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第3章 カイカの森の白狐
19 森の社へ
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「……まさかここまで暗いとは。これは想定外だった」
暗闇の中、ツヴァイは一人、森の中を歩いていた。
街での決闘騒ぎの後、リアとアストライアの2人を見失ったツヴァイはこれからどうするかと考えた。
そして、ツヴァイはまず悪役令嬢との言い争いの理由となったリアのお父さんについて自分の周りに集まっていた学生達に聞いてみた。
だが、それまで元気よく騒いでいた学生達が急に静かになって皆、口籠もり、そのままいなくなってしまったため結局何もわからなかった。
それからツヴァイは日が沈み暗くなった街でリアとアストライアを探したが、日が沈んだ後の街は人通りが全くなくなり、2人のことを誰かに尋ねて探すということができなかった。
それでもツヴァイは2人を懸命に探したが、2時間以上歩き回っても何の成果も得られなかったため、捜索を一時断念。朝になったら学園に行って、学生に話を聞いたりしながら2人をまた探そうとツヴァイは決意を固めた。
その後、ツヴァイは一度、公園のベンチで寝ようと考えたが、まだ他にもやるべきことがあると考え直し、街を出てカイカの森に入った。
他にやるべきこと。それは自分がこの異世界に来た原因を探ることである。
街の住人になるための努力はするし、決闘の約束もした。それにリアやアストライアと、もっとわかり合いたいと思っている。
ただ、自分が何故この世界にいるのかそれもハッキリさせたいと考え、自分がこの世界に来たことと関係があると思われる超常の存在、シロキツネ様に会うためにツヴァイは自分が目覚めた社を目指していた。
そして、元の31歳の身体でもまだ体力の衰えは感じていなかったが、10代後半の身体に戻った今、無限とも思えるぐらいの体力が湧き出てきており謎の無敵感を味方にツヴァイは森の中をズンズン進み続けたが。
「……これ、迷ったか?」
疲れ知らずでも普通に道に迷って今に至るのであった。
昼の森の中は発光する植物や輝く謎の物体が結構な数いたので、その明かりを頼りにすれば進めるだろうとツヴァイは考えていたが、皆眠っているのか昼間光っていた生物たちの光がなく、森の中は完全に真っ暗闇になっていた。
「……ゴブリンと戦った場所まで行ければ……」
そこから社までの道は大体わかるのにそこに辿り着けない。と、ツヴァイはアストライアに拘束された状態で街に向かう時も道をしっかり覚えておけばよかったと猛省した。
「……安全面のことも考えると、街に戻るのが賢明か」
この森でモンスターが出ることは普通はないという話だったが、昼間、モンスターに襲われたという事実があるのでモンスターが現れる可能性は常に考えておく必要があった。
「……」
なのでツヴァイは拾った日本刀をいつでも鞘から抜けるようにしていたが戦闘経験なんて殆どなく、暗闇の中から不意を突かれたら対応できる自信はなかったため、足を止めて数秒考え。
「よし、戻ろう」
時には引くことも重要だ。と、ツヴァイは決断し、来た道を引き返すことにした。
「……まあ、戻れるならの話だけど」
そもそも暗すぎて来た道すらわからないんだよな。と、真っ暗な林道を見て、ツヴァイがちょっと泣きたくなった。その時だった。
チリン、と、小さく鈴の音が響いた。
「────!」
その音を聞いた瞬間、ツヴァイは日本刀を持つ手に力を入れ、すぐさま、その音のした方角を向いた。
そして、モンスターの襲撃を予測したツヴァイが見たモノは。
「……火の玉?」
宙に浮く火の玉だった。
10メートルほど先の場所で薄ピンク色の火の玉がゆらゆらと揺れており、ツヴァイが警戒しながら。
「なんだ、あの怪しい火……は」
と呟いたとき、ツヴァイはこの森の名前を思い出し。
……あ、もしかして、カイカの森のカイカって、怪火のことなのか。
色んな植物の花が咲いているから開花の方だと思ってた。と、ツヴァイは自分が勘違いしていたことに気がついた。
けれども今はそんなことよりも目の前の脅威をどうにかする方が重要だとツヴァイは思考を切り替え、最悪の事態、火の玉が襲ってくることを想定し、日本刀を抜こうとした、その時である。
「……増えた」
火の玉が2つに増えたのは。
そして、それからツヴァイがまばたきをするごとに火の玉が3つ、4つ、5つとどんどん増えていったのだが……。
「……」
ツヴァイはその異常事態を前に、逆に警戒を解いて日本刀を持つ手の力を緩めた。
「……この火の玉は誘導灯か」
もし大量に増えた火の玉がツヴァイを取り囲むように動き出したのなら、ツヴァイも警戒を強めただろう。だが、増えた火の玉は滑走路の誘導灯のように綺麗に並ぶこと以外の動きを見せなかった。
「……」
……迷っていたぐらいだし断言はできないけど、たぶん、社の方っぽいな。
そして、森の奥へと続く火の玉の列を眺め、火の玉が指し示す場所を直感的に理解したツヴァイは少し悩んだ。
……そこまで詳しくはないけど、怪火って狐の伝説でよく出てくるよな。そうなると、この先にはシロキツネ様とかいう超常の存在がいる可能性が極めて高い。
確実に誘われているから罠の可能性も十分にある。そうツヴァイは考えたが。
「……罠であっても行くしかないよな」
そもそもシロキツネ様に会うためにこの森に来たのだから、向こうもこちらに用事があるのなら丁度良いとツヴァイは覚悟を決め。
