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40話 私はまだ誰とも婚約していないのですが……
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私がアリシアさんと話していたところに、エドワード殿下が割り込んできたところだ。
「近く開かれる秋祭りについてだ。お前も参加するのか?」
「特に予定はありませんが」
「そうか。それならばちょうどいい。俺と行くぞ」
「は?」
「だから俺と一緒に祭りに行くと言っている」
「なぜです?」
「なぜって、俺とお前の付き合いじゃないか」
「…………」
私は思わず黙り込んでしまう。
私とエドワード殿下の接点なんて大してないはずなのだけれど。
「まあ、理由はなんでも構わんだろう。とにかく一緒に祭りへ行くぞ」
「いえ、私は遠慮します」
「おいおい、つれないことを言うなよ。たまには俺にも付き合ってくれてもいいではないか」
「そういうことでしたら、アリシアさんと行かれてはいかがですか? せっかくのお誘いですし、アリシアさんと親交を深めるチャンスですよ」
私は話を逸らす。
下手に私とエドワード殿下の仲を深めるのはマズイ。
彼は文武両道のイケメンなので、普通に考えれば文句のつけようがない。
ただ、最後の最後でアリシアさんに横恋慕され、真実の愛を見つけたエドワード殿下に断罪されるのは御免被る。
「いや、俺はお前と行きたいのだ。他でもない、イザベラとだ」
どうやらアリシアさんにはあまり興味がないらしい。
光魔法の使い手として期待は寄せているはずだけど、女性としては見ていない様子だ。
「では、いつも切磋琢磨しておられるカインと行かれては?」
「カイン? ああ、レッドバースのことか。あいつは俺のライバルではあるが、一緒に祭りを回るような仲では……」
エドワードがそこまで言った時だった。
「おう、エド! こんなところにいたのか!」
「噂をすれば、というやつか」
エドワード殿が声の主の方へ顔を向ける。
そこには赤い髪の男がいた。
彼の名前はカイン・レッドバース。
子爵家の養子であり、エドワード殿の親友だ。
いや、『ドララ』の設定では、親友になるのはもう少し後だったかな?
「どうした? レッドバース。俺は今、イザベラと大切な話をしているのだが」
「つれねえ呼び方をすんなよ。俺のこともカインって呼んでくれて構わないぜ」
平民出のカインは、王族であるエドワード殿下にもグイグイと距離を詰めている。
大抵の平民は、王族に対して畏敬の念を抱いているものなのだが。
具体的には、アリシアさんのように。
彼女はエドワード殿下とカインを恐れているかのように、私の後ろで小さくなっている。
それに対して、カインの態度は堂々としたものだ。
剣術において、現第二学年の中でもエドワード殿下を抑えてトップの実力を持つという事実も関係しているかもしれない。
「分かった分かった。それでカイン、一体何の用なんだ?」
「何の用だって、そりゃ決まってるだろ?」
カインがニヤリと笑う。
「勝負だよ、エド! 今日こそ決着をつけてやるぜ」
「またか……。剣術においては貴様の方が上なのだから、それでいいだろう?」
「まだまだだぜ! 実戦においては魔法も使用される。だからこそ、俺は何でもありの実戦形式でエドに勝ちたいんだ」
カインは剣術で第二学年のナンバーワンだ。
しかし一方で、魔法は身体強化系の魔法しか使えない。
対するエドワード殿下は、剣術で第二学年の次席であると同時に、魔法においても高い成績を残している。
実戦形式なら、エドワード殿下に軍配が上がるらしい。
「やれやれ、仕方のない奴め」
そう言いながらも、エドワード殿下の顔には笑みがある。
カインとのやり取りを楽しんでいるみたいだね。
「……あの。では、私達はこのあたりで……」
男同士の戦いを見て楽しむ趣味はない。
それに、アリシアさんがとてもおどおどしている。
これ以上付き合わせるのは可哀想だ。
「ん? おお! イザベラ嬢じゃないか!!」
カインはこちらに気づき、満面の笑顔を浮かべた。
「数日ぶりだなあ! 元気にしてたか!?」
「え、ええ」
「いやー、相変わらず綺麗だなぁ。こうして見ると、本当に貴族の令嬢にしか見えないぜ」
「それは褒め言葉なのかしら?」
「もちろんさ。あんまりにも可愛いもんで、つい口説いちまうくらいにな!」
「はいはい。そういうことにしておきましょう」
私は適当に流すが、アリシアさんは目を白黒させている。
おそらく、あまり貴族社会に馴染みがないからだろう。
これぐらいは社交辞令として流せるようにならないと、将来苦労しそうだ。
「悪いが、そういう冗談は控えてくれないか」
エドワード殿下が呆れた表情で告げる。
「イザベラは俺の妻となる女だからな。変に誤解されたら困る」
「なにっ!? それは聞き捨てできねえ! イザベラ嬢に釣り合うような男になるのは、俺の目標なんだ! 結婚なんてまだ早いだろ!?」
カインがエドワード殿下に食って掛かる。
