ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

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分かってくれない隼人

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翌日。
朝起きると隼人はいなかった。

今日は早番で早朝家を出て行ったらしい。

私を起こさないようにそっと家を出てくれたんだろう。

今までは一人で寝ることになれていたのに、起きた時に隼人がいないと寂しく感じちゃう……。

こうやって隼人がじわじわと私を変えていっているんだよね。

まんまと彼の作戦にハマりここまで来てしまった私。

でも、今ではそれでも良かったと思ってる。

私は支度をして、会社へ向かった。

園には美奈子ちゃんがいて挨拶をしてくる。

「おはようございます」
「おはよう」

「そういえば、先輩……顔色よくなりました?」

美奈子ちゃんに尋ねられ、私は正直に答えた。

「実は前一緒に暮らしてた彼と付き合うことになって……」

すると美奈子ちゃんは顔を明るくさせた。

「良かったですね!先輩も絶対彼といた方がいいですよ」
「ま、まぁ……」

「じゃあもうラブラブ生活かぁ……また詳しく聞かせてください。歓迎会の時にでも」

「歓迎会?」

「今週の金曜日、桜田くんの歓迎会やるんですよ。みんな揃って飲みにいくのは久しぶりだぁ~」

美奈子ちゃんはとても楽しそうにしていた。
そっか、今週だったか……。

隼人にも帰りが遅くなるって伝えておかないと。

そんな話をしていると、時間になったので私はクラスに向かった。

今日も桜田くんを教えながら、園児を見る。

桜田くんは容量がいいのか、教えるとすぐに覚えてくれた。

そして夜。
帰宅する前に少しだけ桜田くんと話をしていた。

「へぇ、じゃあ桜田くんは引っ越しでこっちに来たんだ」
「そうなんです」

彼は実家暮らしで大阪で保育士をしていたらしい。

なんでも足の悪いお母さんがいるため、桜田くんも介護をしながら一緒に暮らしているらしい。

お父さんの会社の転勤があり、それに合わせて桜田くんも働く場所を変えることにしたそうだ。

「優しいんだね」
「いえ、自分はけっこう母親に迷惑かけたんで」

「そうなんだ」

話しやすいし、素直だし……男手も足りなかったから、桜田くんが入ってくれて良かった。

「じゃあ帰ろうか」

そこまで言った時、桜田くんは言った。

「あの……」
「ん?」

「昨日門の前で待っていたのって先輩の彼氏ですか?」
「あ、ああ……そうなの」

「そっかぁ彼氏さんいるんですね」

桜田くんは「残念だな~」なんていいながら口を尖らせた。

口が上手いな、桜田くんは。
私みたいな年上を持ち上げようとしているんだろう。

そんなことを考えていると、私のスマホに隼人から連絡が入った。

【門の前にいるよ】

帰らないと。

「じゃあ桜田くん、歓迎会楽しみにしてるね。うちの会社飲む人多いから覚悟しててね~」

「おっとそれは、気を付けないと」

桜田くんは笑顔で私を見送った。

隼人と合流すると、彼は私のマフラーを持ってきてくれた。

「あ、これ……」
「今日夜冷え込むって言ってたから」

「ありがとう……」

マフラー持ってくれば良かったって思ってたんだよね。
やっぱり隼人って気が利くなぁ。

「そういえば、隼人って金曜日はなに番?」

「あ~金曜日は通しだね。たぶん帰るのは、次の日の朝になるんじゃないかな」

だったら、まぁちょうどいいか……。

「私、その日桜田くんの歓迎会やることになってるんだ。帰り遅いから良かった」

そこまで言うと、隼人は急に立ち止まった。

「歓迎会ってお酒飲むの?」
「そ、そりゃ……」
「あの男がいる前で?」
「だ、だって桜田くんがメインの飲み会だから……」

隼人なんか怒ってる?

