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第3章 カイカの森の白狐
21 シロキツネ様はすぐそばに
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「……あー、やっぱり、この世界には牛丼もオムライスもあるのか」
「あるよー。大人も子供も大好きな料理だね。それがどうかしたの?」
「いや、もし存在してなかったら専門店を開いて、街の名物にしようと考えてたんだ」
「街の名物に……。それってもしかして、店を開いて街の宣伝をしつつ、その利益を寄付して学園に入学しようって考えてた? カームの街でうまくやっていく方法をたった数時間で見つけるなんて中々やるねー。けど、おしかったね。まあ、着眼点は悪くないと思うから、ちょっと違う方法を考えてみると良いよ」
「ああ、そうする」
超常の存在、シロキツネ様に会うために森の社に辿り着いたツヴァイは自分にもてなしの料理を作ってくれたシロキツネ様の眷属と思われる小さな白い狐と談笑しながら、その料理を食べていた。
そして、ツヴァイはデザートのフルーツを食べ終え。
「ごちそうさまでした」
食材とこの料理を作ってくれた白い狐に感謝の言葉を述べた。
「お粗末様でした。好き嫌いせず、ペロリと全部食べてくれたけど、何が一番おいしかった?」
「え? そうだな……、ノドグロの焼き物は特に凄いと思ったよ。過剰ともいえるノドグロの脂を上手に焼くことで適度に落とし、最適な味が表現されていた。料理長レベルの腕前じゃなきゃこうはならない。……けど、俺が一番おいしく感じたのは、味噌汁かな」
「結構豪華な料理を並べたつもりだったけど、一番はお味噌汁なんだ」
「ああ、他の料理はプロの味って感じだったけど、味噌汁だけは家庭の味というか、俺が知っている匂いがしたんだ。……悪い、気に障ったか?」
「……ううん」
むしろ、嬉しいかな。と言って尻尾を振る白い狐の姿を見て、親切にしてくれた白い狐の気を悪くさせなくてよかったとツヴァイは安堵の息を吐いてから、部屋の中を見渡し。
……そろそろ聞いてみるか。
食事を食べ終わっても食べ始める前と何も変わらない状況を変えようとツヴァイは小さな白い狐にあることを尋ねようとしたが。
「それじゃあ、食器片付けるね」
キミはゆっくりしてていいよー。と言って、前脚でお膳を持って白い狐が部屋から出ようとしたため、ツヴァイは慌てて声を出した。
「あ、ちょっと待ってくれるか」
「うん? なに? 食後のコーヒーか紅茶飲みたかったりする? それが飲み物はオレンジジュースしか買ってなくて、緑茶ならだいぶ前のがあるんだけど……」
「いや、そうじゃなくて。……その、シロキツネ様って出てこないのか? それか俺が社の何処かの建物に行くべきなのか?」
そして、ツヴァイはその疑問を口にした。
この社に戻ってから小さな白い狐としか会っておらず、シロキツネ様が出てこないことをツヴァイはずっと疑問に思っていた。
ここに現れるか、もしくはシロキツネ様の眷属や使い魔のような存在と思われる小さな白い狐が会う際の作法などを教えてくれた後で会いに行くと考えていたのに小さな白い狐がいなくなってしまいそうだったのでツヴァイは少し慌てたのだ。
「シロキツネ様?」
そして、小さな白い狐にとって、その質問は想定外のものだったらしく、白狐はきょとんと目を丸くして。
「────それは、うちのことだけど?」
なんてことのないように、あっさりとその事実を言葉にした。
「…………」
その白い狐の言葉を聞いて、ツヴァイは悩んだ。もしかして、シロキツネ様の使い魔が自分をからかっているだけなんじゃないか。狸や狐はよく人を化かすと聞くし、と。
けれども。
……きっと、真実だ。
