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悪魔の誕生日パーティ
しおりを挟むそれから1週間後──。
3月22日。今日は私の30歳の誕生日だ。
ちょうど土曜日で仕事も休み。
「隼人、本当に有給とったの?」
「当たり前じゃん」
「そこまでしなくてもいいのに」
「大事な美羽の30の誕生日なんだから当然だよ。それに、美羽だって一緒に過ごす相手もいなさそうだったし……」
「そ、それは……」
30までに彼氏を作る!なんて言っておいて、けっきょくいい人も出来ず、今日になってしまった。
今年も毎年同じように隼人と過ごす日になるのか。
まぁ……一人で過ごすことにならなそうで良かった。
「俺が準備するからね」
「あのさ、隼人。念のため聞くけど本当に隼人も付き合ってる人いないの?私に気を遣ってるとかじゃない?」
今までずっと誕生日を隼人と過ごしてきた。
毎年のことだから気を遣って言い出せなくて、祝わないとって思ってるとかはないよね?
「気なんか使ってないよ。俺だってけっきょく一緒に過ごす彼女もいないわけだし……」
本当かなぁ。
「もう準備もしてるし、今年も美羽のお祝いさせてよ」
「それなら、信じるけど……」
隼人は嬉しそうに笑った。
「じゃあ今年も家でふたりきりで過ごそう。美羽は午前中、外でゆっくりしてな。俺が全部準備しておくから」
「……今年もあやかってもいい?」
「もちろん」
隼人は昨日から、私に作るごちそうをたくさん買って冷蔵庫に入れていた。
仕事帰りにたんまりと買い物をしてきた時は驚いたけど……隼人の料理は楽しみだ。
最初はオシャレなお店でコース料理でも食べながら祝ってくれたんだけど、だんだんたくさん飲むなら家が楽だよね!ということになり、隼人がごちそうを作ってくれるようになった。
彼の作る料理は本当になんでも美味しいから、家でゆっくりしながら美味しい料理に美味しいお酒をだらだら飲むのが楽しいんだ。
私は出掛ける準備をすると、隼人に送り出されながら外へ向かった。
とは言っても何をしよう。
自分にプレゼント、とかで何か買ってもいいんだけど……今は別に欲しいものはないし。
私は一人ショッピングモールをプラプラしながら歩いていた。
一通りショッピングをすると、今日隼人と夜に一緒に食べられそうなものとお酒を買って家に帰ることにした。
ちょっと帰ってくるの、早かったかな。
まだ帰ってきていいって言われてないけど……家で漫画でも読んでればちょうどいい時間になるだろう。
私は、隼人に断ってから家の中に入った。
「まだ見ちゃダメだよ」なんていいながらも、もうすでにいい匂いがしていて……。
早く食べたいな。
私はワクワクしながら2階の部屋に向かった。
2階には私と隼人の部屋が分かれてある。
自分の部屋に入り、着替えをして読もうと思っていた漫画を探す。
えっと漫画は……。
あれ、そういえばまだ読まないからって先に隼人に貸しちゃったんだっけ?
私は下にいる隼人に声をかけた。
「隼人、漫画取りに部屋に入るね!」
声をかけたけれど、返事は聞こえない。
集中してるのかな……。
邪魔するのもあれだし……一瞬だけだから。
私はそっと隼人の部屋の扉をあけた。
部屋の中は、隼人らしくキレイに整頓されている。
必要最低限のものは置いておらず、自分のテーブルにパソコン。そしてベッドが置いてあるだけの部屋になっていた。
そういえば、隼人の部屋って入らないでって言われていて1度も入ったことがなかったな……。
こんなにキレイに整えてるのに、やっぱり部屋を見られるのは恥ずかしいのかな?
私は本棚を探しながら、そっと隼人に貸した漫画を手に取る。
良かった、あった!
そして部屋を出ようとした時。
──ボト。
何かが落ちる音がした。
……ん?
