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第1章 異世界での目覚め
4 頑張って過去回想をする
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「……はぁ、はぁっ」
31歳の自分が10代に若返るという訳のわからない現実を突きつけられた椿井は。
「……大丈夫、俺は冷静だ」
全然冷静じゃなかったが、1分近く叫び続けて今は本当に落ち着いていた。
「……何度見ても、若いな」
そして鏡に映る少年と青年の間ぐらいの自分の顔をまじまじと見つめた。
「俺は周りと比べてヒゲが生え始めるのが遅くて、確か高校卒業してからようやく生え始めたから……、今の俺の体はその頃よりも前ってことになるよな」
3連休とかの長期の休みの際にヒゲを剃らずにいるとジョリジョリになる感覚を懐かしむようにツルツルの顎を触りながら、椿井は思考を続けた。
「となると、この体は15から18ぐらいの時の体で……って、俺、畳の部屋なのに靴履いてたのか。まったく気づかなかっ……いや、待て。待ってくれ。この靴、それにこの服、新品みたいだけどこれって……」
そして、若くなった肉体から今着ている服や履いている靴に視線と思考を向けたとき、椿井は再び冷や汗を流した。
「……間違いない。この服は俺が高校生の時、FUで買ったものだ。バイトによく着て行ってたから覚えてる。この靴も確か同じ時期に買ったやつだ。そして、服は着すぎてクタクタになって穴まで開いたから、20歳ぐらいの時に掃除に使って捨てた。靴の方も靴底に穴が開いて捨てたはず」
燃やすゴミに出し、既にこの世に存在しない衣服をほぼ新品の状態で着ている。その事実に椿井は懐かしさよりも寒気を覚えた。
「……いや、何だよこれ。異世界とか以前にホラーだぞ、もう」
そして、ホラーという単語を口に出したとき、椿井はふと、過去に見た映像作品のある場面を思い出した。
それは余命幾ばくもない老人が思い出の地を訪れた際、その場所に若くして死に別れた伴侶が当時の姿のままいて、老人が涙を流しながら駆け寄るといつの間にか老人も当時の若い姿に戻って伴侶と抱き合うという、ホラーでも何でもない感動のシーンである。
そう、それは感動シーンだ。とてつもない感動シーンなのだが……。
「……俺は別にこの頃に戻りたいと思ったことはないけど、肉体的には一番元気だったのは間違いないし、無意識のうちに学生時代をやり直したいと思ってたりしたのか……?」
そのシーンの後に満足そうな顔で旅立った老人が孫に発見される場面も思い出しながら椿井はぶつぶつと呟き続け。
「……俺、死んだのか?」
という、ちょっと信じられない、信じたくない結論に辿り着いてしまった。
「っ……! いや、いやいや……! 流石にこれは早計だ……!」
だが、すぐに椿井は自分の考えを否定し、頭をブンブンと振った。
「もっとよく考えろ。まず俺はここで目覚める前は何をしていた。そこからだ」
そしてそこまで思考を進めたことで椿井はある事実に気づいた。
「……思い出せない? いや、思い出せそうなんだけど、……何だ、この感じ」
自分の年齢などのプロフィールはすぐに思い出せたのに、ここで目覚める直前の記憶だけ、何故かモヤがかかっていて思い出しづらいということに。
「……」
何か嫌な予感がする。そんな直感が働いたが、椿井は。
「……っ」
どんな嫌なことでも思い出さなければ始まらない。と、その嫌な予感を振り払うのではなく受け止める覚悟を持って記憶を手繰り寄せ始めた。