「ダメ。行かないで」

隼人はそんなことを言い放った。

「む、無理だよ……会社の飲み会なんだし、私だけ行かないっていうのは……」

「風邪引いて休むとかさ。なんか理由付けてその日は休みにしよう」

真剣にそんなことを提案してくる隼人に私はため息をついた。

「隼人……」

私が困った顔で彼の名前を呼ぶと、急にはっと我に返ったように笑顔を作る。

「ごめん、無理強いしすぎたね。美羽の立場だってあるのに……ごめんね」

「ううん、分かってくれたらいいの」

良かった……今日はあっさり分かってくれて……。
そんなことを思っていた時。

隼人は急にスマホをいじりだした。

「隼人……?」

私が戸惑っていると、数分経って彼は言う。

「よし、これで金曜日は午前中で終わるようにしてもらったから大丈夫」
「えっ、だってさっき通しだって……」

「美羽が男と飲み会行くのに、仕事なんてしてられないだろう?飲み会終わったら車で迎えに行くよ。場所教えてね」

こんなこと簡単にやれることじゃないよね……?

私が唖然としていると、隼人は言う。

「ごめんね、心配なんだ。美羽が男に連れ去られたりしないか」

「そんなことないのに……」
「分からないだろ」

けっきょく溝は埋まらないまま。
ただ、これでも隼人は許容してくれてるんだよね。

私も隼人に心配かけないように、早めに帰ろう。

こうして金曜日がやってきた。

この日はかなりバタバタしていたため、あっという間に時間が経ってしまった。

「先輩、日誌書くの終わりました?移動しましょう」
「うん!今行く」

なんとかギリギリで仕事を終わらせて、みんなで一緒に飲み屋に移動する。

今日は美奈子ちゃんが最寄り駅のイタリアン料理屋を予約してくれた。

みんなでの飲み会は久しぶりだ。
ここ最近新しい人が入って来なかったこともあって、飲み会が無くなったりもしてたから……。

「先輩の隣、失礼します」

桜田くんはそう言って私の隣に座ってきた。

「あーさっそく、葉山さんに懐いてるな~葉山さんは彼氏いるんだから狙うの禁止~!」

美奈子ちゃんが声をあげる。

「いやいや一応一番接点があるってだけだから……」

美奈子ちゃん、まだ飲んでないのに飲んでるみたいなテンションだな……。

それからみんなで各々食べたいメニューや飲み物を頼みながら歓迎会は進んだ。

2時間も経つとみんなすっかり出来上がってしまって……。

真っ赤な顔をして、大きな声で盛り上がっていた。

桜田くんがトイレに立った時、美奈子ちゃんが聞いてくる。

「最近どうなんですか?束縛激しい彼とは?やっぱり夜とか激しいんですか?」

ブっと思わず飲み物を噴き出してしまうような内容。

「こ、こんなところでは……」

「何言ってるんですか?教えてくださいよ~」

みんなかなり出来上がってることもあってか、興味深々んだ。
まぁ、今いるメンバーはみんな年近いメンバーで女性だしいいか……。

「その毎日は……してる」
「ま、毎日!?!」

するとみんなは目を丸めた。

「えっ、だって毎日するものじゃないの?」
「ちょっ、そんなこと誰が教えたんですか!」

みんなの反応を見て、ウソだったのだと気づき私は顔が真っ赤になる。

そういうものだって教えられてたけど、違かったんだ……。

「うわぁ、先輩の彼氏けっこう愛深いですね」

美奈子ちゃんがそんな話をしていた時、桜田くんが戻ってきた。

「なんの話ですか?」
「葉山さんの彼氏の話~」

そこまで言うと、桜田くんは顔を曇らせていう。

「ああ~」

でもすぐに笑顔になって「俺も混ぜてくださいよ~」と笑った。

隼人の話は、美奈子ちゃんが飽きるまで続いた。

もう少しでお開きになるかな?

私が時間を確認する。
隼人にも場所送っておかないと。

そう思ってスマホを触っていると、トントンっと桜田くんに肩を叩かれた。

「葉山先輩、少し外で話せませんか?」
「う、うん……」

どうしたんだろう。
仕事で困ってることでもあるのかな?

私と桜田くんはみんなのところを抜けて、外へ出た。

「話って……」
「あ、あの……先輩の彼氏についてなんですけど」

私は桜田くんの切り出し方を聞いて少し不安になった。

「今朝、先輩の彼氏を名乗る人から電話来て」

はっと息をのむ。
隼人……もしかして、やった?