見てみると、机にあったマウスが床に落ちている。
私は、隼人の机に向かいマウスを拾った。
パソコンの電源つけっぱなしだ……。
隼人にしてはうっかりだな。
なんて思っていると……。
あれ……。
そこには見覚えのあるアイコンが映っていた。
これって私のメッセージのアイコンだよね。
どうしてそれが隼人のパソコンに映っているんだろう。
そう思いながら、中身をみる。
「えっ」
記憶にあるやりとり。
「これ……!」
パソコンに写ってる画面は私と卓也のトーク履歴であった。
なに、これ……っ。
私しか見られないはずの、トークがどうして隼人のパソコンに映し出されているの!?
心臓がドクン、ドクンと強く音を立てる。
私は震える手で、マウスを触った。
トークの画面を操作する。
「……っ!」
すると、さらに私のスマホに入っている画像がパソコンに映し出された。
「なに、これ……」
私のスマホの中身が全部見られるようになっている。
なんで?
どうして?
これじゃあまるでハッキングされているみたいじゃない。
ドクン、ドクンと音を立てる。
『アイツは周りの人間全員を不幸にするよ』
『俺、帰る。このことは隼人に言うなよ』
これ以上踏み込んではいけない。
警告するかのように頭の中で汽笛が鳴っている。
私はごくりと息をのみ、パソコンを操作した。
するとそこには、気になるファイル名のものがあった。
【美羽と関わる男の抹消リスト】
私はごくりと息をのんでそのファイルをクリックする。
すると……。
そこには目を疑うような記録が残っていた。
【高杉健司。
29歳広告代理店。
2023年12月22日に美羽の親友森山結衣の紹介により、美羽と出会う。
2024年1月10日に美羽と食事の約束を取り付けたため、本人の携帯番号に電話をかけ美羽に近づかないようにと脅す。食事はキャンセル。待ち合わせにも来ず、もう連絡もしていないようなので、一旦様子見】
電話をかけ、美羽に近づかないように脅すって……。
手が震える。
急に体が冷えてきて、でもそれなのに額からは汗が流れる。
『約束の日の朝に美羽の彼氏を名乗る人から電話があったみたいで、美羽にもう会うなって言われたんだって』
健司さんが食事会に来なかったのは、隼人が手をまわしたから?
これだけじゃない。
他にもズラリと名前がある。
【森山結衣。
30歳。美羽とは保育の研修で出会う。美羽に一度男を紹介。帰宅後を狙って美羽に男を紹介しないように伝える。次も紹介するようなら交友関係を壊す】
『私もこの間……前通りすがりの人に耳元で美羽に男を紹介するなって言われたの』
心当たりがあるものばかり。
どうしてこれが隼人のパソコンに……。
ずらりとあるリストにあるのは全員、わたしが関わったことのある人たちであった。
当然、そこには卓也の名前も三好くんの名前もあって、合コンで連絡先を聞いて少しだけやり取りしていただけの男性もいた。
まるで私のすべてを見ていたみたいな行動に鳥肌が立つ。
「はあっ……はあ」
呼吸が乱れる。
気持ちが悪い。
ずっといい感じになりそうな男性が私の前からぱっと消えていった。
それだけじゃない。
ずっと続くんだろうなと思っていた交友関係も消え、昔からずっと一緒にいる人は隼人の一人だけ。
もしそれが隼人が全部手をまわしてたとしたら……。
「隼人……普通じゃない」
なのに普通の顔して笑って、私と生活してた。
私が見ていた隼人は全部作り物だったなんて……。
「怖すぎるよ、隼人……」
彼はおかしい。
「はあっ……っ、はあ」
呼吸が乱れる。
ぐらりと大きく身体が傾いた時。
「美羽?何してるの?」
──ゾクッ。
真後ろで低く声が響きわたった。
「はや、と……」
少し開いたドアの前に隼人が立っていた。
み、みられた……。
やばい、逃げないと。
隼人は笑顔を消すことなく、こっちまでやってくる。
「ダメじゃないか。勝手に人の部屋に入ったら」
「ご、ごめんなさい……その、隼人!」
「さあ、美羽。準備ができたよ。早く誕生日パーティをしよう」
なんで?