そして、まず思い出したのは。
「……雨の音が、聞こえてた」
アスファルトに雨が落ちる音だった。
「そう、雨が降り始めたんだ。それで、結構な勢いだったから、仕事鞄から折りたたみ傘を取り出して……」
だんだん思い出してきた。と、椿井はここで目覚める直前の記憶が、会社で仕事を終え、いつもより少し早めに帰路についた時のものだということを思い出した。
「それで傘を差して歩き出したらスマホが鳴ったんだ」
それは母からの電話だった。
椿井は早くに父を亡くし、女手一つで自分を育ててくれた母と一緒に暮らしている。椿井が20代半ばになるまでは母が病気をしたり借金もあったりで生活はとても大変だったが、今はもう落ち着き、2人で穏やかな日々を過ごしていた。
そんなようやく得た穏やかな日常の中、椿井はその母からの電話に不安を覚えた。
母が勤務時間帯にメッセージを送ってくることはあっても電話をかけてくることは滅多に無く、何か緊急事態でも起きたのかと椿井は慌ててその電話を取った。
そして、電話先の母は息が荒く、いつもとは全く違う様子だったため椿井はすぐに救急車が必要と判断し、一度電話を切って母のいる家に救急車を呼ぼうとしたのだが。
『必要なし。私、超元気』
と母に救急車は不要と言われ、話しているうちに落ち着いてきたのか母の喋り方もいつもの感じに近くなったので椿井は少し心配の度合いを下げてから、じゃあ、どうしたんだ? と尋ねた。
すると。
「……なんか急に宝くじの話をし出したんだよな」
母が急に、私が宝くじ買ってるの知ってるよね? と言い出し、椿井は困惑しながらも知っていると肯定した。
椿井の母は趣味らしい趣味を何一つ持っておらず、借金が返し終わった頃に椿井が何か趣味を持つのもいいんじゃないか? と勧めたら、宝くじを買い始めたのだ。
年に4回の購入で年間1万2000円の出費。借金生活を送っていた椿井達にしてみれば決して少ない額では無かったが、もし当たったらと楽しそうに夢を語る母の姿を見て、まあ、別に悪い金の使い方ではないよな。と思いながら毎回末等の300円しか当たらず悔しがる母と笑いあっていた。
それで、その宝くじがどうかしたのか? と、椿井が尋ねると、母が過呼吸気味になりながら、まったく落ち着きの無い声で、落ち着いて聞いてね、と言い出し。
そして。
そして────
『────10億当たった』
電話先からそんな言葉が聞こえてきたのだ。
「……っ! そうだ、10億……!」
前後賞合わせて10億円の当選。母からその説明を聞いたときの衝撃を再び感じながら、椿井は更に記憶を蘇らせる。
母がこういう冗談を言うタイプの人間ではないということを椿井はよく知っていたため、それが真実である前提で母と話を続けた。そして、このことを絶対に誰にも言わないようにと厳命し、後は俺が家に帰ってからゆっくり話そうと言って、電話を切った。
「それから……。それから……」
激しい雨が降る中、心臓がバクバクしていた感覚を思い出しながら、その時、その瞬間の自分の思考を椿井は振り返る。
……もう借金は返し終わった。俺たちに大金は必要ない。けど、今の時代、お金は幾らあっても困らないのも間違いない。また母さんが大病を患う可能性もないわけではないし、その時に俺が今みたいに働ける体じゃなくなっているかもしれない。だから基本的には貯金を……あ、でも、母さん宝くじに当たったら、車を買って死んだ父さんと旅行に行った場所に俺と行きたいって言ってたよな。……そのくらいは、そのくらいはいいよな?