「美羽に手出したら、どうなるか分かってるよなって」

絶対に隼人だ。
何もしないでって約束したのに。

「ごめん、桜田くん……本当に迷惑かけてごめん」

私は深く頭を下げて謝った。

「いえ、ビックリはしましたけど、俺は全然。でも先輩の彼氏さんの話聞いててちょっと不安になっちゃいました」

「少し過干渉なところがあって……」
「少しじゃないですよね?」

う”……。
そういわれると、そうなんだけど……。

「後輩の俺が言うのもなんですけど、別れた方がいいと思いますよ。そういう人、ヤバいやつだと思うので」

「でもいいところはちゃんとあって」

「先輩、洗脳されてるんですよ。優しいから。先輩が傷つかないようにするためにも別れた方がいいと思います」

まっすぐにそう告げて来る桜田くん。
迷惑をかけた手前何も言うことは出来なかった。

それから、ぞろぞろみんながお店から出てきて、お会計をすることにした。

みんなは明日も休みということもあって、二次会に行くらしい。

私は隼人が待ってるし帰ろう……。

「私は今日は帰ります」

みんなに伝えると桜田くんが私の前にずいっと躍り出た。

「ええ、先輩帰っちゃうんですか。二次会行きましょうよ。俺、先輩も一緒がいいです」

「え、ええ……」

それを聞いて酔っ払いの周りがはやし立てる。

「先輩、慕われてるよ~どうするの?」
「葉山さん、おいでよ~」

どうしよう、これは断れ無さそうな雰囲気。
そう思っていると……。

「美羽……迎えに来たよ」

後ろから声が聞こえてくる。
振り返ると、そこにいたのは笑顔を浮かべる隼人だった。

「キャー!!彼氏登場~」

さらに周りが盛り上がる。

そして隼人は、みんなにも手土産を準備していたようで、一人一人にお土産を渡した。

「これ、いつも美羽がお世話になっているので……食べてください」

「まぁ、なんて気が利く彼氏なの」

女性陣たちは大絶賛。
これで理由なく帰れるようにはなったけど……。

「男性の保育士さんもいたんですね。珍しいですね」

「そうですか?最近はよくありますけど?」

桜田くんが隼人を睨みつける。
うわ……なんかよくない方に行っているような。

「は、隼人……もう行こうか」
「うん、帰ろう。それじゃあ失礼します」

私と隼人は頭を下げると、そのまま立ち去ることにした。

隼人は少し裏の駐車場に車を停めていたようだった。

車に乗り込むと私は言う。

「迎えに来てくれてありがとう。でも!桜田くんに今朝電話したでしょ!」

強い口調で言うと、隼人は子犬のようにシュンっとした表情で言った。

「美羽が心配だったんだ、ただ念を押しただけだよ」

「しないでって言ったのに……!どうして言ったこと守ってくれないの?」

「アイツは間違いなく美羽のこと、狙ってるよ。危険な男だ」

「そんなはずないじゃん。まだ桜田くんが来てから1週間しか経ってないんだよ?」

「そう考えてるから美羽は甘いんだよ」

ムッ。
なんで私が説教される流れになってるの!?

「それにさ、隼人私にウソ教えたでしょ」
「なに?」

「ほら……その夜のこと、カップルはみんな毎日するって」

さっきはみんなの前で恥をかいた。
隼人があんなこと言うから……。

「それはごめん、何も知らない美羽がかわいくて……でも俺の気持ちは毎日したいって思ってるから」

そ、そんな話をしてるんじゃなくって!

「とにかくね、隼人……これからはそういうことしないでほしい。迎えにだって来なくていいし、私の交友関係を探ったり、勝手に連絡入れるようなことしないで。じゃなきゃ私……隼人と結婚とか考えられない」

ハッキリと言い放つと、隼人はショックを受けた顔をした。

「そんな……」

「当たり前でしょ?だってみんなそうやって成り立ってるんだよ?」

隼人のように私のスマホを監視したりしないし、交友関係を潰そうと動くようなことはしない。

「でも俺たちは違うよ」

隼人は落ち着いた声で言う。

「俺たちは普通に付き合ったわけじゃない」

「それはそうだけど……いつまでもそんな関係ではいられないでしょ?」

私が言い聞かせるように言うと、隼人は車のハンドルを握った。

「分かったよ。美羽が言うならやめるよ……今までしていたこと全部」

そして車を発進させながらそう答えた。


やっと分かってくれた……?
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