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37話 イケメン三人

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 私はエドワード殿下からの公開プロポーズに対する答えを言うべく、壇上の彼に近づいた。
 そして、口を開く。

「申し訳ありませんが、お断りします」

 私ははっきりと断った。
 こんなの受けたら、バッドエンドルートに入ってしまうかもしれないじゃないか。
 悪夢か何かかと思ったよ。

「えっ……?」

 エドワード殿下は一瞬呆然とした後、泣きそうな顔になった。
 周りの人達も驚いている。
 オスカーも目を見開いている。

「ど、どうして……?」

 エドワード殿下が聞いてくる。

「どうしても何も、あなたとは婚約できません」

「そ、それは俺が嫌いだからか!?」

「いいえ、違います」

 彼はイケメンだし、身分も高く、性格も悪くない。
 普通なら二つ返事で結婚を了承していただろう。
 まあ、さすがにこんな場で申し込んでくるのはどうかと思うけど。

「では、なぜだ!?」

「なぜと言われましても……」

 私は困ってしまう。
 だって、まさか『あなたに断罪されて殺される未来を知っているから』なんて言えないし……。
 ここは無難に断るしかない。

「私には、他に好きな人がいますので」

「なに!? 一体誰なんだ!? 教えてくれ、イザベラ!!」

「それは……秘密です」

 私は悪戯っぽく笑って誤魔化した。
 実際にはいないのだけれど、これで煙に巻けるだろうか。

「くっ……、俺以外でイザベラにアプローチしているのは……。まさか貴様か!? オスカー・シルフォード!」

 エドワード殿下が叫ぶように言う。
 オスカーは、それを聞いて驚いた後、「はぁ~」と溜息を吐いた。
 そして、メガネを外すと胸ポケットに入れる。
 その仕草だけで色気が出るというのか、周囲の女子生徒が黄色い声を上げた。

(ああっ、カッコイイ!)

 私はキュンとしてしまう。
 眼鏡キャラが眼鏡を外したらダメなんて誰が決めたんだろう?
 これはこれで、普段とギャップがあり素敵だ。
 改めて見ても、彼はすごく整った容姿をしている。

「殿下、私はイザベラ殿と特別な関係ではありません。ただの同級生ですよ。それ以上でもそれ以下でもありません」

「嘘をつけ! 貴様がイザベラのことを好きであることくらい、こっちは見抜いているぞ!」

 まあ見抜くも何も、シルフォード伯爵家がアディントン侯爵家に婚約を申し込んでいるのは、ある程度の情報網を持つ貴族家なら誰でも知っていることだ。
 ましてや、王族のエドワード殿下が知らないはずがない。
 オスカーは肩をすくめた。

「殿下は何か勘違いをされているようですね。私がイザベラ殿に言い寄っているというのは正しい。ですが、今のところは振られっぱなしです。私は……」

 そこで言葉を区切ると、彼は真剣な表情を浮かべた。

「イザベラ殿に釣り合う男になるべく、この王立学園で努力するつもりなのです。今はまだ足りないかもしれないが、いつか必ず彼女を振り向かせてみせる」

 おお、さすがイケメン。
 セリフがキマってるね。

「ぐぬぅ、貴様にだけは負けん!」

 一方、エドワード殿下もイケメンなのだけど……残念ながら、いや、ある意味とても似合っているのだが、エドワード殿下は少し子供っぽい性格をしていた。

「だがそうなると、イザベラが好いているという男は誰なのだ?」

「私の情報網によれば、イザベラ殿と深い交流を持つ男は他に二人のみ。一人は義弟のフレッド殿なので除外。そして、もう一人は……」

 オスカーはそう言って第二学年の席に視線を向けた。
 すると、その先には……。

(あ、カインだ)

 カインはこちらを見ていたようで、目が合った。
 私は軽く手を振って挨拶をする。
 彼は照れたような表情を浮かべて、すぐに視線を逸した。

「カイン・レッドバース。あの赤髪の男です」

 オスカーの言葉にエドワード殿下が眉を吊り上げた。

「レッドバースだと!?」

「ご存じでしたか?」

「当然だ! 剣術において、この一年間俺と互角に渡り合ってきた男だ。剣の腕を見込まれ、レッドバース家の養子となっている。身体強化魔法も使えるし、剣技だけ見れば俺より上だろう。正直、悔しいほどにな」

 エドワード殿下がそう言う。
 へえ?
 文武両道の完璧超人かと思っていたエドワード殿下でも、剣術においてはカインには及ばないのか。

「カイン・レッドバース! 俺のイザベラを誑かしたのは貴様か!? もしそうなら、決闘を申し込む!」

 エドワード殿下がカインに向かって叫んだ。

「ちょ、ちょっと待ってくれや。俺とイザベラ嬢は、まだそんな仲じゃねえよ。決めてるんだ、立派な騎士になってイザベラ嬢と釣り合う男になるまでは手は出さないと」

「ほほう、なるほど。つまり、イザベラへ好意を持っていること自体は否定しないということか」

「……ま、そうなるな」

 カインが照れながらそう言う。
 その様子を見ていた主に第二学年の女生徒達がキャーっと悲鳴にも似た声を上げる。

「そ、そんなぁ……。カイン様が……」

「ううっ……。エドワード殿下に続いて、カイン様までも……」

「ひどいよぉ……。私達だって、ずっと前から狙っていたのにぃ……」

 おい、なんか一部の女子から恨みの声が聞こえたぞ。
 というか、私を差し置いて何の話をしているんだ。
 せっかくの入学式がハチャメチャじゃないか。

(私に好きな人がいるとか、適当なことを言ってしまったのが失敗だったかな……)

 女生徒達から、ちょっとした悪感情を抱かれつつあるのを感じる。
 ここは何とか切り抜けないとね。
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