「……」
そんなことをずっと考えていた。
激しい雨が傘に打ちつけ、それ以外の音が何も聞こえず。
傘を差して視界が狭くなっているというのに、頭の中が宝くじのことでいっぱいで、横断歩道の向こう側で輝く赤色のLEDしか見ておらず。
その赤色が緑色に変わった時も青信号になったなと確認するだけで周りを見ることもなく前へと歩き出した。
その結果が、その数秒後に、最悪の形で現れた。
ブレーキの音は聞こえなかった。
最後に思考したのは、信号無視して、しかもそんなスピード出してたらいつか人轢くぞ! バカ運転手! というものだったのを覚えていた。
そして、その車は実際にそのコンマ1秒後に人を撥ね。
「……で、結局、俺は死んだってことか」
椿井は自分の出した結論が間違っていなかったということを認識した。
31歳の自分が10代に若返るという訳のわからない現実を突きつけられた椿井は。
「……大丈夫、俺は冷静だ」
全然冷静じゃなかったが、1分近く叫び続けて今は本当に落ち着いていた。
「……何度見ても、若いな」
そして鏡に映る少年と青年の間ぐらいの自分の顔をまじまじと見つめた。
「俺は周りと比べてヒゲが生え始めるのが遅くて、確か高校卒業してからようやく生え始めたから……、今の俺の体はその頃よりも前ってことになるよな」
3連休とかの長期の休みの際にヒゲを剃らずにいるとジョリジョリになる感覚を懐かしむようにツルツルの顎を触りながら、椿井は思考を続けた。
「となると、この体は15から18ぐらいの時の体で……って、俺、畳の部屋なのに靴履いてたのか。まったく気づかなかっ……いや、待て。待ってくれ。この靴、それにこの服、新品みたいだけどこれって……」
そして、若くなった肉体から今着ている服や履いている靴に視線と思考を向けたとき、椿井は再び冷や汗を流した。
「……間違いない。この服は俺が高校生の時、FUで買ったものだ。バイトによく着て行ってたから覚えてる。この靴も確か同じ時期に買ったやつだ。そして、服は着すぎてクタクタになって穴まで開いたから、20歳ぐらいの時に掃除に使って捨てた。靴の方も靴底に穴が開いて捨てたはず」
燃やすゴミに出し、既にこの世に存在しない衣服をほぼ新品の状態で着ている。その事実に椿井は懐かしさよりも寒気を覚えた。
「……いや、何だよこれ。異世界とか以前にホラーだぞ、もう」
そして、ホラーという単語を口に出したとき、椿井はふと、過去に見た映像作品のある場面を思い出した。
それは余命幾ばくもない老人が思い出の地を訪れた際、その場所に若くして死に別れた伴侶が当時の姿のままいて、老人が涙を流しながら駆け寄るといつの間にか老人も当時の若い姿に戻って伴侶と抱き合うという、ホラーでも何でもない感動のシーンである。
そう、それは感動シーンだ。とてつもない感動シーンなのだが……。
「……俺は別にこの頃に戻りたいと思ったことはないけど、肉体的には一番元気だったのは間違いないし、無意識のうちに学生時代をやり直したいと思ってたりしたのか……?」
そのシーンの後に満足そうな顔で旅立った老人が孫に発見される場面も思い出しながら椿井はぶつぶつと呟き続け。
「……俺、死んだのか?」
という、ちょっと信じられない、信じたくない結論に辿り着いてしまった。
「っ……! いや、いやいや……! 流石にこれは早計だ……!」
だが、すぐに椿井は自分の考えを否定し、頭をブンブンと振った。
「もっとよく考えろ。まず俺はここで目覚める前は何をしていた。そこからだ」
そしてそこまで思考を進めたことで椿井はある事実に気づいた。
「……思い出せない? いや、思い出せそうなんだけど、……何だ、この感じ」
自分の年齢などのプロフィールはすぐに思い出せたのに、ここで目覚める直前の記憶だけ、何故かモヤがかかっていて思い出しづらいということに。
「……」
何か嫌な予感がする。そんな直感が働いたが、椿井は。
「……っ」
どんな嫌なことでも思い出さなければ始まらない。と、その嫌な予感を振り払うのではなく受け止める覚悟を持って記憶を手繰り寄せ始めた。
そして、まず思い出したのは。
「……雨の音が、聞こえてた」
アスファルトに雨が落ちる音だった。