食事の最中に会話をしただけだが、この小さな白い狐が嘘を言っているようなことは一度もなかったのでこれも嘘ではないと判断し。
「……君がシロキツネ様だったのか。すまない。俺は君のことをシロキツネ様の眷属や使い魔みたいな存在だと思っていた」
ツヴァイは自分の認識が間違っていたことを正直に話し、謝罪した。
「あ、そうだったんだ。やけにリラックスしてるなーって思ってたけど、街の人間からうちの姿聞いてなかったんだね」
「……許してくれるのか?」
「うん? 赦すも何もちょっと勘違いしてただけでしょ? そんなの誰にだってあるって。気にしない。気にしない」
「……ありがとう」
そして、白い狐が謝罪を受け入れてくれたことにツヴァイは感謝し、目の前の小さな白い狐がシロキツネ様であると認識をアップデートして、再び話し始めた。
「その、シロキツネ様は、この世界の神様なんだよな」
「あー……まあ、人間には昔いた神様の生き残りみたいに思われてるのは事実だね」
「何でそんな存在が俺に、こんなに良くしてくれるんだ?」
神様がただの人間でしかない自分を迎え入れてくれるだけでなく、豪華な料理までわざわざ作ってくれた。その理由がツヴァイにはわからず、素直にシロキツネ様に尋ねてみると。
「それは────」
シロキツネ様はすぐにその疑問に答えようとしてくれたが、その視線が自分の持っている食器が重ねられたお膳に向き。
「キミも色々と疑問を解決したいだろうし……」
片付けよりも先に話をしようか。と呟いたシロキツネ様はお膳を部屋の入り口の側に邪魔にならないように置き、部屋の隅から自分用の座布団を咥えて持ってきてそれをツヴァイの目の前に置いてその上にちょこんと座った。
「えっと、それでまずは何でうちが料理を作ったり、接待みたいに隣に座ってキミのグラスにオレンジジュースを注いだりしたかっていう話だよね? それはね……」
そして、シロキツネ様はツヴァイを見つめながら。
「まあ、一言で言ってしまえばお詫びだね」
キミには悪いことをした。と、ツヴァイに謝った。
「あるよー。大人も子供も大好きな料理だね。それがどうかしたの?」
「いや、もし存在してなかったら専門店を開いて、街の名物にしようと考えてたんだ」
「街の名物に……。それってもしかして、店を開いて街の宣伝をしつつ、その利益を寄付して学園に入学しようって考えてた? カームの街でうまくやっていく方法をたった数時間で見つけるなんて中々やるねー。けど、おしかったね。まあ、着眼点は悪くないと思うから、ちょっと違う方法を考えてみると良いよ」
「ああ、そうする」
超常の存在、シロキツネ様に会うために森の社に辿り着いたツヴァイは自分にもてなしの料理を作ってくれたシロキツネ様の眷属と思われる小さな白い狐と談笑しながら、その料理を食べていた。
そして、ツヴァイはデザートのフルーツを食べ終え。
「ごちそうさまでした」
食材とこの料理を作ってくれた白い狐に感謝の言葉を述べた。
「お粗末様でした。好き嫌いせず、ペロリと全部食べてくれたけど、何が一番おいしかった?」
「え? そうだな……、ノドグロの焼き物は特に凄いと思ったよ。過剰ともいえるノドグロの脂を上手に焼くことで適度に落とし、最適な味が表現されていた。料理長レベルの腕前じゃなきゃこうはならない。……けど、俺が一番おいしく感じたのは、味噌汁かな」
「結構豪華な料理を並べたつもりだったけど、一番はお味噌汁なんだ」
「ああ、他の料理はプロの味って感じだったけど、味噌汁だけは家庭の味というか、俺が知っている匂いがしたんだ。……悪い、気に障ったか?」
「……ううん」
むしろ、嬉しいかな。と言って尻尾を振る白い狐の姿を見て、親切にしてくれた白い狐の気を悪くさせなくてよかったとツヴァイは安堵の息を吐いてから、部屋の中を見渡し。
……そろそろ聞いてみるか。