どうしてそんなに普通でいられるの?
「美羽が好きなラザニアだって作ってみたんだ」
絶対に私がまたことを知っているはずなのに、隼人は何も知らないみたいに話を進める。
「隼人、話が……」
「そんなん、後からでいいよ。まずはお祝いが先だ」
そう言って隼人は私の手を掴んだ。
下に降りてリビングに向かう。
違う、そうじゃない。
こんな気持ちでお祝いなんて出来るわけない。
聞きたいことはたくさんある。
私を監視していたのか?
ウソをついていた理由。
どうしてこんなことをしてきたのか。
とても1日で話せることじゃないのかもしれない。
でも今すぐに話さないといけない。
「あのね、隼人……」
しかし。
「さぁはじめよう。今日は大事な美羽の30歳の誕生日だよ」
「ま、待ってよ話が……」
隼人は私の言葉を無視してキッチンに向かう。
すると、大きなホールケーキを冷蔵庫から取り出した。
いつもよりひと際大きいロコンドのケーキ。
そこには【美羽 誕生日おめでとう】と書かれている。
私がロコンドのケーキが大好きだから、30歳の誕生日は特別一番大きなホールケーキにしてくれるって言っていた。
でもこんなに大きなもの、2人で食べ切れるわけがない。
本当だったら嬉しいはずなのに、今はその大きささえも怖く感じてしまう。
「ハッピーバースディトゥーユー」
隼人が歌いながらこっちにやってくる。
「や、やめて!」
離れなきゃ。
「は、はやと……!」
このままじゃダメだ。
「ハッピーバースディディーア美羽~ハッピーバースディトゥーユー」
隼人が歌い終えると、低い声で尋ねた。
「ねぇ、美羽。どうしてこっちに来てくれないの?」
ドクン。
心臓が嫌な音を立てる。
「今日は美羽の30歳の誕生日。俺、この日をずっと楽しみにしてたんだよ」
隼人はひとりで話し出す。
ケーキを手に持ったまま、私との距離を一歩、また一歩と近づけながら。
「何があっても美羽と過ごすって決めてた。だってさ、俺たち約束したもんね」
隼人……?
「30歳になってもお互いに相手がいなかったら結婚しようって」
「えっ」
「俺たち二人とも30歳になったね。ちゃんと婚姻届も貰って来たんだよ。サインもしてある。あとは美羽が書いてくれれば俺たちは夫婦だ」
「隼人、何言ってるの」
手が小さく震えた。
こんなに隼人のことを怖いと思ったのは今まで一度もなかった。
何があっても、どんな時も助けてくれるヒーローみたいな存在だったのに、その隼人がすごく怖い。
「ああ、そうか。指輪だよね?指輪がないと不安だよね?大丈夫、それももう用意してあるんだ」
隼人はそう言うと、机に置いてあった小さな箱を手に取り、私の前でそれを見せた。
「なに、してるの……」
そこにはしっかりと二つ分の指輪が入っていた。
「刻印も入れておいたんだ。今日の日付も入ってる」
指輪の裏側には刻印。
そこには私の名前と隼人の名前が筆記体の英語で刻まれていた。
「こんなこと、いつから……」
「美羽が30までにお互いに相手がいなかったら結婚しようって言ってくれた時だよ」
「そんなこと、いつ言った?」
遡っても思い出せない。
「忘れちゃったの?ちょうど7年前の美羽の誕生日だよ。お互いに相手がいなくて寂しいねって話をしててさ、美羽が30になってもお互いに相手がいなかったら結婚しようって言ってくれたじゃないか。俺はその日から、ずっと30になったら美羽と結婚するって決めていたんだ」
分からない。
確かにお酒を飲んでいたら、そんな冗談を口走ることはあるかもしれない。
でもそれは、あくまで冗談で言った話で……。
お酒を飲んで気軽に話したことを本気で捉えるなんて……。
「さぁ、美羽。ここにサインをしてよ。俺たち結婚しよう」
私は必死に首を振る。
「どうして?約束したのに。そのために俺は30まで待ってた。全部美羽と一緒になるために」
隼人の考えが分からな過ぎて、怖い。
どうして、いつから
そうなってしまったんだろう。