「あの……。私はまだ誰とも婚約していないのですが……」
当人を差し置いて、何を盛り上がっているのか。
二人には困ったものだ。
「近く開かれる秋祭りについてだ。お前も参加するのか?」
「特に予定はありませんが」
「そうか。それならばちょうどいい。俺と行くぞ」
「は?」
「だから俺と一緒に祭りに行くと言っている」
「なぜです?」
「なぜって、俺とお前の付き合いじゃないか」
「…………」
私は思わず黙り込んでしまう。
私とエドワード殿下の接点なんて大してないはずなのだけれど。
「まあ、理由はなんでも構わんだろう。とにかく一緒に祭りへ行くぞ」
「いえ、私は遠慮します」
「おいおい、つれないことを言うなよ。たまには俺にも付き合ってくれてもいいではないか」
「そういうことでしたら、アリシアさんと行かれてはいかがですか? せっかくのお誘いですし、アリシアさんと親交を深めるチャンスですよ」
私は話を逸らす。
下手に私とエドワード殿下の仲を深めるのはマズイ。
彼は文武両道のイケメンなので、普通に考えれば文句のつけようがない。
ただ、最後の最後でアリシアさんに横恋慕され、真実の愛を見つけたエドワード殿下に断罪されるのは御免被る。
「いや、俺はお前と行きたいのだ。他でもない、イザベラとだ」
どうやらアリシアさんにはあまり興味がないらしい。
光魔法の使い手として期待は寄せているはずだけど、女性としては見ていない様子だ。
「では、いつも切磋琢磨しておられるカインと行かれては?」
「カイン? ああ、レッドバースのことか。あいつは俺のライバルではあるが、一緒に祭りを回るような仲では……」
エドワードがそこまで言った時だった。
「おう、エド! こんなところにいたのか!」
「噂をすれば、というやつか」
エドワード殿が声の主の方へ顔を向ける。
そこには赤い髪の男がいた。
彼の名前はカイン・レッドバース。
子爵家の養子であり、エドワード殿の親友だ。
いや、『ドララ』の設定では、親友になるのはもう少し後だったかな?
「どうした? レッドバース。俺は今、イザベラと大切な話をしているのだが」
「つれねえ呼び方をすんなよ。俺のこともカインって呼んでくれて構わないぜ」
平民出のカインは、王族であるエドワード殿下にもグイグイと距離を詰めている。
大抵の平民は、王族に対して畏敬の念を抱いているものなのだが。
具体的には、アリシアさんのように。
彼女はエドワード殿下とカインを恐れているかのように、私の後ろで小さくなっている。
それに対して、カインの態度は堂々としたものだ。
剣術において、現第二学年の中でもエドワード殿下を抑えてトップの実力を持つという事実も関係しているかもしれない。
「分かった分かった。それでカイン、一体何の用なんだ?」
「何の用だって、そりゃ決まってるだろ?」
カインがニヤリと笑う。
「勝負だよ、エド! 今日こそ決着をつけてやるぜ」
「またか……。剣術においては貴様の方が上なのだから、それでいいだろう?」
「まだまだだぜ! 実戦においては魔法も使用される。だからこそ、俺は何でもありの実戦形式でエドに勝ちたいんだ」
カインは剣術で第二学年のナンバーワンだ。
しかし一方で、魔法は身体強化系の魔法しか使えない。
対するエドワード殿下は、剣術で第二学年の次席であると同時に、魔法においても高い成績を残している。
実戦形式なら、エドワード殿下に軍配が上がるらしい。
「やれやれ、仕方のない奴め」
そう言いながらも、エドワード殿下の顔には笑みがある。
カインとのやり取りを楽しんでいるみたいだね。
「……あの。では、私達はこのあたりで……」
男同士の戦いを見て楽しむ趣味はない。
それに、アリシアさんがとてもおどおどしている。
これ以上付き合わせるのは可哀想だ。
「ん? おお! イザベラ嬢じゃないか!!」
カインはこちらに気づき、満面の笑顔を浮かべた。
「数日ぶりだなあ! 元気にしてたか!?」
「え、ええ」
「いやー、相変わらず綺麗だなぁ。こうして見ると、本当に貴族の令嬢にしか見えないぜ」
「それは褒め言葉なのかしら?」
「もちろんさ。あんまりにも可愛いもんで、つい口説いちまうくらいにな!」
「はいはい。そういうことにしておきましょう」
私は適当に流すが、アリシアさんは目を白黒させている。
おそらく、あまり貴族社会に馴染みがないからだろう。
これぐらいは社交辞令として流せるようにならないと、将来苦労しそうだ。
「悪いが、そういう冗談は控えてくれないか」
エドワード殿下が呆れた表情で告げる。
「イザベラは俺の妻となる女だからな。変に誤解されたら困る」
「なにっ!? それは聞き捨てできねえ! イザベラ嬢に釣り合うような男になるのは、俺の目標なんだ! 結婚なんてまだ早いだろ!?」
カインがエドワード殿下に食って掛かる。
「あの……。私はまだ誰とも婚約していないのですが……」
当人を差し置いて、何を盛り上がっているのか。
二人には困ったものだ。
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