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92話 記憶
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私とアリシアさんは、フレッドと合流した。
忘れていたけど、彼とも一緒に回る約束をしていたのだ。
「それじゃ、三人で回ることにしましょうか。行きましょう、アリシアさん。それにフレッドも」
「はい、イザベラ様」
「ええ、分かりました」
私たちは秋祭り会場の中を歩き出した。
途中、アリシアさんがフレッドに話しかける。
「お二人って、仲がよろしいのですね。びっくりしました」
「まあ、姉弟ですから。一応」
「姉弟がいて、羨ましいです」
「アリシア殿は一人っ子でしたものね」
「はい。ですから、姉弟がいるというだけでとても憧れます」
「なるほど」
二人が何気ない会話をしている。
やはり、この二人の仲は悪くないようだ。
私のど忘れで一時はどうなるかと思ったけど、何とかなりそうで良かった。
アリシアさんが時おり物凄い表情でフレッドを睨んでいるのは気のせいだろう。
(何だか、ここ最近で物忘れが激しくなってきたのよねぇ……)
いや、正確に言えば、覚えてはいるがその記憶にアクセスできないと言った方が正しいかもしれない。
何かを思い出そうとすると、黒いモヤがかかったようになって思い出せないことがあるのだ。
まるで、記憶にフィルターでもかかっているかのようだ。
何か病気にでもかかったのだろうか?
不安になってくる。
「姉上? どうかなさいましたか? 先程から黙り込んでいますが」
「いえ、何でもないわ。少し考え事をしてただけよ」
「そうなんですね。僕で良ければ相談に乗りますよ?」
「ありがとう。その時が来たらお願いするわ」
私は笑みを浮かべる。
フレッドは少し不満そうだ。
きっと、私に頼られたかったのだろう。
だけど、今は言えない。
自分の身に起こっていることを。
だって、こんなこと誰にも言えやしない。
仮に言ったとしても、信じてもらえるとは思えないもの。
それに、今は秋祭り中だから楽しまないとね。
「分かりました。それではせめてもの気晴らしに、美味しい料理をご馳走しますよ。せっかくのお祭りですからね」
「あら、そう? それなら、お言葉に甘えてもいいかしら?」
「もちろんですよ」
「ふふっ、ありがとう」
私はフレッドに微笑んだ。
彼は照れたように顔を背ける。
「あ、あの! 私にも奢らせてください!」
アリシアさんが声を上げる。
彼女は私を見て、真剣な眼差しでこう続けた。
「イザベラ様には、助けてもらった恩がありますので、是非ともお返しさせてほしいのです」
「アリシアさん……。でも、あなたにはもうずいぶんご馳走になったわ。これ以上は申し訳なくて……」
「いえ、そんなことはありません。これは私の気持ちの問題ですので。ぜひ、受け取ってくださいませんか?」
「そこまで言うなら……分かったわ。ありがたくいただくわね」
「はい」
アリシアさんは笑顔を見せる。
それにしても、フレッドもアリシアさんも、どうして私を元気づけるための第一案が食べ物なのだろう?
私は首を傾げたのだった。
忘れていたけど、彼とも一緒に回る約束をしていたのだ。
「それじゃ、三人で回ることにしましょうか。行きましょう、アリシアさん。それにフレッドも」
「はい、イザベラ様」
「ええ、分かりました」
私たちは秋祭り会場の中を歩き出した。
途中、アリシアさんがフレッドに話しかける。
「お二人って、仲がよろしいのですね。びっくりしました」
「まあ、姉弟ですから。一応」
「姉弟がいて、羨ましいです」
「アリシア殿は一人っ子でしたものね」
「はい。ですから、姉弟がいるというだけでとても憧れます」
「なるほど」
二人が何気ない会話をしている。
やはり、この二人の仲は悪くないようだ。
私のど忘れで一時はどうなるかと思ったけど、何とかなりそうで良かった。
アリシアさんが時おり物凄い表情でフレッドを睨んでいるのは気のせいだろう。
(何だか、ここ最近で物忘れが激しくなってきたのよねぇ……)
いや、正確に言えば、覚えてはいるがその記憶にアクセスできないと言った方が正しいかもしれない。
何かを思い出そうとすると、黒いモヤがかかったようになって思い出せないことがあるのだ。
まるで、記憶にフィルターでもかかっているかのようだ。
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「姉上? どうかなさいましたか? 先程から黙り込んでいますが」
「いえ、何でもないわ。少し考え事をしてただけよ」
「そうなんですね。僕で良ければ相談に乗りますよ?」
「ありがとう。その時が来たらお願いするわ」
私は笑みを浮かべる。
フレッドは少し不満そうだ。
きっと、私に頼られたかったのだろう。
だけど、今は言えない。
自分の身に起こっていることを。
だって、こんなこと誰にも言えやしない。
仮に言ったとしても、信じてもらえるとは思えないもの。
それに、今は秋祭り中だから楽しまないとね。
「分かりました。それではせめてもの気晴らしに、美味しい料理をご馳走しますよ。せっかくのお祭りですからね」
「あら、そう? それなら、お言葉に甘えてもいいかしら?」
「もちろんですよ」
「ふふっ、ありがとう」
私はフレッドに微笑んだ。
彼は照れたように顔を背ける。
「あ、あの! 私にも奢らせてください!」
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「いえ、そんなことはありません。これは私の気持ちの問題ですので。ぜひ、受け取ってくださいませんか?」
「そこまで言うなら……分かったわ。ありがたくいただくわね」
「はい」
アリシアさんは笑顔を見せる。
それにしても、フレッドもアリシアさんも、どうして私を元気づけるための第一案が食べ物なのだろう?
私は首を傾げたのだった。
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