「ねぇ隼人……全部隼人が手をまわしたの?私に相手が出来ないように」
違うと言って、勘違いだと言ってほしい。
隼人はしばらく沈黙すると、私に告げた。
「そうだよ。俺が全部手をまわした」
「……っ!」
私は言葉にならなかった。
「それだけじゃないさ。ずっと美羽の側にいるようにした。中学も高校も、大学も、俺が美羽を見ていられるように。一緒に暮らすようになったのだって偶然じゃない。全部俺が計算して仕組んだことだった」
大きな岩を頭に落とされたようにショックだった。
普通に生きていると思っていたら、それは全部隼人が仕組んだ道を歩かされていたなんて。
「どうしてそんなこと……」
「そんなの決まってるじゃん。美羽のことが好きだからだよ」
そんなの知らない。
聞いたことがない。
「ずっと大変だったよ。常に美羽の側にいて男を払い続けた。美羽に新しい相手が出来ないように」
背筋がゾクっと震える。
私と付き合いたいがために、周りの男の人をみんな遠ざけてきた?
それだけじゃない。
パイロットになりたい隼人がうちの大学を受験するなんておかしいと思ってた。
それは全部、私の側にいるため。
「そ、そんなのおかしいよ。理解できない」
私がそう言い放っても隼人はピンってきていないようだった。
「何もおかしくないよ。ただ俺は美羽を一途に思ってきただけだ」
じゃあ隼人が今までしてきたことは、全て私への愛がゆえってこと。
こわい。おかしい。
こんなの限度が超えてるよ。
「美羽、早くお祝いをしようよ。美味しい料理作ったよ。全部美羽の大好きなものだ。きっと喜ぶよ」
私は急いでリビングに向かう。
すると、そこにはたくさんの料理と、大量のプレゼント。
それから私と隼人の写真が貼られていた。
「今日は美羽が俺のものになる特別な日だからさ」
隼人はケーキを机におくと、結婚指輪の箱をとった。
パカっと開かれた状態で、丁寧に膝まづき指輪を差し出す。
「美羽、僕と結婚してください」
そして隼人はそう告げた。
何が起きてるの?
今までの優しかった隼人はどこにいったの?
「美羽、受け取って」
「受け取れるわけ、ない……!こんなのおかしい!隼人変だよ!普通じゃない!」
「変って……ただ美羽が好きなだけなのに。どうしてそんなこと言うの?」
「異常だよ……好きだからって、一緒に暮らせるようにしたり、側にいる男性や、交友関係壊したりするのは……」
「何もおかしくないよ。冷静に考えてほしい。みな欲しいものは手に入れるために必死に努力するものだ」
「だからって……」
努力の矛先がおかしすぎる。
「ねぇ、美羽。受け取ってよ。俺と結婚しよう」
ずいっと差し出された指輪にゾッとしてしまう。
「イヤ……!」
私は目の前の結婚指輪を振り払った。
「あっ……」
その反動で結婚指輪は床に落ち、転がってしまう。
その姿を隼人は茫然と立ち尽くしたまま見つめていた。
「あ、あの……」
「美羽が言ったのに……俺と結婚するって……だから準備してきたのに」
ひときわ低い声を出す隼人。
「隼人……」
「逃がさないよ、美羽」
ぞくり。
逃げないと。
ここにいたら危険だ。
「俺の手から逃げるなんて、絶対に出来ない」
「や、やめて……!」
私は隼人に背中を向けて走り出した。
早く外に出ないと……。
リビングの扉を開けて、まっすぐに伸びた廊下を走っていく。
「きゃっ!」
途中、タイツが床で滑り、その場所に転んでしまった。
「美羽、逃げないでよ」
ゆっくりと歩いて追いかけてくる隼人。
「お腹空いただろう?返事はご飯を食べてからでもいいよ」
「こ、来ないで……っ!」
隼人がゆっくりと私の目の前にやってきて、私を見下ろす。
こわい、こわい、こわい。
私は必死に立ち上がり、玄関まで向かった。
走って手を伸ばす。
このドアをあければ、外に逃げらえる。
逃げたい。
逃れたい。
必死にドアまで手を伸ばし、鍵をあける。
そしてドアを押した瞬間──。
──ガシャンッ!
