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第1章 エイゼル領の伯爵
第1章第010話 出発です
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第1章第010話 出発です
・Side:ツキシマ・レイコ
快晴晴天、出発の日です。
ここに来て最初に目覚めた山の中腹に出ると、赤井さんは背負子のようなものを背負った。赤井さんの背中にバイクの座席が付いた感じ?
「三十分くらいの飛行だけど、ここに乗ってね」
赤井さんが前屈みになると、ちょうど鞍のような按配になります。
よじ登って定位置につくと、
「それではアテンションプリーズ。ネイルコード王国王領北端の街道目指して。30分ほどのフライトとなります。シートベルトの着用をお願いします。なお本機は禁煙となります」
シートベルトは無いので。鞍の前縁につけられている紐を握りしめる。小龍のレッドさんは、背中のリュックの上で、私のポニーテールを握っている。
赤井さんは山肌の傾斜に飛び出した。広げた翼を何度か羽ばたかせると、フワっと浮き上がり、以前のように翼をぼうと輝かせると、ぐんと加速した。
眼下に広がる山河。ここにきて最初の場所から眺めた時にも絶景だったけど。上空から見るとなお素晴らしい。
さらに速度と高度を上げていく。小さな雲が下を流れていくようになる。
「飛行機に乗った経験はあまりないけど。これは気持ちいいねぇ」
結構な風が顔に当たるが、マナの身体のせいかとくに苦痛にならない。むしろ気持ちが良いくらいだ。
「前に見えている雪山の向こう側が目的地だから」
「了解です」
私に後ろにつかまっているレッドさんがちょっと不安定なので、前に抱え込むと、袖をつかみながら興味深そうに周囲を見回している。レッドさんからは、時速や高度に気温気圧がイメージで伝わってくるけど。数値というよりイメージなので、ちょっと不明瞭だ。ただ、この子なりに今の飛行を楽しんでいるらしい。
雪山の頂を超えても、風景は大して変化はなかった。森林と平原が半々くらいだろうか。平原の真ん中を河が流れていて、そのそばに降下を始めた。降りる頃には、河に並設されているのだろう街道らしきものが見えてきた。もちろん、日本のように舗装されているわけではないが。馬車なりが通った轍はある。
赤井さんは、街道に沿って少し飛行しつつ高度を落して、ざざざと着陸した。
しゃがんで、私たちが降りるのを助けてくれる。
「…さて。いったんここでお別れだ」
赤井さんの手が伸びてきて、頭をなでる。
「そう寂しそうな顔しなくても、必ずいつか会えるし。それにレッドさんも一緒だろ」
いつかは分からないけど、二度と会えないわけじゃないというのは分かるし。このマナの体なら何とでもなるのだろう。
「正直、まだ何をすればいいのかというか、何をやらされるのかというか、疑問はいっぱいあるけど。病院で人生が終わらなかったことには感謝しているわ」
赤井さんは、ニヤと笑うと、再び飛び立つ準備をした。
「もうすぐ、この国のキャラバンがここを通るから。それに乗せてってもらいなさい。多分いい人たちだから、心配はいらないと思うよ」
「えっ?そういうことは先に教えておいてよ!」
軽く助走して赤井さんが飛び立った。上空を数回旋回すると、元来た山の方に向かって上昇していった。
私とレッドさんは、彼の姿が見えなくなるまで見送った。
-------------------------------------------------------------------------
さすがにでんでん太鼓は控えました。
…あの歌も出すのは控えましたが。あれって「江戸子守唄」の一部だよね? 著作権とかどうなるんだろ?
・Side:ツキシマ・レイコ
快晴晴天、出発の日です。
ここに来て最初に目覚めた山の中腹に出ると、赤井さんは背負子のようなものを背負った。赤井さんの背中にバイクの座席が付いた感じ?
「三十分くらいの飛行だけど、ここに乗ってね」
赤井さんが前屈みになると、ちょうど鞍のような按配になります。
よじ登って定位置につくと、
「それではアテンションプリーズ。ネイルコード王国王領北端の街道目指して。30分ほどのフライトとなります。シートベルトの着用をお願いします。なお本機は禁煙となります」
シートベルトは無いので。鞍の前縁につけられている紐を握りしめる。小龍のレッドさんは、背中のリュックの上で、私のポニーテールを握っている。
赤井さんは山肌の傾斜に飛び出した。広げた翼を何度か羽ばたかせると、フワっと浮き上がり、以前のように翼をぼうと輝かせると、ぐんと加速した。
眼下に広がる山河。ここにきて最初の場所から眺めた時にも絶景だったけど。上空から見るとなお素晴らしい。
さらに速度と高度を上げていく。小さな雲が下を流れていくようになる。
「飛行機に乗った経験はあまりないけど。これは気持ちいいねぇ」
結構な風が顔に当たるが、マナの身体のせいかとくに苦痛にならない。むしろ気持ちが良いくらいだ。
「前に見えている雪山の向こう側が目的地だから」
「了解です」
私に後ろにつかまっているレッドさんがちょっと不安定なので、前に抱え込むと、袖をつかみながら興味深そうに周囲を見回している。レッドさんからは、時速や高度に気温気圧がイメージで伝わってくるけど。数値というよりイメージなので、ちょっと不明瞭だ。ただ、この子なりに今の飛行を楽しんでいるらしい。
雪山の頂を超えても、風景は大して変化はなかった。森林と平原が半々くらいだろうか。平原の真ん中を河が流れていて、そのそばに降下を始めた。降りる頃には、河に並設されているのだろう街道らしきものが見えてきた。もちろん、日本のように舗装されているわけではないが。馬車なりが通った轍はある。
赤井さんは、街道に沿って少し飛行しつつ高度を落して、ざざざと着陸した。
しゃがんで、私たちが降りるのを助けてくれる。
「…さて。いったんここでお別れだ」
赤井さんの手が伸びてきて、頭をなでる。
「そう寂しそうな顔しなくても、必ずいつか会えるし。それにレッドさんも一緒だろ」
いつかは分からないけど、二度と会えないわけじゃないというのは分かるし。このマナの体なら何とでもなるのだろう。
「正直、まだ何をすればいいのかというか、何をやらされるのかというか、疑問はいっぱいあるけど。病院で人生が終わらなかったことには感謝しているわ」
赤井さんは、ニヤと笑うと、再び飛び立つ準備をした。
「もうすぐ、この国のキャラバンがここを通るから。それに乗せてってもらいなさい。多分いい人たちだから、心配はいらないと思うよ」
「えっ?そういうことは先に教えておいてよ!」
軽く助走して赤井さんが飛び立った。上空を数回旋回すると、元来た山の方に向かって上昇していった。
私とレッドさんは、彼の姿が見えなくなるまで見送った。
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