食事を食べ終わっても食べ始める前と何も変わらない状況を変えようとツヴァイは小さな白い狐にあることを尋ねようとしたが。
「それじゃあ、食器片付けるね」
キミはゆっくりしてていいよー。と言って、前脚でお膳を持って白い狐が部屋から出ようとしたため、ツヴァイは慌てて声を出した。
「あ、ちょっと待ってくれるか」
「うん? なに? 食後のコーヒーか紅茶飲みたかったりする? それが飲み物はオレンジジュースしか買ってなくて、緑茶ならだいぶ前のがあるんだけど……」
「いや、そうじゃなくて。……その、シロキツネ様って出てこないのか? それか俺が社の何処かの建物に行くべきなのか?」
そして、ツヴァイはその疑問を口にした。
この社に戻ってから小さな白い狐としか会っておらず、シロキツネ様が出てこないことをツヴァイはずっと疑問に思っていた。
ここに現れるか、もしくはシロキツネ様の眷属や使い魔のような存在と思われる小さな白い狐が会う際の作法などを教えてくれた後で会いに行くと考えていたのに小さな白い狐がいなくなってしまいそうだったのでツヴァイは少し慌てたのだ。
「シロキツネ様?」
そして、小さな白い狐にとって、その質問は想定外のものだったらしく、白狐はきょとんと目を丸くして。
「────それは、うちのことだけど?」
なんてことのないように、あっさりとその事実を言葉にした。
「…………」
その白い狐の言葉を聞いて、ツヴァイは悩んだ。もしかして、シロキツネ様の使い魔が自分をからかっているだけなんじゃないか。狸や狐はよく人を化かすと聞くし、と。
けれども。
……きっと、真実だ。
食事の最中に会話をしただけだが、この小さな白い狐が嘘を言っているようなことは一度もなかったのでこれも嘘ではないと判断し。
「……君がシロキツネ様だったのか。すまない。俺は君のことをシロキツネ様の眷属や使い魔みたいな存在だと思っていた」
ツヴァイは自分の認識が間違っていたことを正直に話し、謝罪した。
「あ、そうだったんだ。やけにリラックスしてるなーって思ってたけど、街の人間からうちの姿聞いてなかったんだね」
「……許してくれるのか?」
「うん? 赦すも何もちょっと勘違いしてただけでしょ? そんなの誰にだってあるって。気にしない。気にしない」
「……ありがとう」
そして、白い狐が謝罪を受け入れてくれたことにツヴァイは感謝し、目の前の小さな白い狐がシロキツネ様であると認識をアップデートして、再び話し始めた。
「その、シロキツネ様は、この世界の神様なんだよな」
「あー……まあ、人間には昔いた神様の生き残りみたいに思われてるのは事実だね」
「何でそんな存在が俺に、こんなに良くしてくれるんだ?」
神様がただの人間でしかない自分を迎え入れてくれるだけでなく、豪華な料理までわざわざ作ってくれた。その理由がツヴァイにはわからず、素直にシロキツネ様に尋ねてみると。
「それは────」
シロキツネ様はすぐにその疑問に答えようとしてくれたが、その視線が自分の持っている食器が重ねられたお膳に向き。
「キミも色々と疑問を解決したいだろうし……」
片付けよりも先に話をしようか。と呟いたシロキツネ様はお膳を部屋の入り口の側に邪魔にならないように置き、部屋の隅から自分用の座布団を咥えて持ってきてそれをツヴァイの目の前に置いてその上にちょこんと座った。
「えっと、それでまずは何でうちが料理を作ったり、接待みたいに隣に座ってキミのグラスにオレンジジュースを注いだりしたかっていう話だよね? それはね……」
そして、シロキツネ様はツヴァイを見つめながら。
「まあ、一言で言ってしまえばお詫びだね」
キミには悪いことをした。と、ツヴァイに謝った。
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