「えっ」
ドアは最後まで開かなかった。
「チェーン……」
どうして、いつかけたの?
私は絶望に染まる。
「逃げられないって言ったじゃないか」
そして、振り返ればそこに隼人がいた。
「……っ」
「さぁ、こっちにおいで」
隼人が私に手を伸ばしてくる。
もう逃げられない。
「いやっ……!」
私は恐怖から隼人の手を振り払ってしまった。
「……っ、ぅ」
恐る恐る目をあけてみると、隼人の頬に私の爪があたったのか切れて血が出てしまっていた。
「あ、ごめ……」
隼人はその血が付いた頬を無表情のままぐいっとぬぐった。
何をされるか、正直怖くて仕方なかった。
立っている足はガタガタ震え、声も震えている。
すると隼人は小さな声で言った。
「美羽、俺が怖い?」
隼人は悲しげな表情をしている。
正直こわい。
でもなんて言ったらいいのか分からなくて、私は黙り込んでしまった。
「怖いよな……ごめん」
隼人はそうボソっとつぶやいた。
どうして隼人がそんな顔するの。
「俺、浮かれてた。美羽のこと考えず怖がらせて最悪だよな」
気づけば隼人はいつもの隼人に戻っていた。
獲物を捕らえるような視線もなく、優しい眼差しでこっちを見つめている。
「今日はもう、やめようか。誕生日なんてそんな雰囲気じゃないよな」
そう言うと、隼人は背中を向けてリビングに戻っていく。
今なら逃げられる。
だけど、隼人の様子が気になってしまう。
私は、そっとリビングに戻った。
床に落ちた指輪を拾い箱の中にしまう隼人。
そしてケーキも冷蔵庫にしまいにいく。
壁につけてくれた飾りつけも外して、料理はすべて下げている。
テーブルに並ぶ料理はすべて私が食べたいと言っていたものだった。
大好きなものを、手間だってかかるのにこんなに作ってくれたのに……。
急に申し訳ない気持ちに襲われる。
「隼人……」
「いいんだ。俺がいたら安心できないだろう?俺……今日は出ていくよ。ホテルに泊まるから……」
「でも、ここは隼人の家だから……」
「いいから。夜に女の子が出歩くと危ないから。……怖がらせてごめんな」
隼人はそう言って私の頭を優しくポンポンっと叩いた。
「これ、嫌じゃ無かったら食べてもいいから」
隼人は言った通り、目の前の料理にラップをかけて冷蔵庫に入れると、上着を着て家から出ていってしまった。
どうしよう……。
まさかこんな誕生日になるなんて思いもしなかった。
なんでも分かり合える幼馴染で、ずっと仲のいい友達の距離で過ごしてきたはずだったのに。
いつから、その関係が変わってしまっていたのだろう。
私は悲しくなった。
隼人が普通に告白してくれていたら、私は答えを出すだけで良かった。
今までの人生に介入して、私が隼人と結婚する未来を作るために生きてきたなんて言われたら、重すぎるよ……。
その日、私は食欲も湧かずお風呂に入るとすぐに眠ってしまった。
30歳の誕生日はベッドの中、ひとりで迎えることになった。
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