、行ってくるね。」
ウィリアムは、窓を開けて手を振った。馬車が出発する時、ウィリアムはまだ手を振り続けているためルーカスはウィリアムを膝の上に乗せた。
「馬車が走っているときは、体を窓から乗り出してはいけません。」
ルーカスはウィリアムの身の心配をした。
「そうよ、危ないわ。」
侯爵夫人もルーカスに賛同した。侯爵も同じく二人の意見に賛同のようで、頷いている。
「はーい。」
ウィリアムは、一応返事をしていたが今日は楽しみな事が多いため、聞き入れている様子はなかった。
「お父様、ここからの帝都までの距離ってどのくらいなのですか。」
「そうだな、3時間くらいだ。」
ギルバートは、ウィリアムの質問に応えた。
「結構長いんですね。」
そっか、3時間は結構長いね。でも、皆と出かけられるのはすっごく嬉しい。いつもは、お仕事とか勉強があるから皆が揃うことは中々なかったから。今日のことを考えると、昨日は楽しみすぎて眠れなかった。
「じゃあウィル、着くまでの間僕としりとりでもする?」
ルーカスは、長い道のりをウィリアムが楽しめるようにしりとりをする提案をした。
「ふわぁー!したいです!」
「じゃあ僕からいきます!しりとりの"り"からで、う~んと、り、り、あっ!"リス"!」
「"す"だね。"スイーツ"」
『釣り、りんご、ゴルフ……。』
二人でしりとりをしていると、あっという間に神殿に着いた。顔を上げ、辺りを見回した。
「ふわぁわー!ここが神殿、とっても大きいですね!」
「ふふ、そうだね。」
建物は大きく、屋根付近には大きな十字架が掲げられている。道には、噴水があり貴族が頻繁に訪れるためか、豪華な場所であった。
『お待ちしておりました。』
馬車から降りると直ぐに、中から人が出てきた。
「ウィリアム様っ。そんなに、急に走られては…。あっ!!」
ウィリアムは、エリスに止められていたが聞き入れず案の定、足がもつれ倒れそうになった。
わわ、転んじゃうっ。
僕は転ぶと思い、目をぎゅっと瞑った。
ポスッ あれ、痛くない。
「おっと。」
わぁ、お兄様だ!
「ありがとうございます!お兄様!」
「ウィリアム。急に走り出したら、転んで怪我をしてしまうよ。」
僕が転びそうになった所を、ルーカスが支えてくれた。けど、その口調は少し怒っているようだった。
実は、お兄様を見つけ急に走り出す事は今に始まった事じゃない。
3歳頃、外で遊んでいた僕は馬車から降りてきたお兄様を見つけ、急に走り出し小石に躓いて転んだ。
そして、その衝撃で頭から血を流したことがあった。
怪我の痛みから、ボクは泣き叫びお兄様も涙を流しながら、ボクを抱き抱え医務室へ運んだんだ。
それはもう、大騒ぎだったんだよね。
僕が、ボールを持ったまま走ったのが原因だったけど怪我をして以降、お兄様は急に走り出すことは危ないと、何度も僕に注意をしている。
その時から、ルーカスはウィリアムに対して"自分が守らなければいけない存在"だと認識し、少々ウィリアムに過保護になった。
「お兄様に、早く会いたくて走っちゃいました。ごめんなさい。」
俯きながらも僕は、お兄様が何に対して怒っているのか把握しているため、直ぐに謝った。
ルーカスは、可愛いウィリアムを抱き上げた。
「うん、いいよ。次からは気を付けてね。」
「はーい!」
(この返事、また同じことを繰り返すね。まぁ、僕が注視していれば済む話だからいっか。ウィルが名前を呼んで、会いに来てくれるのはなんだか嬉しいしね。)
ルーカスは声に出さずとも心の中で思っていた。
なんだかんだ、お兄様はいつも許してくれるんだよね。
ウィリアムはルーカスの想いも知らずに、甘えた考えをしていた。
「まあ、二人とも。もう来ていたのね。」
「すまない、遅れてしまったかな。」
階段から、お父様とお母様が中慎ましく腕を組みながら降りてきた。
「いえ、僕達も今来たところです。」
お兄様は気遣い、親切に応えた。
お父様は、視線を僕に向けた。
「そうか。…それより、また急に走り出したのかなぁウィリアムくんは。」
お兄様に抱っこされている僕を見て、お父様は勘づいた。
「えへへ。」
僕は、笑って誤魔化そうとした。
「また、泣いても知りませんからね。」
お母様も、微笑ましい様子を見て冗談混じりに僕に言っている。
「それでは、行こうか。後のことはクリス、頼んだよ。」
お父様はクリスに家のことを任せた。
「かしこまりました。」
クリスは、候爵に忠誠を誓った首席補佐官兼騎士で、彼は文武両道であり侯爵のよき相談相手。当然ながら、二人の間には絶対的な信頼関係があり、侯爵が不在の時はクリスが全てのことを行っている。
クリスが返事をすると、家族4人は馬車に乗り込んだ。
『お気をつけて、行ってらっしゃいませ。』
外に出ると使用人達が道を作るように横並びになっていた。ウィリアム達が歩き出したのを見ると、使用人一同頭を下げ無事を祈った。
「ありがとう、行ってくるね。」
ウィリアムは、窓を開けて手を振った。馬車が出発する時、ウィリアムはまだ手を振り続けているためルーカスはウィリアムを膝の上に乗せた。
「馬車が走っているときは、体を窓から乗り出してはいけません。」
ルーカスはウィリアムの身の心配をした。
「そうよ、危ないわ。」
侯爵夫人もルーカスに賛同した。侯爵も同じく二人の意見に賛同のようで、頷いている。
「はーい。」
ウィリアムは、一応返事をしていたが今日は楽しみな事が多いため、聞き入れている様子はなかった。
「お父様、ここからの帝都までの距離ってどのくらいなのですか。」
「そうだな、3時間くらいだ。」
ギルバートは、ウィリアムの質問に応えた。
「結構長いんですね。」
そっか、3時間は結構長いね。でも、皆と出かけられるのはすっごく嬉しい。いつもは、お仕事とか勉強があるから皆が揃うことは中々なかったから。今日のことを考えると、昨日は楽しみすぎて眠れなかった。
「じゃあウィル、着くまでの間僕としりとりでもする?」
ルーカスは、長い道のりをウィリアムが楽しめるようにしりとりをする提案をした。
「ふわぁー!したいです!」
「じゃあ僕からいきます!しりとりの"り"からで、う~んと、り、り、あっ!"リス"!」
「"す"だね。"スイーツ"」
『釣り、りんご、ゴルフ……。』
二人でしりとりをしていると、あっという間に神殿に着いた。顔を上げ、辺りを見回した。
「ふわぁわー!ここが神殿、とっても大きいですね!」
「ふふ、そうだね。」
建物は大きく、屋根付近には大きな十字架が掲げられている。道には、噴水があり貴族が頻繁に訪れるためか、豪華な場所であった。
『お待ちしておりました。』
馬車から降りると直ぐに、中から人が出てきた。
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