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灰かぶりの少年50
しおりを挟む…ふぅ …はぁはぁ
やはり息がいつもより重く感じる
熱が始めより上がってきたのか、呼吸がしづらい
"このお手拭きを一刻も早く侯爵様にお渡ししないと…"
壁に手をつき、前へ進もうと必死になる
視界も少しボヤけてきたが確実にお渡しするまで気が抜けない
「侯爵様…たいへんお待たせ致しました、お手拭きをお持ちしました…っ」
お手拭きを握り締めていた手は汗をかいておりいつの間にか湿ってベタベタしていた
「何だこれは?」
「お手拭きです…っ、ぁの侯爵様の…」
バンッッ‼︎
「!?」
あまりにもの大きな音にビクッと反射的に肩が動く
侯爵様がお持ちになられていたカップがヒビ割れしている光景が目に飛び込む、そのまま乱暴に手を振りかざしたせいだとすぐに理解した程だ
「いつまで時間をかけている?奴隷の分際で…」
「ッ…ッすみませんっ、遅くて…事情がっ…ごめんなさいっ…」
御怒りされているのが全身に伝わってくる
この後どんなに罰せられるのかと思うと怖くて顔を下に向けてしまう
「食事は終わりだ」
髪を握られテーブルの上に頭をギリギリと抑え付けられる
すごく痛い
「ぁあ"っぁぁ!」
「ゆっくりワインでも飲むか?喉が渇いただろう?」
「ぅ…ぅぅ"‼︎」
「お前達、食事は済んだから片付けをしてくれ」
「はい、承知しました」
使用人が数人サッと現れ、手慣れな様子で一瞬にして片付けていく
「さぁ、灰かぶりよ…私からの褒美だ。受け取るがよい」
ズブンッッッ!
「いやぁぁッ!」
慣らすこともなくお尻にワインのボトルの先が力任せに入ってくる
「痛いっ…ひぐぅぅ…いたぃ、ごめんなさいっ…助けてぇっ…」
ワインの中身なのか自分の血なのかがわからないくらい赤い液体が足に流れ、ポトポトと床を染める
「美味しいか?お前には到底勿体ない酒だ、ちゃんと飲むんだぞ」
グッ グッ ズポッズポッズポッッ!
「侯爵様っ…ぁっぅ!」
「ボトルが透明なせいで尻穴の中粘膜が透き通って見える、美味そうにうねって…」
「…んぐっ…ぅひいぃ…っ」
もうやめて欲しいのに声を出すことも抵抗することもできない
「お許しを…っ帰り…たいっ…ぇんっ…ひくっ…ゔぅ納屋に…帰りたいよ…ぉ」
等々、奥底に閉じ込めていた心の声が漏れてしまった
決して許されない言動
「いいか…お前は売られた時点で私の奴隷だ、生かすも殺すも私次第…いつでも処分する事ができるということを忘れるな」
重くのし掛かる侯爵様の言葉を全身に浴び、涙を流す
ここを離れるなんて不可能
僕は命がある限り永遠の奴隷だということを実感する
「そういえば、忘れていた。次回私の甥っ子の誕生日パーティーを開く予定だったな…」
"…パーティ?"
「フッ、お前のことも紹介してやろう…本当は有り得ない事だが今回は特別だ」
「あっ…とても光栄でございます、ありがとうございます…!」
震えながら頭を下げ何度も床に頭を擦りつけた
侯爵様の甥っ子様の大切なパーティ…
粗相があってはならない
絶対に…絶対に…!
グッと唇を噛み締めて何回も呪文のように心の中で唱え続けた
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