「俺はあんたに聞きたいことが山ほどあるんだよ、シロキツネ様」
火の玉の誘導にしたがって、再び森の中を進み始めた。
暗闇の中、ツヴァイは一人、森の中を歩いていた。
街での決闘騒ぎの後、リアとアストライアの2人を見失ったツヴァイはこれからどうするかと考えた。
そして、ツヴァイはまず悪役令嬢との言い争いの理由となったリアのお父さんについて自分の周りに集まっていた学生達に聞いてみた。
だが、それまで元気よく騒いでいた学生達が急に静かになって皆、口籠もり、そのままいなくなってしまったため結局何もわからなかった。
それからツヴァイは日が沈み暗くなった街でリアとアストライアを探したが、日が沈んだ後の街は人通りが全くなくなり、2人のことを誰かに尋ねて探すということができなかった。
それでもツヴァイは2人を懸命に探したが、2時間以上歩き回っても何の成果も得られなかったため、捜索を一時断念。朝になったら学園に行って、学生に話を聞いたりしながら2人をまた探そうとツヴァイは決意を固めた。
その後、ツヴァイは一度、公園のベンチで寝ようと考えたが、まだ他にもやるべきことがあると考え直し、街を出てカイカの森に入った。
他にやるべきこと。それは自分がこの異世界に来た原因を探ることである。
街の住人になるための努力はするし、決闘の約束もした。それにリアやアストライアと、もっとわかり合いたいと思っている。
ただ、自分が何故この世界にいるのかそれもハッキリさせたいと考え、自分がこの世界に来たことと関係があると思われる超常の存在、シロキツネ様に会うためにツヴァイは自分が目覚めた社を目指していた。
そして、元の31歳の身体でもまだ体力の衰えは感じていなかったが、10代後半の身体に戻った今、無限とも思えるぐらいの体力が湧き出てきており謎の無敵感を味方にツヴァイは森の中をズンズン進み続けたが。
「……これ、迷ったか?」
疲れ知らずでも普通に道に迷って今に至るのであった。
昼の森の中は発光する植物や輝く謎の物体が結構な数いたので、その明かりを頼りにすれば進めるだろうとツヴァイは考えていたが、皆眠っているのか昼間光っていた生物たちの光がなく、森の中は完全に真っ暗闇になっていた。
「……ゴブリンと戦った場所まで行ければ……」
そこから社までの道は大体わかるのにそこに辿り着けない。と、ツヴァイはアストライアに拘束された状態で街に向かう時も道をしっかり覚えておけばよかったと猛省した。
「……安全面のことも考えると、街に戻るのが賢明か」
この森でモンスターが出ることは普通はないという話だったが、昼間、モンスターに襲われたという事実があるのでモンスターが現れる可能性は常に考えておく必要があった。
「……」
なのでツヴァイは拾った日本刀をいつでも鞘から抜けるようにしていたが戦闘経験なんて殆どなく、暗闇の中から不意を突かれたら対応できる自信はなかったため、足を止めて数秒考え。
「よし、戻ろう」
時には引くことも重要だ。と、ツヴァイは決断し、来た道を引き返すことにした。
「……まあ、戻れるならの話だけど」
そもそも暗すぎて来た道すらわからないんだよな。と、真っ暗な林道を見て、ツヴァイがちょっと泣きたくなった。その時だった。
チリン、と、小さく鈴の音が響いた。
「────!」
その音を聞いた瞬間、ツヴァイは日本刀を持つ手に力を入れ、すぐさま、その音のした方角を向いた。
そして、モンスターの襲撃を予測したツヴァイが見たモノは。
「……火の玉?」
宙に浮く火の玉だった。
10メートルほど先の場所で薄ピンク色の火の玉がゆらゆらと揺れており、ツヴァイが警戒しながら。
「なんだ、あの怪しい火……は」
と呟いたとき、ツヴァイはこの森の名前を思い出し。
……あ、もしかして、カイカの森のカイカって、怪火のことなのか。
色んな植物の花が咲いているから開花の方だと思ってた。と、ツヴァイは自分が勘違いしていたことに気がついた。
けれども今はそんなことよりも目の前の脅威をどうにかする方が重要だとツヴァイは思考を切り替え、最悪の事態、火の玉が襲ってくることを想定し、日本刀を抜こうとした、その時である。
「……増えた」
火の玉が2つに増えたのは。
そして、それからツヴァイがまばたきをするごとに火の玉が3つ、4つ、5つとどんどん増えていったのだが……。
「……」
ツヴァイはその異常事態を前に、逆に警戒を解いて日本刀を持つ手の力を緩めた。
「……この火の玉は誘導灯か」
もし大量に増えた火の玉がツヴァイを取り囲むように動き出したのなら、ツヴァイも警戒を強めただろう。だが、増えた火の玉は滑走路の誘導灯のように綺麗に並ぶこと以外の動きを見せなかった。
「……」
……迷っていたぐらいだし断言はできないけど、たぶん、社の方っぽいな。
そして、森の奥へと続く火の玉の列を眺め、火の玉が指し示す場所を直感的に理解したツヴァイは少し悩んだ。
……そこまで詳しくはないけど、怪火って狐の伝説でよく出てくるよな。そうなると、この先にはシロキツネ様とかいう超常の存在がいる可能性が極めて高い。
確実に誘われているから罠の可能性も十分にある。そうツヴァイは考えたが。
「……罠であっても行くしかないよな」
そもそもシロキツネ様に会うためにこの森に来たのだから、向こうもこちらに用事があるのなら丁度良いとツヴァイは覚悟を決め。
「俺はあんたに聞きたいことが山ほどあるんだよ、シロキツネ様」
火の玉の誘導にしたがって、再び森の中を進み始めた。
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