「そう、雨が降り始めたんだ。それで、結構な勢いだったから、仕事鞄から折りたたみ傘を取り出して……」
だんだん思い出してきた。と、椿井はここで目覚める直前の記憶が、会社で仕事を終え、いつもより少し早めに帰路についた時のものだということを思い出した。
「それで傘を差して歩き出したらスマホが鳴ったんだ」
それは母からの電話だった。
椿井は早くに父を亡くし、女手一つで自分を育ててくれた母と一緒に暮らしている。椿井が20代半ばになるまでは母が病気をしたり借金もあったりで生活はとても大変だったが、今はもう落ち着き、2人で穏やかな日々を過ごしていた。
そんなようやく得た穏やかな日常の中、椿井はその母からの電話に不安を覚えた。
母が勤務時間帯にメッセージを送ってくることはあっても電話をかけてくることは滅多に無く、何か緊急事態でも起きたのかと椿井は慌ててその電話を取った。
そして、電話先の母は息が荒く、いつもとは全く違う様子だったため椿井はすぐに救急車が必要と判断し、一度電話を切って母のいる家に救急車を呼ぼうとしたのだが。
『必要なし。私、超元気』
と母に救急車は不要と言われ、話しているうちに落ち着いてきたのか母の喋り方もいつもの感じに近くなったので椿井は少し心配の度合いを下げてから、じゃあ、どうしたんだ? と尋ねた。
すると。
「……なんか急に宝くじの話をし出したんだよな」
母が急に、私が宝くじ買ってるの知ってるよね? と言い出し、椿井は困惑しながらも知っていると肯定した。
椿井の母は趣味らしい趣味を何一つ持っておらず、借金が返し終わった頃に椿井が何か趣味を持つのもいいんじゃないか? と勧めたら、宝くじを買い始めたのだ。
年に4回の購入で年間1万2000円の出費。借金生活を送っていた椿井達にしてみれば決して少ない額では無かったが、もし当たったらと楽しそうに夢を語る母の姿を見て、まあ、別に悪い金の使い方ではないよな。と思いながら毎回末等の300円しか当たらず悔しがる母と笑いあっていた。
それで、その宝くじがどうかしたのか? と、椿井が尋ねると、母が過呼吸気味になりながら、まったく落ち着きの無い声で、落ち着いて聞いてね、と言い出し。
そして。
そして────
『────10億当たった』
電話先からそんな言葉が聞こえてきたのだ。
「……っ! そうだ、10億……!」
前後賞合わせて10億円の当選。母からその説明を聞いたときの衝撃を再び感じながら、椿井は更に記憶を蘇らせる。
母がこういう冗談を言うタイプの人間ではないということを椿井はよく知っていたため、それが真実である前提で母と話を続けた。そして、このことを絶対に誰にも言わないようにと厳命し、後は俺が家に帰ってからゆっくり話そうと言って、電話を切った。
「それから……。それから……」
激しい雨が降る中、心臓がバクバクしていた感覚を思い出しながら、その時、その瞬間の自分の思考を椿井は振り返る。
……もう借金は返し終わった。俺たちに大金は必要ない。けど、今の時代、お金は幾らあっても困らないのも間違いない。また母さんが大病を患う可能性もないわけではないし、その時に俺が今みたいに働ける体じゃなくなっているかもしれない。だから基本的には貯金を……あ、でも、母さん宝くじに当たったら、車を買って死んだ父さんと旅行に行った場所に俺と行きたいって言ってたよな。……そのくらいは、そのくらいはいいよな?
「……」
そんなことをずっと考えていた。
激しい雨が傘に打ちつけ、それ以外の音が何も聞こえず。
傘を差して視界が狭くなっているというのに、頭の中が宝くじのことでいっぱいで、横断歩道の向こう側で輝く赤色のLEDしか見ておらず。
その赤色が緑色に変わった時も青信号になったなと確認するだけで周りを見ることもなく前へと歩き出した。
その結果が、その数秒後に、最悪の形で現れた。
ブレーキの音は聞こえなかった。
最後に思考したのは、信号無視して、しかもそんなスピード出してたらいつか人轢くぞ! バカ運転手! というものだったのを覚えていた。
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